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『大地(一)』

パール・バックの『大地』。名前は知っている。しかし読んだこともないし、読もうと思ったこともなかった。実は友人が以前に貸してくれて、その時は読もうかと思ったのだが、何しろ4分冊という長さだし古い文庫で文字が細かいしで、時間が取れないと思い込んでいた。長編分の長さのが4冊である。かといって返却もせずにあった。今回の中国旅行で、中国って興味深いと改めて思っていたところに、その友人から読むべきだと言われ、帰国後すぐに開いてみたら、あまりの面白さに恐れていた長さも気にならず1巻目を読み終えてしまった。もちろん次に取りかかったのだが、今日は仕事をしないとならない。気持ちの切り替えをしないとならないので〆のためのメモとする。

とにかく最初から引き込まれて全く退屈する場面がないというのも珍しい。貧乏な百姓の王という一家の物語で、まずは土の力を見せつける描写。土から生まれて土に還るのだという、まあ、今だと象徴的に聞こえてしまうような言い回しが真実であることがビシビシと伝わってくる。で、主人公である王家の長男の王龍が地元の大金持ちの家の奴隷のひとりを嫁としてもらうところから物語が勢いを増す。人物描写もまた素晴らしく、ほんとに生きているよう。子どもは男でなければならないというよく聞く価値観も、この本を読んでいると、なるほどこういうことかと分かってくるし、親族と共同体の規範で動く様子も納得納得。これが韓国には直接影響したが日本にはそこまででなかったという感じになるのだろうかと考えながら読んだ。科挙が韓国では取り入れたが日本ではそうでなかったように。続きを読むために、やるべきことをやってしまわねば。しかしインパクト強すぎて現実に戻れない…。これはやはり西洋文化ではなく、ベタに身近に感じるせいでもあると思う。

by kienlen | 2019-06-23 10:39 | 読み物類 | Comments(0)

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