カテゴリ:映画類( 331 )

シークレットマンとウインストン・チャーチル

ペンタゴンペーパーズの最後がウオーターゲート事件の始まりを予告したもので、その続きみたいな映画がシークレットマンだった。もうだいぶ前に見に行ったものをメモりそこねていた。シークレットマンというのは、つまり事件をリークした秘密の人のことで、それがFBIの副長官で、その人の視点から描いたものだった。FBIを愛し正義感あふれる冷静な熱血漢という人間像に感じられた。なるほど政府とFBIの関係って元々はこうで、今はどうなんだろうと思いながら見ていた。結末自体はもう知られていることなのでハラハラドキドキの程度は、分からないものとはけた違いだが、しかし面白かった。政治家というのは嘘つきでないとならないのかというのはいつもの疑問。

チャーチルのは、予告で見て必見と思って初日に見に行ったら珍しく観客が10人以上もいた。チャーチルについて、名前とかヒットラーと闘ったとかいうこと以外、そういえばよく知らないなということに気づいた。ヒットラーから世界を救った男との副題がついているが、まさにその通りな内容だった。ちょっと違っていたら違う歴史になるというのは当然だけど、それにしてもここで別の人が首相になったら、あるいはここでチャーチルがこの選択をするのをためらっていたらということをつくずく感じさせてくれるものだった。とっても面白かった。見たい映画がたくさんある、そして時間もたくさんあるのでせいぜい見に行こう。古いので見たいのもたくさん。

by kienlen | 2018-05-01 20:43 | 映画類 | Comments(0)

ペンタゴン・ペーパーズ

連日映画。これはネットの広告で知り、見たいなと思っていたもので昨日行った。映画館のカードのポイントがある程度までたまっていたが、いない間に期限切れでゼロに戻ってしまった。あん。メリル・ストリープとトム・ハンクスで、スピルバーグ監督。描き方はワシントンポストの社長だった夫の死を受けてまるで予期せぬ社長を務めることになったメリル・ストリープの心情にかなり重きがあって、ひたすら政治的な内容だろうという予測はいい感じで裏切られた。ま、ひたすら政治的なんて予測する自分の浅はかさを知ったということか。役者のことはあまり知らないけどメリル・ストリープは大好きだ。そして今回も素晴らしいなと感じた。表情を見ているだけでハラハラと涙とが入り混じる。

監督の意図は明白で、民主主義国家にとって何より重要なのは言論の自由ということ。なんというか理想形が描かれていて、実話に基づいているようだが、夢のようなお話に感じてしまうのだった。ひとつは、ジャーナリズムの役割保持のために何をすべきかという点で、協調すべきところはしないとならない。そうじゃないと共倒れ。このあたりのスリリングな見せ方が最高でした。活字メディアってもう何年あるんでしょうかという感じはひしひしとあるけど、あえてそのあたりを強調するかのように活字を拾う場面が執拗なくらいに出てきたのが面白かった。日本語は活字を拾うのが面倒な文字だと思っていたけど、英語だってあんな風にやっているのだから手間としては変わらないのかもしれない、とか。ああ素晴らしいと感動して、映画を見る友人にお勧めしたら見に行くとの返事があった。反応が怖いような楽しみなような。

by kienlen | 2018-04-05 22:22 | 映画類 | Comments(0)

赤い襷

まだ帰国から間もないころ、友達と会った時に映画の鑑賞券をもらった。富岡製糸場に行った松代の横田英の話ということでひじょうに興味があったので嬉しかった。いつものようにひとりで行くつもりでいたら別の友人からこの映画の誘いがあり、毎日が日曜日状態なのをいいことにさっそく行ったのが昨日。観客は驚くべき多さで、10人以上いた。友人と「こんなの初めて」と顔を見合わせる。予告が何本かあったけど、チャーチルのは絶対見たいと思った。で、この映画、始まりは横田英たち一行が松代から富岡製糸工場に行くシーンから始まる。この工場が作られることになった経緯があり、工場での出来事が涙を誘うところも織り込みながらドラマとドキュメンタリーの中間みたいな感じで進行。で、最新機械による製糸の技術を学んで戻るというところでおしまい。富岡日記も読んだことがないし、それに岡谷も諏訪も上田も南信州も製糸や蚕糸の後が濃厚に残っていたり意識的に残しているのに対し、松代は別の財産があるせいもあるのか製糸の香りが感じられないので横田英が行ったくらいしか知らず、その意味では勉強になった。

フランス人の腕利き検査人を招いて工場を建設したところは知らなかった。シルクといえばタイシルクも有名だが、前に富岡で学んだ女性がタイの製糸業の支援で渡タイして奮闘するという話を読んでから富岡に興味が沸いて世界遺産になったのもあって見に行ったりもしていたが、ここでそれが出てくるわけじゃあないけど、色々つながるのが面白い。こじんまりまとまっていて良かったし、それに予算だってそんなにないんだろうことは分かるが、好みからいえばもっとテンポを速くして盛り込む内容をもうちょっと広げてくれたらなあとは感じた。それと、松代に戻ってからの場面が欲しかった。なんていうと、趣旨からずれていくんだろうけど。ちょうど今読んでいる本が日本語文法を統一して列強に負けない国家としての日本を作ろうという話なので時代的に重なりとっても興味深かった。しかし江戸から明治というのは本当にすごい時代で一歩間違えたらの連続であることを、ほのぼの系ではあるこの映画でも十分感じることができた。あの田舎でお蚕さまのおかげで生き延びたと感じている者には見る価値があった。

by kienlen | 2018-04-04 10:51 | 映画類 | Comments(2)

「あ、春」

すごく久しぶりに映画を見た。こちらの国際交流基金で毎週金曜日に無料の映画上映会をやっていて、前から行ってみたいと思いつつ、いつも何かで行きそびれていた。遠いし交通費もかかるしで、何となく挫折という面もある。で、今日は思い切って行ってみた。「あ、春」という、私は聞いたことのないタイトルの映画だった。誰もいないのじゃないかと思っていたら、10人以上来ていて、前の方に男性たちが座ったので、そのたびに席を移動し、結局脇の方の席に落ち着いた。そういえばほとんどが男性というのは、日本ではあまりないことではないだろうか。ロングステイの人たちという雰囲気だった。

全然知らずに見たのだが、思いのほか面白かった。佐藤浩市、山崎努という好みの俳優が出ていて、さすがだなって感じだし、佐藤浩市の妻役もいい味出しているなと思ったら斉藤由貴だった。芸達者な方々という感じ。1998年の作品。父は死んだと聞かされて育ち、いいところのお嬢さんと結婚という玉の輿に乗った証券会社のサラリーマンが佐藤浩市で、一時は羽振りが良かったが、会社自体が落ち目になっている。妻は心の病っぽく、ひとり息子は元気で、妻の母と同居という家族構成。そこに、主人公の父親という人が突如現れる。これが山崎努。自由奔放というのか、みんな振り回されっぱなしなのだが、それぞれの微妙な心理状況が感じられる。いくつかのどんでん返しがあり、笑える部分もある喜劇の様相で、どの人物もくっきりしていて分かりやすく、かつ嫌味もなく、大変面白く鑑賞させていただいた。外国で見ると、ああ、日本って感じ。

by kienlen | 2017-12-15 23:45 | 映画類 | Comments(0)

娘よ

この非日常的生活があと数日で終わる。週明けはテストがあり、レポートもありなので勉強やら何やらで大変な人が多いようだが、私は岩波ホールに映画を見に行った。母娘割引というのがあり、ご丁寧に証明不要とあったので、ここに大勢いる娘世代の誰かに付き合ってもらいたいと思ったが、とてもこんなマイナーな映画に誘えるほどの仲の人はいなくて一人で行った。本物の娘にも一応声をかけたが、明日本屋に一緒に行くことになっているしで今日は見送り。どうしてこの映画を見に行ったかというと、友だちに勧められたから。パキスタンは行ったことはないが、身近に感じる国ではある。友だちがいるし、関係者もいるし。これを勧めてくれた人も関係者のひとり。

物語はシンプルで時間も1時間半ほど。景色がすごくきれいだったし役者もきれいだった。が、内容はとてもきれいとはいえず残酷。部族間の争いに手を打つためにまだ小学生の娘を相手部族の初老という感じのリーダーに嫁がせることになり、それを知った母親が娘を連れて家から逃げる。これはとんでもないことで、相手部族にとっても父親にとっても不名誉この上なし。何が何でも探し出して殺さなければならない。尊属殺人は最近もニュースになっていたが、なるほどこうして起きるのかというのが垣間見える。とにかくハラハラし通し。実話に基づいてパキンスタン人女性監督が10年の構想を経て作ったものだそうだ。分野的にはロードムービーというものかな。道中の景色が変化に富んでいて、美しくてかつ怖い。内容は社会派でこじんまりしているようだけど映画の楽しみがいっぱい詰まっているという感じだった。紹介してくれた友人に、今でもパキスタンの田舎ではこんな感じなんでしょうかと聞いたら、そうですよ、という答えだった。



by kienlen | 2017-04-15 22:34 | 映画類 | Comments(0)

海は燃えている

どうしてもやらなければならない仕事を何とか終えたので、父とランチができて、その後、現場に行く仕事の最後をやり、なんと思いがけずワインをもらい、割らないように持って自転車で図書館に本を返却しに行き、やるべきことはまだあるので急いで戻ろうとして、しかし映画館の前を通りがかり何となく見たらこの映画が1時間後。これもご縁だ、やるべきことを忘れて入ってしまう。ロビーで書類記入とか読書とかで1時間はあっという間だった。そしてまたもたった1人の映画鑑賞。

難民がテーマというだけしか知らなかった。フィクションかと思っていたら、イタリア南部の島が舞台のドキュメンタリーだった。ここにものすごい大勢の難民がやって来る、という説明が入るのは出だしだけで、後はもうひたすら淡々とした映像。島が舞台というだけでふたつの無関係な話が進行する。ひとつは島の猟師の家族でひとつが難民の状況。島の住民の暮らしは一応のどか。難民の状況はものすごい過酷。ドキュメンタリーでこんなに遺体が出てきたのを見たのは、例の東北の「遺体」以来だ。生と死が紙一重であることを言葉にしないで教えてくれるものだった。家に帰ってテレビをつけたらシリアの状況だった。映画にはシリアからの難民もいた。いただいたワインはイタリアのだった。

by kienlen | 2017-03-19 22:39 | 映画類 | Comments(0)

グレート・ミュージアム―ハプスブルク家からの招待状

昨日、昼間出かけて家に戻り、いつも行く映画館の回数券が残っていたのを思い出して確かめると4月で期限切れ。使い切るためにまずこの映画を見に行った。7,8人も観客がいてびっくりし期待も膨らむ。ミュージアムのお宝が次々映し出され、行くよりも臨場感あふれる映像、みたいなのを何も知らずに想像していたら違った。ウイーンの美術史美術館の改築と再オープンまでを描いたドキュメンタリーだが、裏方の仕事と予算削減や宣伝などの事情を伝えるもので、思っていたよりとっても地味な作りだった。美術品の修正の様子は、コツコツした職人仕事にあこがれる者としては興味深かった。ヨーロッパの美術館をいくつも見てきたので身近に感じた。最初に出てきたのは大英博物館の人だったし。保存できるのはヨーロッパの気候のおかげもあるのだろうな、熱帯であれはムリでしょう、と思いながら見た。映画を見てから夫の店に寄って飲み食いしてそろそろ帰ろうかと思ったところに、仕事の関係の知り合いが入って来てびっくり。しばらく留まっておしゃべり。帰りは雪降りの中だったので今朝もしかして積もっているかと思ったらそこまでにはなっていなかった。
by kienlen | 2017-03-11 21:27 | 映画類 | Comments(0)

暗殺の森

確かDVDで見たことがあった気がしてもう一度のつもりでさっそく初日に見に行ったのだが、見たことがあると思っていたのは勘違いだったようだ。森に向かう車の様子だけが既視感だったけど、こういうシーンはどこにもありそうだし。土曜日だったせいか観客が10人ほどもいてびっくりした。タイトルからしてストレートに政治的かと想像したら高度に芸術的だった。知識があったらもっと色々読みとれたと思うと自分に対して残念だが、何を意味しているのかと必死になってしまいつつ、そんなことよりもこの映像の美しさに浸れるだけで充分と思うのと両方だった。美しかった。このような抽象度の高い映画ファンがこんなにたくさんいるんだ、と感心していたら最後のタイトルバックになったとたん、どたどたと皆さんお帰りになり、これにもびっくりした。というのは、最後に流れていた歌の歌詞を見ずに帰れるのかと。

見た後にネットでの情報を少しみてみたところ、主人公がファシズムに傾倒して秘密警察に入る動機が、子どものころに犯した殺人への罪悪感とあったが、そういうシンプルな因果関係なんだろうかというのは自分には分からなかった。ムッソリーニ体制の崩壊する終わりの方で「みんなと同じことしていれば大丈夫」と言っている場面があり、そっちの方が少年時代の経験と関係するように感じたけど。それにこれがファシズムを象徴する言葉だろうし。でもそうか、懺悔の言葉があれだったからだろうか。それにしてもこれ、モラヴィアの孤独な青年が原作と知って懐かしかった。モラヴィアは若い頃に好きだったことだけは覚えているが内容は覚えていない。読み直したい。そんなのばっかりだ。孤独な青年の方が内容には合っていると思うけど暗殺の森の方がインパクトはありそう。ベルトリッチ監督のはラストエンペラーしか見たことないようだ。文学的というか哲学的というか区別できるのか知らないが素晴らしかった。もう一度見たらもっと分かることがありそう。

by kienlen | 2017-03-05 09:46 | 映画類 | Comments(0)

オアシススーパーソニック

連日の上田が終わった。今日も缶詰でランチ30分を覚悟していたら1時間あったのでファミレスに行った。行きたいわけじゃないが他になくて。食べながらラーメン屋の方がマシだったか、しかしラーメン屋に1時間いられないしと思いながら美味しくもないコーヒーをおかわりした。ひたすら、エネルギーが途切れるのが怖くて。という本日とは無関係な映画は、しばらく前に見たものだ。これを見たかったというんじゃなく、映画でも観に行こうと思った時間帯にちょうどこれをやっていて、ミュージシャンのドキュメンタリーは好きなのもあって決めた。でも私はオアシスという英国のロックバンドのオの字も知らない。全く全く知らない。ちょうどタイにいた時期で、交通渋滞で疲弊しきって文化的に不毛な時期だった。

オアシスを知らないので最初は何が何だか分かりにくかった。コラージュみたいな面白い作りで、速いテンポで画面が変わり、そもそも登場人物の名前も分からず、まあその内に…と思いながら観ていた。映像にしろ話にしろ説明的な部分はなくて、突きつけてくる感じというか、攻めてる感じというか。人間味あふれるドキュメンタリーで、見ているうちにだんだん面白くなってきた。オアシスを知っていたらこんなに手間どることもなかっただろうが、特に家族関係のところは興味深かった。それとマスコミに対する態度とか。見ながら、昔の話じゃないのにレトロだなあ、今の時代とは違うなあと感じていたら、そういう趣旨もあることが分ってきた。だからああいう映像にしたのか、なるほど。つまりインターネットに席巻される境界線のあたりの話。久々見たドキュメンタリー。過剰な赤裸々さに愛が満ちていた。団地からスターが生まれるなんて今の時代にはもうない、それで音楽はどうなっちまうんだ、というくだり、はい同感です。ロックでした。結構良かった。

by kienlen | 2017-03-01 23:14 | 映画類 | Comments(0)

ヒアアフター

昨夜のことになるが、ふっと無料の動画サイトを見たらクリントイーストウッド監督のこの映画があった。試しに見てみたら、最初がド迫力の津波の場面で、プーケットの大被害を彷彿とさせるものでいきなり釘付け状態。その後もあまりの面白さに目を離せずに最後まで見てしまった。吹き替え版だったので楽で、これはこれでなるほどねと思った。バラバラの人たちが最後につながるという、何ていうんだろう、小説だと群像小説なので群像劇というんでしょうか、それ。小さなパソコン画面でこの感動ということは、大変素晴らしいということだ。劇場でもう一度見たいと思った。
by kienlen | 2017-02-21 23:47 | 映画類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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