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『言語学的にいえば…ことばにまつわる「常識」をくつがえす』

読書量ますます減少中。それでも本屋と図書館には行っている。他に行き場がないともいえる。で、図書館でちょっと手に取ってみたら面白そうだったので借りた。というのはまえがきに、言葉について色々言われている現象の中身というのは言語学者からみると変なのだが放置されている。言語学者は言語学内のことに一所懸命で一般向けには発言していないからこういうことになっているんだ、だってチョムスキーとか高名な言語学者の本を読んでも分からないでしょ、これはいかん、そこに一石を投じたい、みたいな、そのようなことが書いてあって興味を持ったわけだった。英語圏の言語学者がひとりあたり数ページで1テーマついて書いていて、一般向けでやさしい。翻訳本が出たのが2003年なので書かれたのはもっとだいぶ前だろうと思われる。

全体的に何かびっくりするようなことがあるわけではないが、細かいことでへえ、と思うことがあった。その理由は、私は英語という言語について学んだことがないので、そこからくるもので細かいこと。例えば「アングロサクソン民族は、言語を国民のアイデンティティと考えない」というのは知らなかったし、なるほど。だからフランス人が言語の質やステータスについて悩んでいるのをみると笑ってしまう、ということなのだが、これって民族的特徴なんだろうかという点では疑問を感じたけど、ただなんか面白かった。あとは「言語的規範意識は、現在残されている最後の差別」といっている言語学者もいるというのは、なるほど。あと言語の変化に影響を与えているのはメディアでないということは研究から明らかになっているのだそうだ、ふーん。それと、英語の文法の話は面白かった。日本語文法が英語文法を基盤にしていることからムリがあるみたいなのを読んだことがあるけど、英語文法が全然文法体系の違うラテン語文法を基盤にしているので矛盾が生じるという例を具体的に挙げてあって、ふーんというだけのことではあるが、全体的にというより部分部分が面白かった。

by kienlen | 2019-03-15 09:39 | 読み物類 | Comments(0)

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