カテゴリ:読み物類( 734 )

『技法以前-べてるの家のつくりかた』

最近友人有志たちと読書会を始めた。前々からやりたいねという声はあったものの、自分たちでやるというのは立ち上がりのエネルギーがいるので着手できずにいた。一時期すごく楽しみに参加していた読書会があったけど諸事情で挫折し、まあ何より社会人を半分止めているような状況を活かさない手はないので発足させたわけだった。持ち回り式の担当者が課題本と会場や進め方を好きに決めることにして、2度目である次回の課題図書がこれ、という経緯で読むことになった本でメンバーからの借り物でもある。こんなこともないと読むことはなかった存在さえ知らなかった本。べてるの家というのは聞いたことがあるな、程度しか知らない。内容は大変まとも。ケースワーカーとして長い経験をもつ著者の考えと実践、体験をつづったもの。統合失調症という現象との付き合い方という感じだろうか。幻覚や幻聴が症状なので分かりやすい、というか現代社会にあっては明らかな問題行動があるということになるが、その深層は何かというのを、いかにも専門家として深堀するというのでもなく、専門家ではあるが感性のある人間ならこうだよな、というくらいの次元で対応しているのだが、形態としては、自分の症状を自分で研究して発表するという形をとっている。精神科医の対応も含め、この分野で広く常識とされているものとは大きく違うのだろうけど、専門家じゃない者からみると、これがまともでしょう、と感じてしまうようなものだった。本を読んでいる時間が惜しいって感じになっているので実は、この厚い本を読めるだろうかと思ったりもしたが、難しい内容じゃないのでそんなに時間はかからなかった。日常生活にも応用できる技法以前だし、悩んでいる人にとってはヒントがたくさんあると思われる。読書会の一回目は『中村屋のボース』だった。これはざっと再読してやはりいいなと感銘を新たにした。この方向でいくと文学ではなく社会科学系が主流になりそうな気配。
by kienlen | 2018-06-28 13:54 | 読み物類 | Comments(0)

『朝鮮と日本に生きる―済州島から猪飼野へ』

友人が貸してくれた本。済州島の4・3事件なんて、まったく知らなかった。本を読むたびに無知を知るだけだ。この間見た韓国映画「タクシー運転手」が光州事件だったけど、そっくりで、背筋が凍り付くとはこのこと。あの警察幹部の恐ろしい顔が浮かんでくる。そして世界では、このような状況が終わっているわけではない。この本は、書いているのが当事者で、自伝であり韓国のある部分の現代史の歴史書にもなっているのだが、詩人である著者の素晴らしい言葉が、内容の残酷さと相まってえも言えぬ雰囲気を醸している。日本の占領下で立派な皇国少年だった著者は、敗戦による解放を複雑な思いで迎えるわけだが、実際には米国の反共政策による弾圧を見ることになる。10代の少年のまぶしい一途さも痛々しいし、韓国の直面した現実も痛すぎる。とにかくアメリカと政府と右翼とがごっちゃになって凄まじい虐殺を済州島でするわけだが、小説なんてもんじゃない危機一髪を著者は何度も生き延びて日本にたどり着く。こういうのをみると、人間ってそれぞれ使命を与えられて生かされているのだと思ってしまう。故国では南北の分断に反対して闘ってきが、仲間は片っ端から殺されてつぶされる。その時に活躍したのが日本の占領下で育てられた組織。で、その日本に密入国してからがまた波乱の連続、とはいえ、とりあえず命の危険はないのでここからは涙なしでも読むことができた。日本に来てからの問題は朝鮮と韓国の問題に巻き込まれるから。結局朝鮮籍から韓国籍にすることで一時帰国も果たすことになる。すごい濃厚な本だった。




by kienlen | 2018-06-25 21:59 | 読み物類 | Comments(2)

『はじめての中国語』

何年前かは覚えてないが再読ではある。今回のバンコク滞在中、どうしても中国語をやりたくなった。中国人が教えてくれるというのでタイ人と一緒に教わるのを楽しみにしていたのに2回で時間切れとなってしまった。自宅に中国語のテキストやらこういう本はたくさんあったけど、まさかバンコクでそんな風に思うとは予想していないので持参せず、タイ語の中国語テキストを一冊買って独学と思ったけど、タイ語優先で時間なし。それで戻ってから友人と独学しようとCD聞いて始めたりもしたが、やはり先生が欲しい、という当然至極な成り行きで教室に申し込み、通い始めて3回になる。そんな経緯なので何冊かある同じ類の本をペラペラしてみて、これが面白そうで読み直すことにした。そしてとっても面白く、実用的だった。読んでおしまいっていうよりもテキストとして手元に置いておくと役立つ内容。こういう内容でタイ語があるといいのに、ないのだろうか。今のところ見つからない。つまり実用的ではあるけど言葉の背景を説明してくれ、何よりも読み物として面白いもの。

中国語をどうして学びたいかというと、日本語とタイ語の両方をイメージするのが面白いから。それに漢字なので音より文字が先に目に入ってしまうという言葉は日本人にとって他にないのではないだろうか。声調のあるのはタイ語と似ていて同じグループの言葉に属しているらしい。発音は似ているところもあれば違うところもある。そして語順が似ているようで全然違うのが楽しい。どういう発想をすればこういう語順になるのだろうかというのが疑問だけど、この本はそのあたりが分かりやすく書いてある。覚えられればかなりの勉強になるが覚えられないので、今後もたまに開いてみることにしよう。それから外来語を中国語にする場合の方法のいくつかも紹介してあり、その際のエピソードなどもあり面白い。かじりはじめたばかりの者には面白いけど、レベルの高い人には分かり切ったことで退屈なのかもしれないと思いながら、そういう日が来るといいのだが、と思う。

by kienlen | 2018-06-19 13:08 | 読み物類 | Comments(2)

『タイ現代文学覚書―「個人」と「政治」のはざまの作家たち』

この間読んだタイの小説が面白くて、もっと何かないだろうかと県立図書館にタイ語の本を見に行ったがめぼしいものは見つからず入荷間もない棚を見ていたらなんとこんな本を発見。即借り。で、ここにこの間の本も作家も登場していた。それによると、生きるための文学から創造的な文学へのパラダイム転換、文学における思想の社会主義から個人主義あるいは実存主義への変化、形式的にはリアリズム一辺倒から象徴と実験、意識の流れが導入され多様性が生まれることになる変化を象徴する作家がチャートなのだそうだ。先行研究が多いのでと、あまり多くは触れられていなかった。そしてそっか、タイトルは「裁き」。ここに出てきた本で読みたいと思ったのがあったので、もうすぐタイに行く夫に買ってきてくれるよう頼んだら簡単にオーケーだったが、多分時間がなかったとかで約束は反故にされることだろう、今から残念。まあ、さすがにここまで長い付き合いで信用したら自分がバカである。昨年行ったブックフェアに今年も行きたい、そこで見つける楽しみとして残しておこう。それともうひとつ。好きで何度も行ったブックカフェがこの本に出てきた。誰がやっていて出店の経緯がどうなのかというのが説明してあった。意外だった。これを知った上で行くとあのコーヒーとしょっぱいケーキの味も違って感じられるかもしれない。ちょうど興味の時期と一致して面白かった。たまたま図書館に行かなければこういう本の存在を知ることはなかったと思う。ご縁。
by kienlen | 2018-06-08 22:24 | 読み物類 | Comments(0)

『イギリス支配とインド社会』

昨日はほとんどが待ち時間という仕事だったので、本をたくさん持参するのが楽しみだった。待ち時間の報酬があるわけでないので何をするのも自由。まず、図書館で借りたこちらを読んだ。入門書としてとっても便利な山川出版の世界史リブレットのシリーズで、予想通りとっても面白かった。タイトルの通り、イギリスの植民地支配がインド社会にどういう影響を与えているのかという内容。国民国家として独立する以前に植民地支配を受けるということは、国としての形を決めるのに宗主国の治め方が大きく影響するということで、ここではイギリスがインドをどう認識していたのかというところから解き明かしていく。最初は東インド会社なので、そこの社員に現地語習得を奨励したことや、インドの古典語のサンスクリット語がイギリス支配を通じて初めてヨーロッパに紹介されたこと、そして宗教を分けたことも重要、つまりヒンズー教とかイスラム教とか。

外圧によってカテゴリー化されたものを、された側がどう甘受するか、あるいはしない場合もあるだろうけど、というのは状況によっても身分や階層によっても異なるわけだが、そのあたりのダイナミズムを説得力ある筆致で教えてくれる。植民地になっていなかったら宗教対立といわれるものがなかったのかどうかが分かるわけはないけど、それにここでも、ひとつの要因から何かが導かれるわけではないという当たり前のことについても慎重に言及しながらではあるけど、色々とイメージが膨らませられるのは文字による表現の面白さ。分割統治というのがローマ帝国から始まったということをローマの話を読んでしったわけだったが、ここでも注釈にそれがあった。それに前に読んだインドの仏教徒の話と重なる部分があったり、あっちで出てきた名前があったり、小さなことが楽しかったりする。カースト制度についての話も、なるほど、日本人に分かるわけないよな、という複雑さ。夫が今月インド留学の下見に行くということで、それによってどう決めるか知らないが、自分もちょっとは暮らしてみたい感はとてもある。



by kienlen | 2018-06-03 13:27 | 読み物類 | Comments(0)

『คำพิพากษา』

昨日やっと読み終えたタイ語の小説。帰国後すぐに翻訳理論を読んでから次どうしようと本棚を見ていたら発見。いつ買ったんだろうと思いながら開いてみたら、分からない単語だらけで辞書引き引きながら惹きつけられてしまい、読めば読むほどこれはすごいと思って朝方はこれを読むのにあてていた。それにしても2か月以上かかったことになるので情けないといえばいえるが、原語で読む感動はまた別格である。最初は分からない単語を片っ端から辞書引いていたけど、後半はそれをやめた。登場人物の設定もストーリーもとてもくっきり分かりやすく、流れの中に入れたし、分からない単語というのが古い言い回しだったり、擬態語みたいな感じだったりで、つまり文学的な言い回しと感じられ、それが分からないと決定的に不明瞭というのでもなかったので。よってどこまで味わえたかはおいておいて、小説としてすごいなと感動し、読後にウィキペディアで見てみたところ、作家は国民的作家であり、日本語含む色々な言語に翻訳されていることが分かった。もう40年近く前に出版されたもので、作家がまだ20代だ。すごい。私が持っているのは43刷。2回映画化されているということだった。それにしてもこんな暗い内容のがタイで受けるというのがイメージしがたく、バンコクにいる友人に、その理由をタイ人に聞いてほしいと連絡してある。

タイトルの意味は「判決」なので、このまま日本語訳になっているかもと思って検索してみたが今のところ分からない。で、このタイトルから裁判に関するものなのかと想像したがそうではなくて、社会の衆人の目というか言動を表わしている。よってたかってのバッシングという感じだろうか。主人公は善人で親孝行の貧しい男性で、舞台は寺と学校が中心みたいな片田舎の集落。まずこの設定がちょうどいいタイミングで、今の自分には興味津々。とにかく今回のバンコク滞在で、仏教というか寺の重圧を感じ、キリスト教というか教会の重さに匹敵するのではないかと初めて思ったのだった。そのあたりの感覚を抱きながら読むと、主人公に下す衆目の判決に寺の影響が巨大であることは感じざるを得ない。学校の用務員の父と2人で寺の敷地内の小屋で暮らしていた主人公は親孝行で品行方正で、小僧さんとして寺に入っている時は村人から慕われていたのだが、徴兵されて軍隊から戻ってからが大変なことになる。父が新しい妻を残して亡くなったものだから、形上は養母と同居することになるのだ。仏教に帰依している主人公は女性との関係を持つことはないのに周囲はそうは見なくて、養母を妻にした男のレッテルを張る。で、この養母という人は、男性に胸を見せちゃったり、みんなは白か黒で参加する寺の法事にオレンジ色の派手な服を着ていくような人で、ゴミを集めるのが趣味。ゴミを家にこっそりストックして眺めている場面など、ゴミ屋敷問題先取りの感がある。濃いキャラクターではあるが、その濃さは必要以上には強調されていなくて、あくまで主人公が浮き立つようになっているのでひじょうに分かりやすい。

主人公はこの問題の養母を養わねばならないという使命感に縛られていて、実は僧侶として寺に戻りたいのだが、よっていつも寺のボランティアをしているのだが、衆目が悪口を言おうと養母と暮らし続ける。両者の関係というのが同病相憐れむというか、心理描写がいいのである。といっても養母の側からの描写は多分なくて主人公側から。三人称なのに特定の人物に偏った視点が面白く感じられたけど、あるいは気のせいなのだろうか。主人公は父から受け継いだ学校用務員の仕事を生きがいにしようと努めるが、その場面での山場となる出来事は狂犬を処分するよう指示されて殺してしまうこと。このあたりはタイの状況を知っていないと分かりにくいかもしれないが、殺生しない寺周辺は犬だらけ。隣が学校だったりすると、朝礼の場所にも教室にも犬は普通に入ってくるので慣れないと怖いし実際危ない。仏教徒でありながら殺生禁止の戒を破ったことで主人公は苦しむ。次の山場で全体の大きな山場のひとつは父の火葬。倉庫にしまってあった遺体を火葬する儀式で、村人が集まるべき重要な儀式なのに誰も来ないのだ。追いつめられる主人公。ここで、職業柄最下層と見なされている遺体を焼く職業の男性と急接近し、初めて酒を飲む。仏教徒は酒は禁止なのにまた戒を破ることになる。ここからは大げさともいえる転落ぶりで、酒に逃げるだけの生活になる。ただ、当時の酒は品質も悪いだろうと想像すると短期間に体がおかしくなるのも大げさではないのではないかと思うが、食事ができなくなり吐くものがないから胃液が出たり、眠れない場面など、お酒を飲まない人には気持ち悪い描写としか思えないかもしれない。酒を飲む人は心当たりありありと思う。

その後にまた山場があって、それは主人公が給料を預けていた学校の校長の裏切り。酒浸りになった主人公は結局学校を首になってしまうのだが、父の代からのお金を校長が管理してくれていたのをもらいに行こうとすると、知らん顔をされるのである。お金の管理を人に任せるなんてと、タイを知らなければ不自然に思うかもしれない。でも、当時のタイの田舎だと十分ありだ。この辺りの校長の様子もますます追い込まれる主人公の態度も類型的ではあるけど、分かる。それから今まで何があっても逆らったり自己主張しなかった主人公が酒の力を借りて校長の不正を訴えるようになり、しかし社会的地位と金がある者は偉くて何でもできる社会であるから、もがけばもがくほど権力も金もない主人公は不利になり、ついに警察に捕まってしまう。となると判決というタイトルは裁判の結果なのかと想像していたら全然違って、死という結末。最後の最後まで正義も善意も信仰も報われずに負けるのであった。バンコクの友人に連絡したのはまだ読み終える手前だったのに、タイ人の知り合いからの感想というかあらすじが送られてきて、そこに結末が書かれていたのにはびっくりした。ここですごいのは主人公の死も校長が自己宣伝に使う様子がしっかり描かれていることで、校長のほほ笑み方などお隣にいるかのごとくに浮かんできて、場面場面の説得力があっぱれ。で、主人公に救いがないかというと、それもまた違って、つまり小さき者にとっての救いは死でしかないのである。これはもしかしてハッピーエンドなのだろうか。

途中だれることもなく最後の最後まで面白かった一方、悲劇として大げさすぎるとは思いつつも泣けてしまった。感動。で、読了後にチェックしたところ、ギリシャ悲劇を下敷きにしているとか、いずれもノーベル賞作家のドイツのギュンター・グラスや日本の大江健三郎に匹敵すると称されているらしいことを知った。作家についての解説を読むと、小学校から書き始め、筆一本でやっているストイックな寡作な作家という感じ。読書がいかに大切かということを喧伝する活動もしているそうだ。いいタイミングで出会えた小説らしい小説。大変良かったです。辞書を引く手間が10分の1になったらもっといいのに。まあしかし苦労して読むとその分だけ味わい深いという面は確かにある。それにしてもいつどこで買ったのか。





by kienlen | 2018-05-31 09:54 | 読み物類 | Comments(2)

『上海―多国籍都市の百年』

ツアー前日に図書館に寄って何か読めそうな本がないだろうかと見たところ、中公新書のこの本があってパラパラしたらとても読みやすそうだったので借り、さっそく読み始めたところ面白くて、金沢までの新幹線、飛行機、旅行中と少しずつ読んでいたら最終日前に読み終えることができた。それにしても歴史といい何といい、ものを知らなさすぎることにがっくりすると同時に、おかげで何を読んでも新鮮で面白く感じられることにも感謝。そしてこの本は最初から最後まで実に興味深く、旅のお供のガイドブックとしても適当だと感じた。記述スタイルが物語風になっているので面白く読める。アヘン戦争に敗れてイギリスが租界をつくったところから、フランス租界のこと、国による租界の性格の違い、中国の政府や社会と租界との関係と制度、中国人との関わり、覇者がイギリスからアメリカになり日本になり、そして戦後どうなったかなどなど、目に見えるように描写してある。

特にロシア人、ユダヤ人のことは、ああ、思わず、なるほど、こういうことかと嘆息。両者の微妙な位置というのは、ちょっと他の国と違うし、さらに上海の日本人のユダヤ人に対する視線のヨーロッパ人との違いなど、まさにね、というところ。物語性を感じるのは、滑り出しの部分である特定の人物に当時の状況を代表させて描いているからで、それが時代背景の中に自然に溶け込んでいくから。人物像がいずれも生き生きしていてイメージが容易。今回は全部お仕着せのパッケージツアーだったので、ここに出てくる建物を訪ねたりということはできなかったが、それをしたらもっと面白いだろうと思う。しかし実際にそれをするところまでいくかというと、それよりも別の所に行きたくなってしまうように思う。それにしても中国は近い。そしてあの歴史と文明と影響力。次は北部に行きたい。となるとどれを読んだらいいのか…。とにかくこの本は、読んで良かった。ずっと覚えていられるわけでないのが悲しい。

by kienlen | 2018-05-27 20:36 | 読み物類 | Comments(2)

『ローマは一日にして成らず』上

友人がはまっている本を借りた。塩野七生のローマ人の物語。一体何巻まであるのか知らないけど、これは止められなさそう。文庫版なのだが、まず長い前書きで文庫の厚さについて書いてあり、薄くしたのは上着のポケットに入れて邪魔にならないように。素敵すぎる。本文に入る前から打ちのめされる感あり。そのため、この巻が上下に分かれているようで上の方が薄くて下はそれよりは厚みがある。多少ブルーがかったグレーと大理石のような表紙と裏表紙の色も素敵だし、さすがはデザインのイタリア、の、物語。で、内容もすごく面白い。今までも読まねばとは思っていたけどきっかけがなかった。イタリア行ったことないからというのが大きいかもしれない。

丘が多いという始まりだけでもう行きたくなっている。でも、イタリアに行ったことないという人の方が周囲をみると少ないように感じなくもない。これを貸してくれた友人は、これを読むようになってから「寛容」という言葉をやたらに発している。その理由は、ローマ人は闘った相手だろうが何だろうがみんなをローマ市民として取り込んで、これが他にはないもので、それだから長続きした、ということのようであるが、まだ読み始めたばかりなので神髄部分には至ってない。ただ、次から次と読みたくなるであろうことは予想できる。今借りてるのは3冊。終えたのはまだ1冊。スパルタの徹底ぶりがすごかった。軍事に徹することで、哲学も科学も芸術も何も生まなかった、ってなんかある意味あっぱれ。まあ、そういう所に住みたくはないけど。それにしても、人間がやってることって基本的には古代から変わってないのである、人間だもの。

by kienlen | 2018-05-17 20:18 | 読み物類 | Comments(2)

『バイリンガル』

しばらくぶりでミステリーを読んだ。この間、本屋で熟考の挙句買った3冊のうちの貴重な1冊がこれ。ちょっと気楽に読めるのもいいなと思って買ったのだが、娘の荷物のまだ未開封のを開けたら気楽な小説もわんさか出てきたのであえて買う必要もなかったきらいもある。とにかくもう現世で本で困ることはないであろう。娘のおかげで古典的名作も内外かなりあるし。この本に興味をもったのは第一にタイトル、それから謎解きの核心部分になるのが言語だから。登場人物の中心はアメリカの大学の言語学部の先生や学生で、それからその家族と子ども。バイリンガルの子供の発音のミスがポイントになっている。興味のあることなので全体的には面白く読んだけど、何かキレ味よりもまったり感が独特で、このあたりは好き嫌いがわかれるかもしれない。自分としては国際結婚とか子供とかの親近感があり音声にも興味あるのでテーマにひっぱられた感はある。それと家族や子供への愛情がいっぱいという感じが好感ではあった。誘拐事件なのだけど、お金の受け取りがあまりに無防備なのが気になったかな。ミステリーというか、家族の物語というカテゴリーに入れてもいいような気がした。アメリカは知らないが外国にいる日本人の雰囲気はなんか、分かるなあと思った。
by kienlen | 2018-04-29 19:12 | 読み物類 | Comments(2)

『日タイ翻訳基礎編』

確か帰国から間もなく読み始めた。日タイの翻訳技術ではなくてタイ日を読んでみたいけど今のところ発見できていない。それはそのはずで日本語からタイ語にはたくさん訳されているがその逆はそれほどないんでしょうから需要がもうまるで違う。それでバンコクの本屋で買ったタイ人向けのを読んでみることにした。バンコクでタイ語に翻訳された東野圭吾の本を2冊読んでみて一冊は夢中になれてもう一冊がそうでもなかったのが原作の違いもあるが翻訳の違いもあるかもしれないと思ったりもする。それからテーマは自分の興味にドはまりなのに何度読みかけても挫折しているのがあるが、それは原作が英語のを日本語訳したものだけど、どうも翻訳に一因があるように思えてならない。ちょっと悔しい。

とにかくこの本を読むのに日本語の何十倍だか、あるいは何百倍という時間がかかり時間的に他への影響力が大きかった。しかしとっても面白かった。面白さの一番は、タイ人にとって日本語のどういう表現が分かりにくいかというのが分かったこと。それから翻訳理論を紹介してあり引用もちゃんとした学術書っぽいところがあって、多分大学の教科書に使っているのだろうと思われたが、つまり翻訳理論というのを勉強したことがないので、ふむふむという感じがして面白かった。来世はこういう方面の仕事をしたいなあと思うが、本の需要はますます減り、それに自動翻訳でばばばとできている可能性は高いと思われるので失業に違いない、ま、罪のない趣味ならいいか。朝の何時間かがあくことになるが、次もタイ語のを読んでみることにする。本をだいぶ整理したのにまだまだ入りきらないのがあふれている。娘から送られてきたものだ。中には、この間自分で買いそうになったのもある。危ない危ない。

by kienlen | 2018-04-28 09:06 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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