2018年 05月 27日 ( 1 )

『上海―多国籍都市の百年』

ツアー前日に図書館に寄って何か読めそうな本がないだろうかと見たところ、中公新書のこの本があってパラパラしたらとても読みやすそうだったので借り、さっそく読み始めたところ面白くて、金沢までの新幹線、飛行機、旅行中と少しずつ読んでいたら最終日前に読み終えることができた。それにしても歴史といい何といい、ものを知らなさすぎることにがっくりすると同時に、おかげで何を読んでも新鮮で面白く感じられることにも感謝。そしてこの本は最初から最後まで実に興味深く、旅のお供のガイドブックとしても適当だと感じた。記述スタイルが物語風になっているので面白く読める。アヘン戦争に敗れてイギリスが租界をつくったところから、フランス租界のこと、国による租界の性格の違い、中国の政府や社会と租界との関係と制度、中国人との関わり、覇者がイギリスからアメリカになり日本になり、そして戦後どうなったかなどなど、目に見えるように描写してある。

特にロシア人、ユダヤ人のことは、ああ、思わず、なるほど、こういうことかと嘆息。両者の微妙な位置というのは、ちょっと他の国と違うし、さらに上海の日本人のユダヤ人に対する視線のヨーロッパ人との違いなど、まさにね、というところ。物語性を感じるのは、滑り出しの部分である特定の人物に当時の状況を代表させて描いているからで、それが時代背景の中に自然に溶け込んでいくから。人物像がいずれも生き生きしていてイメージが容易。今回は全部お仕着せのパッケージツアーだったので、ここに出てくる建物を訪ねたりということはできなかったが、それをしたらもっと面白いだろうと思う。しかし実際にそれをするところまでいくかというと、それよりも別の所に行きたくなってしまうように思う。それにしても中国は近い。そしてあの歴史と文明と影響力。次は北部に行きたい。となるとどれを読んだらいいのか…。とにかくこの本は、読んで良かった。ずっと覚えていられるわけでないのが悲しい。

by kienlen | 2018-05-27 20:36 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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