『戦国日本と大航海時代-秀吉・家康・政宗の外交戦略』

中公新書のこの本、大変面白かった。買ったきっかけは帯だった。「日本はなぜ世界最強スペインの植民地にならなかったのか」という惹句。植民地になるならないが単純な要因で決まるわけないのは分かるけど、やはり最も興味あることのひとつではある。かといって別に研究しているわけでもないのでたまたま面白そうな本を見つけると読んでみるという程度。これもその一環なのだが、歴史関係をそんな読んでいるわけじゃないので、この時代の日本のものは多分全然知らないのだ、ああ…。ま、今世ではやりたいことがとても間に合わないのでいいのだが…。ただ、西洋の支配と植民地がちょうどこの大航海時代で、幾分覚えている部分もあるので、それを想いながら読むと、うーむ、なるほどーなのだった。タイトルにもあるように、伊達政宗と家康の関係も面白かったし、とにかくこの時代の将軍がローマ帝国の皇帝と同様の称号で外国から呼ばれていたというのにびっくりしたし、それだけの軍事力と情報収集能力があり、それが江戸の鎖国を可能にしたという考察に、うなずきながら読んだ。

歴史の分野での定説というのを私は知らないが、この本はそれへの挑戦的な面もあるらしいことは、そういう書き方から想像できる。新書というのは、一般向けに専門的な分野を分かりやすく記述してくれるのだからありがたい。引用で仙台史がたびたび登場して、読んでみたくなっていたら、あとがきで、著者はこれを編纂したことで色々な発見があり、この本にもつながったのだということを知った。どうりで。スペインとポルトガルが世界を植民地化するにあたって地球を二つに分け、日本はちょうど重複しそうな地勢にあったこと、それによって両国が参入することになり、そこにオランダとイギリスが加わって、互いの悪口をいい、それが結果的にはいいように作用したともいえる。そしてまあ宣教師の役割を詳述してあるのも興味深く、イエズス会系カソリックの友人に伝えたところ、闘う修道士なのだという返事がきたが、はあ、私は仏教の方がいいなという気持ちを強くしてしまう。駆逐される運命なのか、あるいは意外にしぶといのか、そのあたりのところも感じさせてくれる。いやはや、とってもとっても面白かったし、分かりやすかった。この間読んだ言葉の海へが伊達家との関係の深い本だったので、それともつながって良かった。

Commented by jun at 2018-08-14 08:27 x
帯の問いは、答えの知りたいものですね。お早うございます、kienlenさん。
パソコンの調子が悪く少しご無沙汰だす。お盆は伝統行事というだけでなく、休む為の時間なのかなと今年は思いました。
先の問いは、出口治明さん説では、世界的な争奪商品の問題として語られていました。中世では、東南アジアの胡椒、カリブ海の砂糖、中国の茶、陶磁器、絹などと言われます。日本では銀、硫黄などが狙われたとか。
ところで、仏教の僧兵はどんなだったのだろう?
Commented by kienlen at 2018-08-16 19:43
> junさん
私もご無沙汰です。どの観点からみるかで歴史はそれこそ多様な解釈ができますもんね。出口さんのあれも面白かったです。僧兵については触れられてませんでした。帯の答えは一応ひとつの可能性としてありというのは感じられます。
by kienlen | 2018-08-08 20:12 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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