COLD WAR あの歌、2つの心
2019年 08月 12日
しばらく閉じこもっていて歩数が200歩とかだった。暗闇にいた気分。昨日やっと回復した。一昨日が最悪で、そういう時に限って友人から電話があったり飲み会があって暗さをばらまいた。意味もなく気分が浮き沈みしているわけではなく何によってこうなるかは分かっている。で、それに飽きたので昨日の夕方、映画を見に行こうと思った。予告で見て、見てみようかなと思ったのが夜の間に合いそうな時間に上映していた。冷戦下の…というのが強調されていた印象で、政治的なものかと思ったら全く予想と違っていて、これはもう自分的には完全に恋愛映画。普段もっとも見ない類の分野。しかしとっても好みだった。始まりは1949年。モノクロ映像が非常に美しく、時代との違和感がない。ああ、こんな風だったんだろうなという懐かしい感じ。ポーランド映画というのは、やはりどこか強烈に好きであると改めて思った。なぜだろう。暗くて地味で悲しいことかな。それと居場所のなさ感をみんなが抱えているところだろうか。
ストーリーはそんなどうということはないのだが、映像も歌も人物も、こういう心の動きは分かる分かると感じて映画と思えないというか、当時の日常を丁寧に描いているという趣。ポーランドからフランスに亡命した男性の行き場のなさ、一緒に亡命しなかった彼女もだからといってアイデンティティの揺らぎがないわけではないし、それに若い女性らしく、あるかないか分からない深いところでの愛情を求めているのだが、そのあたりの男性との本質的な行き違いが、強調されているわけでもないのにものすごく伝わってきた。政治状況も饒舌さはないが、説明がないだけに、そこに生きている人からみたらこうなんだろうなという視点の分かりやすさがあった。いやあ、良かった良かった。観客は自分含めて2人。こういう映像と音を楽しむのは劇場でないとダメだろうと思う。この映画を見たらなぜか小説を読みたくなり気が向くまで待っていた『赤と黒』に入ろうかという気になった。しかし今はまだまずい。
by kienlen
| 2019-08-12 10:38
| 映画類
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