カテゴリ:映画類( 350 )

スターリンの葬送狂騒曲

友人から修理に出した自転車を車に積んでもってくるアルバイトの打診があり喜んで引き受ける。それだけで3千円くれるというのだから。それを午前中にやり午後から打合せ2件で、夜は友だちと食事ということになっていて連絡待ちだったのに音沙汰がないのでムリすることもないですよと電話したら後日ということになり、出先で時間があいた形となり映画を見ることにした。その時間で間に合うものをみたらそれほどなくて、これにした。ブラックコメディということだったのでふざけて笑える作りになっているのかと思ったら、思ったよりすごーく怖かった。何しろリストに従って殺しまくる場面から、権力争いから、その結果のまたまたの殺しから、もう怖い怖い、というか、つまり怖い場面以外はなし。英語なのにびっくりしたが、これロシア語でできるわけないなと思い直した。なんでも、上映禁止とか。

スタートにもびっくりした。きれいなピアノで始まるコンサート。モスクワ放送局のライブらしいのだが、そこにスターリンから電話があって録音を届けろと言われたスタッフのあせりよう。録音してなかったので演奏し直し。観客が足りないと音が響くということでかき集めてくるのと、ピアニストの女性がやらないと言い張るのを説得するのがもう大変。このピアニストは家族を片っ端から殺されているので、もう怖いものなしみたいな強さがある。とにかく、このような内容をブラックユーモア以外で描けるわけはないのだろうとは思う。幹部も殺されるリストに入っているんだし、妻もそうだし、もう怖い怖い怖い。どこまでが事実なのか知らないが、しかしかなりが事実らしい。私はそもそもスターリンってこんなに急死だったんだと知らなかった。広い劇場に観客は自分含め2人だった。

by kienlen | 2018-10-20 22:32 | 映画類 | Comments(0)

灰とダイヤモンド

友人とランチの予定だったのがキャンセルになった。時間を見ると9時35分。ギリギリ間に合うので午前10時の映画祭のこの映画に行った。絶対見逃すわけにいかないのでスケジュール帳にメモしておいたもの。とはいえ、行ける時に行かないと期間はすぐに過ぎる。歩きたい距離だが時間がないので自転車で。何で見たのだろうか、昔昔何かで見たことはあるが何も覚えていない。「地下水道」の方は、あの、穴から出てきた時の絶望があまりにリアルで映像が記憶に残っていて、もうあれは見たくないなという気持ちがあるけど、こちらの方はそこまで深刻でなかったような気がする、という程度の分からなさのままで行った。昨日のインドのと時代はほとんど同じ、つまり大戦後まもなくのころ。インドは独立をめぐっての分裂と内戦の危機だが、こちらのポーランドは共産化した政権と抵抗派。ただこちらの映画はそういう政治とか社会を描きながらも芸術的で哲学的で、ずっと目頭が熱くなりっぱなしという感じだった。モノクロの映像はすごくきれいだし、わざとらしいくらいの演技もセリフのひとつひとつもカッコ良くて悲しいのである。

この間、モノクロの写真を撮ってきた写真家からモノクロの色の豊かさというのを聞いたばかりで、そのことを想いながら見ていた。やはりモノクロは大好きだ。比較できるようなものでもないのに、どうも昨日のと比べてしまう。昨日の男女のロマンがああいう形で必要だったのかというのが疑問なのだが、今日のは違和感がなかった。どこまで切迫しているのかという描き方が、今日のは、この状況ならこの心理状態ならこうなって当然という納得ができて、昨日のは、そこまで納得できなかったわけだ。それはストーリーからではなくて描き方からくる印象のように思う。分かりやすいのは最後のシーン。昨日のあの甘い終わり方と今日のあのぼろきれのような終わり方。後者が冴えている、と感じてしまう自分がいる。若いときにこういうのに影響を受けるというのは一生に影響してしまうよな、と考えていたわけだが、だからといって、じゃあ自分が明るくて元気なのを好きになったことがあったかというと、子どもの頃から今まで一度もないわけで、どーしようもない。全体的なわざとらしさといい、登場人物それぞれの美学といい、ほんと良かった。

by kienlen | 2018-10-12 23:12 | 映画類 | Comments(0)

英国総督最後の家

友人からこの映画を一緒に見ましょうと誘われた。予告編を見て絶対に行こうとスケジュール帳にもメモってあったものなので、夜の時間帯に変更になってから行こうと思っていたのを変更して今日行った。観客は7,8人いたので、平日の昼間としては多い方だと思う。今回の予告も見たい映画だらけだった。なんでこれを見たかったかというと、インド独立を前に最後に派遣された総督を取り上げるというのが、すごく興味深かったから。なんか、盲点みたいな感じで。舞台は1947年。インド解放が決まり、300年統治したイギリスから最後の総督が、政権をスムーズに委譲するためにやってくる。しかしそんなに簡単には進まない。ここで焦点を当てているのはイスラム教徒とヒンズー教徒の対立で、もちろん大きな理由はイギリスの統治方法にあり、そういうやり取りはでてくる。それにしてもずっと植民地になっていたということの残酷さは想像を絶するものだろうと今回も思った。

独立後にマイノリティーになってしまうイスラム教徒はパキスタンとして独立する道を激しく主張し、ネルーやガンディー含む会議派は分離は避けたい。板挟みになる総督。複雑にしているのは妻が政治への関心が高くて口だしすることで、大英帝国の宣伝にふさわしいような人道的な女性なのである。つまり人間的。総督も人間的。そんな個人が国家の非情さに翻弄されるというあたりの描き方はイギリスっぽいなという感じがしたし、面白かった。ただ実際の主人公というのは総督の豪邸の使用人となるパンジャブ州出身の多分ヒンズー教の青年とモスリムの女性なのだろう。つまり状況的に成就しないこの2人の悲恋なのだが、これがないと物語が進まないのかどうか、どうなんだろう。好みとしてはこれなしでやってほしかったけど、それだと色気も素っ気もなくて映画としての面白さに欠けるのだろうか。最後がいかにもなのもうーん、どうなのかなって感じだった。ただ、インド独立の時の状況や、当然今に続く複雑さの元が少し分かったし大変に面白かった。

by kienlen | 2018-10-11 21:16 | 映画類 | Comments(0)

ラ・チャナ

ここんところの一番の重圧から解放され、切り替えて勉強に取りかからねばと思ったが、ちょっと間隙が欲しくて映画を見に行くことにした。つい先日まで別のを考えていたが、友人から、友人が絶賛しているとの連絡があった「ラ・チャナ」に変更した。口コミの力ってやはり侮れない。さて、これは予告で見たときに面白そうだと感じたが、伝記物って多分いいのは分かるけどなんか想像つくような感じもあり必見リストというほどではなかった。芸能人だと酒とか男とか女とか、こう自己破壊的な不安定さみたいな感じの。で、これ、結果的にはとても良かった。ひとつには、誰かが演じるのではなくて当事者であること。伝記なんて勝手に思っていただけで、つまりはフラメンコダンサーのドキュメンタリーということか。それから、すっごく内省的であるのが良かった。もっと踊りの場面に満ちているのかと思ったらそうでもなくて、色々な含みのあるものだった。

ヒターノという言葉がいきなりでてきて、キーワードであることは分かったが、意味が分からなかった。知識があったらもっと深く理解できるはずなのに、毎度のことながら残念である。で、後でチラシを見たらヒターノ(ジプシー)と書いてあった。つまりヒターノの、決断するのは男であり女は従うだけだという文化がひとつのポイントとなっている。だからといってこの文化に抵抗する強い女という描き方ではなく、その文化に翻弄されながらも自分を貫くしかない、みたいな描き方が、とても感動した理由のひとつだと思う。この主人公みたいな人は天才なのだろうと思う。すっごく魅力的だった。ダリが彼女の踊りを見に来たときの感想が面白かった。チーターを2匹連れてきたのだそうで、彼女が大きな足音を踏み鳴らすと、うーっとうなって怖かった、といっていた。月並みな言い方だが、純粋。素直に生きるのがすがすがしくていい。大変良かった。自己満足でもなく自己欺瞞でもなくただストレートに表現できるというのはすごいことだと思う。もっとも身体表現というのは、ごまかしがききにくいか。


by kienlen | 2018-09-26 20:01 | 映画類 | Comments(2)

告白小説、その結末

明日は早朝4時半のバスで東京行くので眠りたいが眠くない。自覚としては暇なはずなのに、どうして時間がないのか分からない。今日も一日中運転していた。というような昨今だが昨日、この映画を見に行った。ゴーストライターのポランスキー監督作品とのこと。ゴーストライターも非常に面白かったが、これも非常に非常に面白かった。雰囲気はそっくり。後味もそっくり。人気作家のサイン会が始まりの場面。映像がほんと好み。サイン会もパーティーもうんざりな感じの作家のところに若くて素敵で謎めいた女性が近づいてきて、作家はすっかり気に入ってしまう、ああ、ちなみにこの作家も女なので男女の恋愛ものではないし同性愛ものというのでもない。作家は次作への意欲満々で夫も協力的なのだが、そう簡単に書けるものではなくて苦しんでいる。この苦しみ方が演劇的でシンプルでおかしい。で、この若い女性もゴーストライターなのだと名乗のり、作家の生活にすっかり入り込んでしまって色々な工作をするのだが、目的が何なのか分からない。彼女の言葉はことごとく嘘かほんとか分からない。分からない分からないと思っているうちに殺人か、というようなスリリングなシーンもあり、とにかく謎めいて不可解なのに面白い。最後まで不可解さと面白さは同じ。ああ、すごく好みだった、音楽も良かったし。喜劇であり悲劇であり人間的であり機械的でもあり。この間のビューティフルデイの不可解さで自分の理解力を激しく疑ってしまったが、これは違った。比べるものでもないが、こちらはとっても好きです。いいところ突いてる、心当たりありあり。映画の後は、久々の友人とイタリアンの店で豪勢な食事とワイン、美味しかった。
by kienlen | 2018-09-18 23:22 | 映画類 | Comments(0)

ビューティフルデイ

午前中にちょっと仕事があり、午後に人に会い、夜に会う人との間に、この映画を見た。見た理由は、ホアヒン・フェニックスって、戦争の作り方の主人公だったよな、確か、と思ったのと、ポスターがちょっと面白そうだったから。最近は映画館で感触に訴えるのがあると聞くが、これはもうにおいがあったら血のにおいだろうと思われる血みどろ映画だった。ずっと、いったいこの映画は何なんだと考えていた。まずストーリーがよく分からない。主人公が殺し屋であるのは分かるけど、最初のシーンと次の主要なシーンの結びつきが分からず、結びつきは最後にもちこされているのかと思ったら最後まで分からなかった。私の理解力不足なのか、それも分からない。しかし、途中から思ったことはある。昔好きだったハードボイルド小説の心理描写の部分の言葉を全部取り去って映像で語らせたらこうなるんじゃないだろうかと。それと、分からないから飽きるかといえばそういうことはなく、なんか、すごく不思議な1時間半だった。人間関係、今振り返っても分からない。主人公の生育過程も分からない。ただ、殺し屋だから冷酷とか、そういうステレオタイプでないことは分かるし、かといって感情につられ過ぎるのでもなく、みんなそれなりの人間なのである、というか。死と詩の結合というか。しかしこれを詩的といっていいのか、いや、死のない詩なんてあるのかって気もするし、まあ、そんなところ。原作があるようなのだが、かなり興味はある。読んでみたい。というか、どういう作品からこういう映画になったのか。うーむ、もしや自分の理解不足だけのことか…。
by kienlen | 2018-09-05 22:45 | 映画類 | Comments(0)

8月の家族たち

無料の動画サイトからこの映画の案内がきていて、昼間からそういうのを見たことはないのに、何となくタイトルに惹かれてアクセスしてしまった。そしたらいきなり出てきたのがメリルストリープで、それにジュリアロバーツも出てきて、何、何と思っているうちに面白くて昼間っから最後まで見てしまった。すごい面白かった。メリルストリープの巧さにはいつも感心し通しだけど、それをおいても面白かった。で、誰かにお勧めメールを送りたかったが、思いつく相手がいない。これを面白いと感じる人って誰だろう。逆に迷惑がられそう。とにかく何も知らない映画だったので、見終わってからちょっと検索してみたら、舞台でピューリッツアー賞を取っているのだそうだ。いやはや、面白かった。
by kienlen | 2018-08-31 21:17 | 映画類 | Comments(0)

ゲッペルスと私

昨日は朝方から車で出かけていて歩かなかった。それでどうも気分が悪くて夕方散歩がてら映画を見に行くことにした。予告で知って絶対に見ようと決めていたもの。変化のないドキュメンタリーなのは分かっていたのでそんなに期待していたわけじゃない。でもやはりこの関係のテーマは見たい。で、思ったよりずっとずっと良かった。ゲッペルスの秘書をしていた、インタビュー時103歳の女性の語りがほぼすべてなのだが、語りのすべてがメモしたくなる含蓄に満ちている。そして彼女の語りの中に挟み込まれるのが、アメリカやロシアのプロパガンダフィルムなのだが、アメリカので最高なのがあった。最強の武器は人種差別であり、ナチスがそれによって世界を支配しようとしているという趣旨、秀逸だった。

ヒットラー最後の13日の中で忘れられないのが、ゲッペルスの妻が子どもたちの口に薬を入れて殺す場面。抵抗する子の口に強引に入れてカチンと噛んだらおしまい。彼女はその場面を見ているわけではないが、紳士のゲッペルスが自殺して妻もと聞いて、躾が行き届いて行儀のよかった子どもたちのことを尋ねたら、子どもたちも、という答を知るシーンがある。誰も信じらないと思うけど、私は収容所の実態は知らなかったというのは何度か出てくる。これが本当なのかどうかは微妙な雰囲気だが、きっと本当なのだろうけど、それは多分知ろうとしたら知れたのだろうけど、知りたくないことは知らない方が自分のためだというセンサーがあったからではないかと感じた。だからあの時代を生き延びたのだということは当人が言っていた。白バラのショアきょうだいが処刑されるのも体制側から知るところ、あの映画は本当に辛かった。とにかくいくつかがつながった、歳をとるってこういうことだな。それにしても103歳であれって、すごい。

by kienlen | 2018-08-20 23:09 | 映画類 | Comments(2)

君の名前で僕を呼んで

しばらく前に見た映画。予告で知り、見てみようと思っていたもの。ただそれほど期待していたわけでもない。男性同士の恋愛というのはどこの国でも流行っているんだろうか。私は全然詳しくないが日本のこの手の漫画はタイではすごく人気のようだったし、タイはもちろんだが中国のドラマでもこれが人気なのだと聞いた。そしてこの映画はイタリア映画。舞台はイタリアの避暑地で時代は1983年だったかな、確か。最初にクレジットが出た気がする。この時代だと何がいいかというと、スマホがなくて電話は家電で、主人公の17歳の少年は、なんと本を手離さないのである。これだけで感動に値する。もっとも父親が大学教授というインテリ家庭であり、少年が読んでいる本も漫画じゃないし哲学書などで、読書の他には編曲したりピアノやらギターを弾いている。景色は美しいし、世俗のにおいの薄いのがいっそう美しさを増している。で、彼らの別荘にアメリカ人の大学院生が、大学教授のお手伝いとしてやってくる。この青年がカッコよくてモテモテ、という設定になっている。というのも変な言い方だが、演技のうまさなのか、カッコいいのに存在感が最初のうちは薄いのに、少年との関係が深まるころから俄然存在感を増す感じが、そんな印象を抱かせる。

思ったよりずっと良くて最近の中では最も感動が深かった気がする。この間の心と体は多分愛の不毛を描いているように感じられたが、こちらは逆でいっぱいの愛がある感じ。このような階層だし自分が感情移入するというところはあまりないはずなのに、どの人物にも共感できるのが不思議だった。少年が鼻血を出すところ、思わず吐く場面、ああ、分かるよ、なのである。こういうのは何なのだろう。細かい部分部分に感動の連続だった。そしてあの両親のすばらしさ。全体に夢のような雰囲気できれいだった。イタリア映画って、というほど知っているわけでもないけど、なんかいい。派手じゃなくて何気なく人間存在のある部分をすごく際立たせる感じというか、そういうのが共通している気がする。彼らがユダヤ人であることの意味がどこまでの意味をもつのかは、背景となる知識不足で分からない。複数の場面で強調されていたので深い意味があるのだと想像はするが。彫像との共鳴も人間賛歌というか、こういう明るさもいいものだが、タイトルといい、結局は自己愛なのだろうか、そう思うと興ざめでもあるが、そんなことはいいやと感じられる魅力があった。うん、よかった。

by kienlen | 2018-08-05 19:48 | 映画類 | Comments(0)

『オーラな人々』とSUKITA

この間図書館をぶらぶらしていて三島由紀夫のモノクロ写真が表紙の本をたまたま見つけてちょっと開いてみたら公開されていない写真が何枚もグラビアにあり、エッセイも面白くて椅子に座って読んでいたが、ついでに借りてきた。そして最初から読み始めたら、当初の面白さほどでなくなってしまった。どうしてかというと、雑誌全盛の時代に金に糸目をつけることもなく時代の最先端の人々に会ったことの説明から始まっていたからで、なんだか興ざめな気分になってしまった。どうして興ざめしてしまうのかははっきりとは分からない。時代背景の説明はあった方がいいのだし、著名人を取り上げたエッセイは面白いと思っていたのに。という余韻がまだ残っていた一昨日、いつもの映画館で「SUKITA」という映画を見た。予告を見て、これは見てみようと思っていたもの。SUKITAという写真家を私は知らなかった。しかし写真は見たことあるなと思った。デビットボウイを長年にわたって撮り続けただけでなく、ええっと思う有名人が次々登場して、親交を結んできた様子が分かるドキュメンタリーだった。で、時代がオーラな人々のころと重なっている。つまり自分も生きてきた時代でもある。ううむ。さて、今日は、というか今日も、といった方がいいのかもしれないが、一日中出ていた。家で勉強しているつもりなのに、実際には出てばかりでまるではかどらない。それなのに気分だけは在宅。何かが自分の中で間違っている気がする。変な乖離感あり。
by kienlen | 2018-07-27 20:52 | 映画類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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