2018年 06月 03日 ( 1 )

『イギリス支配とインド社会』

昨日はほとんどが待ち時間という仕事だったので、本をたくさん持参するのが楽しみだった。待ち時間の報酬があるわけでないので何をするのも自由。まず、図書館で借りたこちらを読んだ。入門書としてとっても便利な山川出版の世界史リブレットのシリーズで、予想通りとっても面白かった。タイトルの通り、イギリスの植民地支配がインド社会にどういう影響を与えているのかという内容。国民国家として独立する以前に植民地支配を受けるということは、国としての形を決めるのに宗主国の治め方が大きく影響するということで、ここではイギリスがインドをどう認識していたのかというところから解き明かしていく。最初は東インド会社なので、そこの社員に現地語習得を奨励したことや、インドの古典語のサンスクリット語がイギリス支配を通じて初めてヨーロッパに紹介されたこと、そして宗教を分けたことも重要、つまりヒンズー教とかイスラム教とか。

外圧によってカテゴリー化されたものを、された側がどう甘受するか、あるいはしない場合もあるだろうけど、というのは状況によっても身分や階層によっても異なるわけだが、そのあたりのダイナミズムを説得力ある筆致で教えてくれる。植民地になっていなかったら宗教対立といわれるものがなかったのかどうかが分かるわけはないけど、それにここでも、ひとつの要因から何かが導かれるわけではないという当たり前のことについても慎重に言及しながらではあるけど、色々とイメージが膨らませられるのは文字による表現の面白さ。分割統治というのがローマ帝国から始まったということをローマの話を読んでしったわけだったが、ここでも注釈にそれがあった。それに前に読んだインドの仏教徒の話と重なる部分があったり、あっちで出てきた名前があったり、小さなことが楽しかったりする。カースト制度についての話も、なるほど、日本人に分かるわけないよな、という複雑さ。夫が今月インド留学の下見に行くということで、それによってどう決めるか知らないが、自分もちょっとは暮らしてみたい感はとてもある。



by kienlen | 2018-06-03 13:27 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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