人気ブログランキング | 話題のタグを見る

神野直彦氏の講義

昨日はまた欠けた。だから昨日のこと。ランチは林の中でとりたいがために早起きして弁当を作る。外食はよくするけど、それは温かいものが食べられるし、くつろげる場所代も含まれると思えるからで、コンビニ弁当はどうしても買う気になれないのは弱点である。というわけで6時から弁当作って、朝食用のおにぎりも作ってコーヒーを淹れて車に積み、同乗していく友人を迎えに少々遠回りしてから神野直彦の講演会に行った。前回は迷ったので時間がかかったけど、今回は道を覚えたので覚悟していた2時間どころか、1時間半弱で到着してしまった。少し湿っぽい空模様で雲が山の中腹まで下りていて、私の好きなくすんだ天気。最高のドライブだった。山の景色はいつも違うので飽きることがない。夏期講座の場所には早めに到着したが、木崎湖を見下ろすロケーションが絶好なので、そこでぼっとしているだけでも気持ちがいい。日頃ストレスためている人にとっては癒し空間かもしれない。神野さんの本は1冊あるけど、多分読了に至ってないと思う。事前学習もせず、それほど期待しないで受講態勢に入ったわけだが、人物を見た時点で好感を持った。なんかこう、真剣に生きている雰囲気で。話の内容そのものはかなり初心者向けで私程度でも目新しくなかったけど、それでも眠くもなく飽きずに聞きたくなる気概のようなものを発していた。それで無事に午前の部終了。

湖を見ながら友人達とランチ。「ギデンズの議論そのまんまじゃないか」と友人その1。私は『第三の道』に涙したクチであるから「なんで、こういう方向に進まないんだ、何の問題があるんだろう」と思う。午後は北欧との比較的な話が多かったが、興味深い内容だった。経済学については分からない。で、そういう人間はちょっと聞きかじる理論やモデルに対して「経済学ってどうしてこんなに単純なの。こんな合理的人間いるわけないでしょ」みたいに感じてしまうわけだけど、神野さんの話はその前提を説明してくれるので「ああ、そういうことだったんだあ」と納得できた。日本の問題を端的に言うと、市場経済と民主主義がセットになっているのに、後者が弱いので制御機能が働かないってことだ。よく分かる気がする。で、それはなぜか。先生はスエーデンの教科書を紹介してくれた。民主主義とは何かが分かりやすく説明されている。ずっとずっとひきずっている私の疑問は、行政の仕事と民間の仕事の線引きに関しての説明もコンセンサスもないうちに、とにかく市場化だ、という流れへの根拠なのだが、やっぱここに立ち返る必要はあるんだと思った。どこの体制がいいと一概に言えないけど、表面だけ改革改革って言うよりも根底にある考え方やビジョンを示す方が先でしょう。もっともビジョンがないから、目先の仕事を作ることでやってる気分になるのかな。無理に仕事作らないで林の中で寝転がっているのもひとつの手かとは思うけど、勤勉な日本人ってそうもいかないようだ。また折に触れて書くってことで。
神野直彦氏の講義_f0104169_12274684.jpg

Commented by jun at 2007-08-06 07:21 x
林の中でのランチ、いいですね。
長野県も、ある意味、第三の道でいいんじゃないかと思うことがあります。それで成り立たないのはおかしいし、静かに死守したいとも思っています。
私も、昨日は仙仁温泉の木立の中に行き、小一時間お茶を飲んできましたが、いつも仕事を考えてしまいつつも、忘れるようにもしています。
さあ、今日は月曜日、市場ではありますが、市場化だけに捕らわれない一人一人といい対話が出来、それでお互いに豊かな生活の糧ともなれる信念を持って店を開けるぞ!
自分への掛け声だけにならないよう、きょうもアイスコーヒーを落としておき、お客さんにサービスしよう。
すみません、拝読した感想のつもりが、わたしの日記みたいになってしまい。。
Commented by kienlen at 2007-08-06 09:52
仙仁温泉の喫茶店は素敵ですよね。私も好きです。日記、どんどんお書き下さい。居ながらにして楽しませてもらえますから。
Commented by 友人その1 at 2007-08-11 00:05 x
友人その1です。おおよそいいが、ダメなところがあるということです。ひとつだけ、神野氏のグローカリゼーション理論には人の移動、ローカルな空間の多文化化をどう考えるかというところが弱いのです。この点は、きちんと考えるべきところで、現代の包括理論を志向するならおろそかにすべきではないのです。
Commented by kienlen at 2007-08-11 10:12
友人その1さん、コメントありがとうございます。その指摘は重要だと思うし、今の時代に移動を考慮しないわけにはいかないと思います。でも私は神野氏の講演に「現代の包括理論を志向するなら」という前提を求めてません。講演への期待は(自分にとって)何かヒントになれば、という程度のもので、その点では基本を押えていて、あまり一般的な情報ソースからは知ることのできない北欧の事情をうかがうこともできて良かったと思いました。話す場合も書く場合もそうですが、状況に依存すると思うし、そこで選ばれていなかった部分は、質問で補えばいいと思いますが、ただ多分あの時の質問に対する答えが納得いかなかったんでしょうね。私の志向はちょっと違うのでこのへんで。アカデミックな場での議論にした方がふさわしいんじゃないでしょうか。
by kienlen | 2007-08-05 12:28 | 社会的話題 | Comments(4)

信州で読んだり書いたりタイに住んだり戻ったり旅したり


by kienlen