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カテゴリ:映画類( 378 )

僕たちは希望という名の列車に乗った

このところすごく見たいという映画がない。そんな中で気になったのがこれで、今日行ってみることにした。青春映画なんて青春時代から好きだったことがないが、舞台が冷戦下の東ドイツだし、今日は雨っぽくて昼間から散歩したくなり、昼間の映画でもいいなという気分だった。観客が4人もいたのにはびっくりした。そしてすごく良かったのにもびっくりした。実話を元にしたものだそうだ。舞台は1956年の東ドイツ。ベルリンから少し離れた場所のようだ。全体に暗めの画面で内容も暗い、ということなんだろうな。まだ東西の壁ができる前だからタイトルのような希望が持てたけど、壁建設後だったらどうなんだろうと想像すると怖かった。

後で情報を見たら主人公である高校生たちはプロではないのだそうだ。自然ですごく良かった。動物農場を読んだ直後というのもいいタイミングといえるかもしれない。セリフのひとつひとつが胸に響くし、チラシにある「心揺さぶる感動の実話」を大げさには感じない。人物像のどれもが分かる分かるって感じ。そしてこういう状況ならこうなるだろうなというのも分かる分かるの連続で不自然さを感じなかった。ハンガリーの状況がキーになっているのだが、私は何も知らないので、この映画からだけでも学んだことは多い。そして東欧の複雑さには圧倒される。いやあ、実にいい映画だった。まじめで遊びがなくて直球で感動。泣いた。

by kienlen | 2019-07-14 21:08 | 映画類 | Comments(0)

ザ・バニシング

しばらく前、見たい映画がないなあと思いながらなんとなく行ってみたもの。オランダの映画なんて珍しいなと思ったのが一番の動機かもしれない。サイコ・サスペンスというカテゴリーみたいだが、確かに最後がとっても怖かった。怖い映画は好きじゃないのに見てしまった。うーん、全体に、それでだから…という感じが残った。つまり見たのが間違いだったという感じ。飽きるというわけではないし、人物像が分からないわけじゃないし、でも感動するわけではなく、何か感情的に得られるというわけじゃなく、こういうのが好きな人ってどういう人なんだろうなという気持ちだけが残った。でも観客は数人はいた。結局何を面白く感じて何を面白く感じないかで自分が分かるわけだ、ということを改めて思った。
by kienlen | 2019-07-10 19:14 | 映画類 | Comments(0)

「ビューティフルボーイ」と「ある少年の告白」

どうしても見たいと思っていたものでもない映画を2本見た。理由は、バンコク在住の友人が東京に一時帰国の折にこの2本を見たかったのに上映がおしまいになっているといってきて、長野での上映期間を見たら、ビューティフルボーイの最終日が金曜日で、翌日の土曜日からある少年の告白が始まる。じゃあ2日連続で見ればいいわけであり、それを伝えると、友人はそのために訪れたのだった。お高い新幹線なんてよほどのことじゃない限り使わない自分に対して、彼女は新幹線のしかもグリーン車ご利用だった。ホテルは2泊予約だったので時間はたっぷりある。昼間はドライブしてソバ食べて夜の部に連続で行った。どちらも主人公は少年で家族の描き方もなんか似ている。やはりアメリカの父親は強くて、男も強くなければならないみたいなメッセージを毎度受け取ってしまう。私にとってのアメリカ映画ってこのイメージなのだ。

比べるものでもないが、ある少年の告白の方が私は好みだった。実話を元にしたものとのこと。保守的な南部の牧師の息子が同性愛者。これだけでクラクラしそうだが、その通り、なんと同性愛者を矯正する施設があって、そこに入ることになる。当人、嫌々ではなくて直したい願望で行くのだが、その施設のあまりの状況に、とうとう親に助けを求める。常日頃から正しい教えを説く牧師の父はあくまで施設のプログラムを継続させようとするが、母が救いに行く。母親の直感が働いたわけだ。アメリカ映画に勝手に感じていた抑圧的な雰囲気とか恐怖感とか、こういう基盤があるからなのではないかと思った。ビューティフルボーイも事実に基づいているようだったが、テーマが麻薬なので救いがたさがあり、その中で描かれる親子や家族というテーマとの結びつきがちょっと厳しい印象だった。

by kienlen | 2019-07-03 20:57 | 映画類 | Comments(2)

誰もがそれを知っている

いつも行く映画館の上映予定作品を見ていたら、これがあった。そうか、こっちにもくるのか。というのは、この映画を大坂の駅前の映画館で見たからだ。大阪で映画を見た理由は時間調整。関空から厦門行きの便は夜の7時過ぎ発だった。1日かけてゆっくり車で行こうかと最初は思った。しかし帰りの便が到着するのも夜。夜に走り続けるのはちょっと避けたい。あの辺りの温泉宿で1泊してゆっくり戻る案に決まりかけたものの、そんな贅沢をしている身分ではないことに気づいた。それにほんの数日とはいえ、電話を取れないわけなので、一応万が一の対処のために平日を確保しておきたい、というわけで木曜日の夜に関空に着いて、そのまま夜行バスで戻ることにしたのだった。一番心配したのは飛行機の遅れだが、幸い時間通りに到着してバスにも間に合った。

というわけで、出発の日の早朝に大阪に着いて、さてどうするとなり、とりあえず喫茶店に入ってモーニングセットを食べて映画を見に行くことにした。検索するといくつか映画館があり、最も興味深いのが12時頃からあった。それを見て空港行きのリムジンに乗ればちょうどいいことはいい。でもそこまでも時間があるから午前中にもう1本見ようということになったが、これの終了時刻が次の上映時刻に間に合わない。結局午前中のこの1本だけを見てお昼を食べてから空港に行きゆっくりしていようということになった。そしてスペインを舞台にしたこの映画、とっても面白かった。最初が華やかなパーティーの場面で、突然一転するに違いないという予想だけは当たったが、その後の展開は息つく間もないほど。一緒だった友人は新婚旅行がスペインだったそうで感慨ひとしおという風だった。1本で十分満足。それに旅行を前に、もう気持ち的に満ち足りてしまってこのまま戻ってもいいよね、と顔を見合わせたくらいだった。登場人物の顔が似ていて人間関係を把握できないまま見ている部分もあり、もう1度見たらもっと余裕で分かるかもしれない。

by kienlen | 2019-06-28 10:09 | 映画類 | Comments(0)

ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ

昨日見に行った映画。予告を見て、見たいと思っていたもので、午前と夕方の用事の間があき、通りがかりに時間を見たらちょうどいいタイミングだったのはラッキーだった。タイトルはこうだがピカソの絵が中心でもないし、ピカソが出てくるのはほんのちょっと。全体にテンポが速いのと、登場人物が多いのと、人間関係が色々出てくるのと、地名もたくさんなのと、美術館も画家も多く登場するのとで話の筋としてはついていけない感があったが、だからといってそれで何が何だか分からないというほどでもない。ナチスの映画に絵は割合よく出てくるし、贋作者の話も見たことがあったが、ここにも出てくる。贋作者はヒットラーをだましたということで、戦後に英雄扱いだったということも描かれていた。

ヒットラーがユダヤ人から没収した膨大な芸術作品を隠してあった場所というのがすごくて、それに、存在しないことになっていた男性のアパートから膨大に見つかったというエピソードもすごかった。画商の息子なんだそうだが。絵を巡る狂気の沙汰と、それを追いかけるのもまた尋常じゃない。物語全体の進行役はひとりなのだが、この人がまとめて話すわけではなくて歴史家だの研究家だの美術館の人だの色々な人が語り手で登場し、字幕が下に出て横に長い肩書が出て、両方を追うだけで精一杯な感じで覚えていられない。それに映像も観ないとならないし、盛りだくさんで忙しかった。面白かった。

by kienlen | 2019-06-16 19:58 | 映画類 | Comments(0)

芳華

昨日は仕事のメドがついたので夜の映画を見に行こうと思っていたら、長く不在だった夫が帰って来た。だから行けなくなったというわけではないが、珍しく話をしたりで映画を先延ばしすることにした。今日それを見に行こうとしてふと別の映画館を検索してみたら中国映画をやっていた。それは昼間。中国行きを前にやるべきことが終わったわけではないがメドついたのが嬉しくて、だったら2本見てもいいかと思って出かけた。それでまずこれを見たら、もうあまりに感動してしまってもう1本見る気になれずに戻った。これを見ながら、韓国ドラマにはまるってこんな感じなんだろうかと想像した。やはり見てみないと分からないから少しは見ておくべきだったと思う。見たことがないので想像だけなのだが、みんなきれいでいかにもドラマっぽくて、でもやっぱり感動してしまうって感じが。

軍隊の芸術部門を文工団というのか、なるほど、いかにも。で、そこに入ってくる女の子が主人公のひとり。ただ語り手は先輩団員なのでちょっと複雑になっている。新入りの女の子はいじめにあい、家庭での愛情もなかったということになっているが、愛されていそうな外観がちょっと不似合いという感じはあったけど、家庭での愛情の薄さの理由等をみると、まあ納得。青春あり、恋愛あり、政治あり、戦争あり、組織あり、国家あり、老いありと、日常を描きつつもスケールの大きさが、中国だなという印象。白髪三千丈の世界観を感じるというと大げさだろうか。でも、たまたまここに居合わせたという感じの表出が、個人的な人間の視点というより宇宙的な広がりを感じてしまった。それぞれの心理も納得できたし、いやあ、良かった良かった。登場人物が、日本の役者の誰かに似ている感あり。青春映画かな程度で見に行ったけど何の何の面白かった、感動した。

by kienlen | 2019-06-14 18:26 | 映画類 | Comments(0)

山猫

ヴィスコンティの山猫をやっているのを知って、昨日見に行った。割引なしの1800円は高いなと思ったけど映画館でしか見る気になれないというのであればしょうがない。これだけ映画に使う分で有料のサービスを契約することはできると思うけど、まあ必要に迫られたら考えることにしよう。なぜ見たいと思ったかというと、ずっとずっと気になっていたからだ。それはイタリア史専門の先生のゼミのこと。確か文学の先生と組んでひとつのゼミを開講していて、やり方というのが、映画を見て原作を読んで語るみたいなものだった。ハワーズエンド、ブリキの太鼓、道が多分入っていたと思うけど、確か山猫もあったはず。ああ、あとグレートギャツビー、ってことはアメリカ文学だったんだろうか、もう1人は。必見必読ばかりなのだろうし、楽しみではあったが、実のところ恐ろしいくらいに覚えていない。そして山猫も。重要なのだ、あの先生の選択なんだから、と思い込んできた記憶以外は。

しかしまあ涙が出るほど美しかった。廃退の美というか、まあ、廃退していくのは主人公であり、興隆してくる人々の方が数の点では多く登場するのだけど、それが一層廃退の美を際立たせている。さすがに監督が貴族だったというだけあって、貴族の生活が日常になっているというか。イタリアの歴史や文化を知っていたらすごく色々なことが分かって感動もひとしおと思うが、残念ながら私はほとんどまるで何も知らない。イタリア統一戦争というのが何で、ということからして。それがすごく歯がゆかった。でもそれはおいておいても、3時間超の長さで飽きることはないし、何もかもが美しかった。イタリア映画っていいなあ、とまた同じことを…。キリスト教でないので基本が分からないのもはがゆいのだが、詩篇44を読むシーンがあり、みんな読んでいるのに字幕はなし。それで、カソリックの友だちに詩篇44は何ですかと問い合わせたら解説付きのコピーを即刻送ってくれた。なるほど、シーンにあっていた。物覚えが超悪いのに44という数字を覚えていたのは、タイの首相の一存で発効できる44条という法律があるから。何がどこで役立つか分かりません。



by kienlen | 2019-05-31 17:54 | 映画類 | Comments(0)

ナポリの隣人

早朝から出かけたので眠いなと思いながら戻って、いくらなんでも寝るには早すぎるし映画でも見ようと検索したらこれがあり、イタリア映画を見たくなって行った。というのは、ちょうど今読んでいる本が日本語は虫の視点の言語だというテーマで非常に納得できるのだが、イタリア映画って虫の視点だなと思ったりして。勝手に。観客は自分ひとり。ああ、すごく良かった。地味で静かで大人の映画って感じ、大人というか年寄りというか。どの人も分かる分かると感情移入できてしまうし、役者はもうすごくうまいし、言葉少な目なのもいいし、暗めの映像もいいし、家族って何だろうとか生きるって老いるってとか、親子ってとか、子育てってとか、全部詰まってて理屈っぽくない作り方で自然、理屈っぽいのもいいけど、そうじゃないのもいい、つまり好きだなと思うのは好きだし、そうじゃないのはそうじゃないということか。見て良かった。イタリアも行ったことないのだ…。
by kienlen | 2019-05-28 20:54 | 映画類 | Comments(0)

ブラック・クランズマン

この間、この映画を見た。町に出たついでに何かと思って映画館の前に行ったらちょうど知り合いがいて、何を見るんですかと聞いたら、顎でこれを指した。ちょうど始まり時間まで10分か15分でいいタイミング。全く何も知らずに見てみることにした。観客は4人ほどいたから結構入っていたといえる。非常にいい映画だと思った。これ、結果がハッピーなのかアンハッピーなのか知っておいてみた方がいいと思う。そうでないとハラハラし過ぎで、途中で何度もスマホに目を落としてしまった。安心して見ていいのだと知っていればそんな残念なことをしなかった。実話だというクレジットが出たが、まあ、大胆なお話だった。ストーリーはとにかく面白いし、役者もとっても素敵。そして人間の恐ろしさも優しさも感じられて、アメリカ映画ってこういうのもいいのね、という感じ。というか、まあ、日本では現時点ではあり得そうにないもの。黒人とユダヤ人差別がテーマなので。

人間って役割を与えられるのが一番嬉しいのじゃないかと日ごろから思っているが、前にナチスの関連の本を読んでいて、女性が活躍できるということで入隊したというくだりがあった。なるほど、あり得ると思った。この映画でもそういう描き方があり、共感できた。内容に共感というんじゃなくて、そういう観点に。内容はおぞましいもので、よくぞここまでと思うが、差別、いやもう抹殺までしたいと思うに至る心情というのは、案外こんな具合なのかもしれないと思った。そして世界にはこのおぞましさがあふれている。うーん、もう一度見てもいいけど、時間がないな。もうちょっと一所懸命見れば良かった、非常にいい映画なのだ。警察ってとってもいい組織なのね、という気にさえなってくる。

by kienlen | 2019-05-13 21:28 | 映画類 | Comments(0)

ふたりの女王 メアリーとエリザベス

気分が落ち込んだり、妙に元気になったりの毎日。一昨日はどうだったんだろう。その前の日が無気力で一昨日は比較的良かったように思う。そうそう、娘が連休に帰省するというので少し片づけをしたのだった。で、その前に朝早くから客人があり、長話をしたんだった。日ごろ接しないタイプの人で面白いなあと感じながら話を聞いたり話したり。まあまあ片付いたというか、最低限やったので夕方のこの映画に行ったのだった。英国王室ものが続いている。この間のより迫力では弱いなと思いつつも、だんだん趣旨みたいなものを感じるようになり、最後はなるほど良かった、という気持ちになった。スコットランド王となるメアリー役がどっかで見たことあると思ったら「ブルックリン」の主役だったのだ。何年か前に見たエリザベスはあまり良かったと感じなかったことだけ覚えているが、男になるのだという決断をする過程が描かれるこちらを見て、自分が浅はかだったなという気がした。2人を対照させることで人物像が浮き彫りになり、取り巻く男たちの陰謀もくっきりして、生活感なしに人間のある部分をむき出しにできるのが貴族や王家を描くことの面白さなのかと感じたりした。しかし見事に庶民が出てこないって、日本の時代劇にはそういうタイプのものがあるんだろうか。
by kienlen | 2019-04-27 18:12 | 映画類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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