2018年 07月 13日 ( 1 )

サバービコン

変なタイトル、意味は何なんだろうと思いながら見に行った映画。人種差別の話かと思ったが、まあそれもあるけど、もう全体がブラックで、ブラックさが半端でなかった。タイトルについては原題を見て納得、サバーブ+コンであるらしい。つまり郊外の幸福なニュータウンの欺瞞性ってところだろうか。アメリカが豊かさまっしぐらを突っ走る1950年代の郊外のニュータウンの宣伝から映画は始まる。まばゆい太陽、かわいい持ち家、ハッピーな人々の笑顔「ここに欠けているのはあなただけです!」みたいな宣伝文句が叫ばれて、じゃあここの家を買える人は誰でもいいのかというと有色人種はとんでもないのである、という流れがひとつ。しかしメインが人種差別問題かというと、そうとも感じられなかった。中心に描かれるのは黒人家族のお隣のお宅。夫婦と男の子ひとりの幸福そうな家族。そっくりな姉妹がいるのが奇妙ではあるが、双子って設定だってことは後で知った。確か、あの大好きなめぐり合う時間たちでもこの時代を演じていたと思うジュリアンムーアが二役やっていた。

これはもうアメリカ的価値観への究極なブラックではないだろうかと感じた、アメリカを知らないのになんでそう感じるかというと、もうそういう刷り込みのオンパレードなのである。強くて前向きで家族愛に満ちて、そのためなら人殺しも戦争もいとわない。アメリカのイメージってそれだもんな。それが本当かどうか知らないし、そもそも本当があるのかどうかもしらないけど、ひじょうに分かりやすく、これらがいかに暴力の連鎖を生むのかというのが描かれていると感じた。そして別にこれはアメリカだけのことであるはずはない。それにしても描写が半端じゃないので心底怖くなった。人間ってこんなもので、地域社会なんてこんなもので、国家なんてこんなもので、でもそれは愛すべきものなのだろうか、というのは分からなかった。宣伝チラシによるとジョージクルーニーは次期大統領候補とも噂されているのだそうだ。選挙権があったら一票入れたいと思わせる映画だった。ああ、怖かった、ああ、好みだった。

by kienlen | 2018-07-13 21:05 | 映画類 | Comments(0)

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