君の名前で僕を呼んで

しばらく前に見た映画。予告で知り、見てみようと思っていたもの。ただそれほど期待していたわけでもない。男性同士の恋愛というのはどこの国でも流行っているんだろうか。私は全然詳しくないが日本のこの手の漫画はタイではすごく人気のようだったし、タイはもちろんだが中国のドラマでもこれが人気なのだと聞いた。そしてこの映画はイタリア映画。舞台はイタリアの避暑地で時代は1983年だったかな、確か。最初にクレジットが出た気がする。この時代だと何がいいかというと、スマホがなくて電話は家電で、主人公の17歳の少年は、なんと本を手離さないのである。これだけで感動に値する。もっとも父親が大学教授というインテリ家庭であり、少年が読んでいる本も漫画じゃないし哲学書などで、読書の他には編曲したりピアノやらギターを弾いている。景色は美しいし、世俗のにおいの薄いのがいっそう美しさを増している。で、彼らの別荘にアメリカ人の大学院生が、大学教授のお手伝いとしてやってくる。この青年がカッコよくてモテモテ、という設定になっている。というのも変な言い方だが、演技のうまさなのか、カッコいいのに存在感が最初のうちは薄いのに、少年との関係が深まるころから俄然存在感を増す感じが、そんな印象を抱かせる。

思ったよりずっと良くて最近の中では最も感動が深かった気がする。この間の心と体は多分愛の不毛を描いているように感じられたが、こちらは逆でいっぱいの愛がある感じ。このような階層だし自分が感情移入するというところはあまりないはずなのに、どの人物にも共感できるのが不思議だった。少年が鼻血を出すところ、思わず吐く場面、ああ、分かるよ、なのである。こういうのは何なのだろう。細かい部分部分に感動の連続だった。そしてあの両親のすばらしさ。全体に夢のような雰囲気できれいだった。イタリア映画って、というほど知っているわけでもないけど、なんかいい。派手じゃなくて何気なく人間存在のある部分をすごく際立たせる感じというか、そういうのが共通している気がする。彼らがユダヤ人であることの意味がどこまでの意味をもつのかは、背景となる知識不足で分からない。複数の場面で強調されていたので深い意味があるのだと想像はするが。彫像との共鳴も人間賛歌というか、こういう明るさもいいものだが、タイトルといい、結局は自己愛なのだろうか、そう思うと興ざめでもあるが、そんなことはいいやと感じられる魅力があった。うん、よかった。

by kienlen | 2018-08-05 19:48 | 映画類 | Comments(0)

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