人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『ようこそ、自殺用品専門店へ』

これまた何か月かかったのだ、という本。バンコクにいる時に少しタイ語の本を仕入れておこうと思ったのだが何を買っていいのか分からない。雑誌でこの本の紹介を読んで面白そうと思って買ったら、フランス語からのタイ語翻訳だった。で、これが5刷という売れ行き好調本のようだった。タイで5刷って何部くらいなんだろう…。当然日本語訳もあるのだろうと検索したけど、今まで分からなかった。アニメばかりが出てきてしまう。でも今見たら表題のタイトルで訳されているのを知った。さて、タイ語で読むってどういうことかというと、分からない言葉だらけということであるし、単語は分かっても全体に明瞭に分かるわけでもなく、まあ、はっきり言って膨大な時間を浪費しているということ。でもこの面白さというのは、他に比較できるものがない。同じ趣味を共有できる人が近くにいると楽しいだろうという夢は最近はなくなったのでひとりごとの日々。

フランスのブラックユーモアというのは面白いなあとは思っていたけど、これもその類。主人公の名前はミシマで、寝間着は着物であり、ミシマとかキモノはそのまんまででてくる。で、このミシマさんは妻と子どもら、つまり家族経営で自殺用品の店を経営している。自殺したい人がひっきりなしに訪れてなかなか繁盛しているっぽい。縄は必ず死ねる長さに切り、水死希望者にはコンクリートブロック、毒の種類も色々で妻はその調合担当。毒殺で良かったのは、この店の若い娘に毒入りのキスをしてもらうことで死ねるという方法。ヘビが毒をもっていても自身は死なないという原理の応用で毒を取り込んでいるような風ではあったが詳細は分からなかった。ただし、この辺りから自殺専門店としては様子がおかしくなっていく。この娘が客に惚れてしまって殺すのを拒む。ただし、もっと前から兆候はあって、それは末息子。先祖代々みんなが暗い性格で悲観的で笑ったことなんかないのに、いつもニコニコして楽観的な子が生まれてしまったのだ。この子がいるとどんどん明るい方向に行き、音楽やったりクレープ屋になったり。どっちかというと暗黒時代のブラックユーモアの方が面白かった。最後の章は理解が難しくて2回読んだけどドタバタな感じしか分からなかった。英語のタイトルは『suicide shop』でシンプルで分かりやすいがタイ語も日本語同様、ちょっと長い。ようこその意味は含んでいない。




by kienlen | 2019-04-08 12:27 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたりタイに住んだり戻ったり旅したり


by kienlen