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『日本語文法の謎を解く-「ある」日本語と「する」英語』

前に読んだ『日本語に主語はいらない』が大変興味深く納得できて、著者の金谷武洋先生という名前を覚えた。それでこの名前を図書館で偶然見つけて借りてみることにした。出だしから、こういうことを知りたかったのだ、と感じて一気に読んだ。大変面白かった。日本語の本質ってこれだよなあと同感、納得。英語及びフランス語との比較で論じているのでなおさら分かりやすい。とても平易で一般向けでありがたい本だった。日本語教育やっている人なら知っているのかなと思って著者の名前で何人かに問い合わせてみたが知られていなかった。そうなんだ…。私には業界の事情はてんで分からないが、基本的には国語文法への批判であるようだ。つまり明治に日本語文法を確立した時の大槻文彦から始まる英語を元にした日本語文法はもう止めにして日本語に即した文法にすべきである、という。で、その時に何を元にしているかというと本居春庭、三上章という流れ。学術的に知る由はないが、なんか、日ごろの疑問が解けてとっても満足な一冊だった。

というのは、日本語に多い「・・・することになりました」をどう訳すかって困るんじゃないかとまず感じていたこと。自分が決めたというと日本語に比べて意志的過ぎる、かといって自然にこうなりましたってのもなんかなあ。で、こういう言い方はやたらにあるのである。来月中国に行くことになりました、とか。行くことにしました、なら分かりやすいが、日本語的には強い感じ。で、ここでいっているのは日本語は人智を超えたところで物事が動くという発想の「ある」の言葉で、英語は極端に人中心主義の「する」の言語であることを、言葉を分析しながら説明していく。日本語の場合、主語は省略されているんじゃなくてないのであるという点は詳細な説明でうんうん、あと尊敬語と謙譲語の対照もなるほどー。それと受身。タイ語に受身がすごく少なくて日本語はやたらに多いという印象だったが、英語の受身はまた別物というのも分かりやすい説明。手元に置いておきたい本、どっかで見つけたら買っておこうと思う。つくずく言葉って面白い。そして何を母語にしているかによって世界の見え方は違うと思えてならない。この本で言っているのもそれだ。

Commented by jun at 2019-04-13 09:08 x
言葉って面白いし、凄い先生がいるもんですね。
kienlenさんから色々お教えいただき豊かな気持ちになります。
金谷さんや三上さんの系譜にも膨大な歴史と成果が垣間見えます。
私の引っかかっている言葉は「・・・ということになっています。」という、あるガイドさんの解説の連呼です。
これって何? っていう感じですが、似てますね。
Commented by kienlen at 2019-04-13 21:45
Junさん、それ似てると思います!
by kienlen | 2019-04-10 17:03 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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