『朝、目覚めると、戦争が始まっていました』

夕食を準備しながらテレビをつけてみては、つまらなくてすぐに消す。というある日、たまたま本の紹介があって、これが紹介されていた。で、その後に父から電話があって、この本を買っておいてくれ、読みたいということだった。そういえば終戦の日のことは溢れているのに、開戦の日のことはあまり聞かない、少なくとも自分は。テレビで紹介されたのだから、書店で聞いたらすぐわかるだろうと思ってタイトルをメモらないまま行った。多分、そういうコーナーもあるだろうし。でも、店員さんはなかなか教えてくれなかった。テレビっていっても一日中やってますからね、とか、何とか言って。私は思った。店員にしたら、カウンターに来るのは、こういうわけのわからないことをいうばあさんが多くて全く嫌になるぜ、書店に来るのは年配ばかりでかわいいガールは来ないしな、まったくなあ、ってなもんなんだろうと。そういう自然な感情については全くいいのだが、誰だって何かを常に感じながら生きているわけで感情をコントロールしてほしいとは私は思わない。しかし、である。今時書店で買い物すること自体が貴重ではないだろうかと思うと、自分が店員だったら喜んで探すんだけどな…。たとえ相手が気に食わない感じであっても本を探すという一点だけで妥協しちゃう。

最終的にはその番組で紹介された本のコーナーがあって、やっぱり、だったら最初からここを想定していいんじゃないのかい、と思ったがおとなしく感謝の言葉を述べた。最初からここに当たりをつけてもいいんじゃないですか、とは言わなかった。そこまでくるのに結構時間かかっちゃったし、途中で父に電話までしたのだ。で、この本がつまらなかったら残念の何乗であるが、意外に面白い本だった。中身そのものというよりも編集が。まず活字がページ毎に違う。最近の流行本というのは、ああ、最近でなくても流行を知らないので、私の無知かもしれないが、こういう本って多いのでしょうか。他のタイプの本でこれではうるさいと感じられると思うが、全部が引用でしかも1ページにおさまる以下の簡潔さ、となるとこの編集はいける。変化がでるし、感情が反映されているとも感じられるのだ。説明的なまえがきもあとがきもない潔さもクール。有名人のその日の日記やら語った言葉が続く中に、大本営発表の文が挟まれている。そして最後に太宰治の「十二月八日」という短編。いやあ、太宰っていいなあ。相変わらずのこのもったいぶりかたがたまりません。チラチラ見てから父の所に持っていくと、先に読んでくれということで持ち帰り読んだ。開戦の雰囲気が、理屈じゃなくてすごく伝わってくる、空気が。アイデアの勝利って感じだろうか、といっても売れているのかどうかは全然知りません。

by kienlen | 2018-08-06 10:33 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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