『朝鮮と日本に生きる―済州島から猪飼野へ』

友人が貸してくれた本。済州島の4・3事件なんて、まったく知らなかった。本を読むたびに無知を知るだけだ。この間見た韓国映画「タクシー運転手」が光州事件だったけど、そっくりで、背筋が凍り付くとはこのこと。あの警察幹部の恐ろしい顔が浮かんでくる。そして世界では、このような状況が終わっているわけではない。この本は、書いているのが当事者で、自伝であり韓国のある部分の現代史の歴史書にもなっているのだが、詩人である著者の素晴らしい言葉が、内容の残酷さと相まってえも言えぬ雰囲気を醸している。日本の占領下で立派な皇国少年だった著者は、敗戦による解放を複雑な思いで迎えるわけだが、実際には米国の反共政策による弾圧を見ることになる。10代の少年のまぶしい一途さも痛々しいし、韓国の直面した現実も痛すぎる。とにかくアメリカと政府と右翼とがごっちゃになって凄まじい虐殺を済州島でするわけだが、小説なんてもんじゃない危機一髪を著者は何度も生き延びて日本にたどり着く。こういうのをみると、人間ってそれぞれ使命を与えられて生かされているのだと思ってしまう。故国では南北の分断に反対して闘ってきが、仲間は片っ端から殺されてつぶされる。その時に活躍したのが日本の占領下で育てられた組織。で、その日本に密入国してからがまた波乱の連続、とはいえ、とりあえず命の危険はないのでここからは涙なしでも読むことができた。日本に来てからの問題は朝鮮と韓国の問題に巻き込まれるから。結局朝鮮籍から韓国籍にすることで一時帰国も果たすことになる。すごい濃厚な本だった。




Commented by jun at 2018-06-30 06:36 x
早い夏になりましたね。お早うございます、kienlenさん。
次に読むべき本の候補が見つかり有難うございます。
私も隣国のことをあまりに知らないと感じます。
ところで読書関連で、今日オープンの高沢産業グループになった平安堂東和田店のチラシ広告が入りました。既に広報はされてますが、元町珈琲が併設ですね。朝7時からでモーニングもあるようです。
喫茶店が夏の避難所でもあるように、日本が亡命者の避難所としてもいい国になればと妄想しています。
Commented by kienlen at 2018-06-30 13:39
> junさん
ほんと夏ですね。チラシじゃないけど案内は色々なところで見ますね。でも喫茶店はこのところ行かなくなりましたねー。
by kienlen | 2018-06-25 21:59 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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