『わたしたちが孤児だったころ』

カズオ・イシグロの本の3冊目をしばらく前に読んだ。読書会の課題図書になったので読むことができたもの。タイトルがどういう意味かと思いながら読んだのだけど、まあ、なるほどなという感じはあった。出だしは舞台が上海。パッケージツアーで何も分からなかったとはいえ、ちょっと空気を吸ったというだけでもこういうときは違うものだ。なんか、そのためにあちこち行っているような気もする。まず全体に、元ハードボイルド好きとしては、そういう人を狙っているんじゃなかろうかという気にさせる内容だった。気取った雰囲気と謎解き感と、などといわなくても、主人公が探偵なのだ。イギリスの探偵って、なるほどこういう背景があって普通にいたのね、と、本当かどうかも知らないくせに感心してしまうリアリティだった。そして今もいるんだろうか。探偵になりたいと思っていた心がすごくくすぐられた。とにかく感想の第一はそれ。

そして友達との読書会は昨日だった。みなさん本好きばかりで月一度の貴重な時間。そして皆さん本好きというだけでなく、あちこち歩いているので、上海も何度も行っている人は地理にも詳しいしで、大変勉強になった。それと他の人の本の読み方。私は何かを覚えるという気がないので、いや、あるけど覚えられないからそういうことにしているのかもしれないが、本のこともすべて忘れる。じゃあ何のために読むかというと、その時その瞬間が大切だからということになる。なんとなく感じていたこと、なんとなくどころかそう思っていたことが活字になっていると、それが思い込みだとしても安心感がある。多分それが一番の理由かもしれない。あと、断片がつながる感じが楽しい。歳をとるということはこういうことなのだが、あっちこっちに散らばっているピースが少しずつつながる感じ。今回もそれはあった。この作家の本は原文で読んでみたい。どんな感じなんだろうかとすごく思う。ちなみに、村上春樹に似ているといったら、賛同者はなかった。

by kienlen | 2018-08-21 17:04 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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