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藤原帰一氏講演会

藤原帰一の講演会があると新聞で知ったが会員制のだから諦めかけていたら、関係者から「お出でよ」という電話をいただいたのでありがたく行った。持つべきものはカネより友…かどうかはともかく、ますます好きになってしまいました。というのもともかくとして、テーマは「アメリカ外交の転換とアジア~中国・北朝鮮・日本」というもので、内容良し、容姿良し、声良し、分かりやすいがいい加減な妥協点は微塵もない、という何拍子も揃った講演で、説得力あるだけにますます暗い気分になった。つまり、このまま行くと冷戦構造の悪夢が蘇るかもよ、という話しである。提示された材料は9.11のテロ事件、イラク戦争、アメリカの大統領選挙など。前座として日本の政局に触れたけど、これはなんか超絶望的だった。アッソウですか、ってなるのは勘弁という気が個人的にはしているけど、自民だろうが民主だろうが、どうなっても政局が不安定であることに変わりはないという、まあ逆説的にはそれで安定みたいなことにはなる。で、国際政治学者であるから、国際関係へ。と、その前に、国内政治より国際政治への関心が低いのはどの国も同じだが、特にアメリカは日本以上に低い。でもイラク戦争に兵士を送って死者が出ている間はそれなりに関心がある、ということだ。

なんといっても印象的だったのは、何度か繰り返された「政治家が合理的選択をすれば選挙に当選しない」という点だ。藤原氏の見解が採用されるような政治は受けないそうだ。ということは、有権者の問題であるのだろうか。しかし有権者が合理的な選択をするには情報へのアクセスと分析能力と判断力等の諸々が必要なわけで、それは実際にはあり得ない。なんてバカな話しをされたわけではないが、つまり政治って何なのか私にはホント分からない。これがいつもの疑問。だいたい自分が投票する人って当選しないし、自分がいいと思う人が首相になるわけじゃないし、一体誰がどうやって決めているんですか断りもなく、みたいな気持ち。だから何だかんだ言っても虚しいと思ってしまう。で、国際政治になるともっともっとどうしていいか分からないのに、本当に怖いのはこっちの方であるようにも思う。イラク戦争とアフガンの問題でアメリカの力が弱まっている。世界の国々はそれを前提に政治をする。するとどこがどう動くか、というわけで、アメリカの影響力低下の影響はロシアにまで及んでいるであろう、ということになる。「いらない戦争をすることはいる戦争ができないこと」「戦争をしてしまうと、戦争をするぞという脅しがきかなくなる」という部分だけはメモったから藤原氏の言葉。それと、施政者は、国民に対して選択肢がひとつと思わせる、つまり職務怠慢、責任放棄はやめていただきたい。こんな安易に国際情勢が分かっていいんだろうかってくらいにストンと分かりやすく、怖かった。
Commented by jun at 2008-09-10 05:36 x
貴重ないい講演記録を拝見し,1分で得した気分です。著作も読んでみます。有難うございました。
経済評論家や経済学者とは、昨日までの経済のことを一番よく知っている人、という皮肉な定義がありますが、国際政治も昨日までの暗い側面を知ったら、明日が少しでも明るくなるよう多くの人の意識が変われるといいのですが。(それが目的と思いますが)
「危機感を 煽って付ける 新予算」(回文でなく、普通の川柳です)
でも、油断をすると施政者はおっしゃるように、国民の選択肢を奪おうとしますね。またまた余計な予算をつけたがる。転んでも只では起きないかつての総合商社のような逞しさが庶民にも必要かもしれませんが、個人的には体力が無くなっています。友人との会話や良著が私には元気の元です。
その意味でも、こちらのブログは大いにいつも励まされ有難いと思っております。
お互い「せいぜい頑張りましょう」(この福田さんの言葉、好きだなあ。「せいぜい」にはいい意味もありますね。)
言葉足らずのところは御容赦。
では、失礼します。
Commented by kienlen at 2008-09-10 18:33
「せいぜい頑張りましょう」って私もいい励ましだと思うのですが、何であんなに非難を浴びたのでしょうか。世論が分かりません。
by kienlen | 2008-09-09 17:06 | 社会的話題 | Comments(2)

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