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万引き家族

昨日見に行ったので3日連続で映画館通いだった。今日は行かない。この映画は友人がすでに何人も見に行っているのもあって、そして昨夜予定がキャンセルになったため突然行くことにした。さすがに話題作だけあって、映画館に来る人がこんなにいるんだって感じるほど人が入っていた。初日に見たという友人が帰りにウチに寄って少し映画について話していったことがあった。その時、とにかく現代日本のテーマと盲点てんこ盛りね、という印象を得ていたが、見ての感想もそれに尽きる。ピースをつないでいったらある種の世界はこうして完結って感じ。時給800円のバイトで働くくらいならパチンコという人は周囲にもいるし、そもそもそういう報酬や、満額で年金月額6万円で暮らすには持ち家と多額の貯金とか財産とか、協力しあえる人がいないとムリ。報酬少なくても、それだけで喜びにあふれるほどやりがいのある仕事なら清貧生活も可能かもしれないけど、まずあり得ない。で、サバイバルのための協力者をもつ必要性からするとこういう家族ができて不思議ではない。だから設定に違和感はなし。パチンコ屋の駐車場の車中で死ぬより、親の虐待で死ぬより子どもにとってもマシのように思う。今の制度だと、年金を得続けるために死を隠すのもあるだろうな。だいたい年金が、死んだ後も死亡届とリンクしていないで自動的には停止にならないと聞いてびっくりしたことがある。

それで万引きになるわけだが、万引きはすごく多いのでこれもありな設定なんだろう。自分ではやったこともやりたいと思ったこともないので感覚的には、ここから先は分からないけど。私だったら、あれだけの庭があったら庭に食べられるものを植えて、池の跡があるなら池にして魚飼えば食費が浮くな、ときっと考える。万引きより元手がいるかどうか、それに枯れたり死んだりのリスクはあるけど、まあ、そこは映画だから、いや映画じゃないか。いや、そんな手間のかかることをしないで、ふわふわとやっていくのがこの現在の映画なのであり、私は古いのである。それにしてもどうして盗難としないで万引きなんて言葉を使うのだろう。映画の中に、店に置いてあるものはまだ誰のモノでもないって父もどきが教えたというセリフがあったけど、となると共有地の発想だろうか。海のことは知らないが、山の幸は共有できたはずなのだ。それを都市に移すと店にあるものってことになるのか。豊かな自然環境から豊かな物質文明への徹底。私は子どもは実の親が育てるのが一番などと思ってないので、そのへんのテーマについては何も感じなかった。子どもがなるべく幸せな環境であればいいと思うだけ。ただ、疑似母親が逮捕された後でケースワーカーなのか正論言っているつもりの女性に詰め寄られて泣くシーンはちょっと涙が出た。ああして人から逃げ場と言葉を奪っていくのだと胸に迫って。リアルで分かりやすく、でも切羽詰まってない奇妙なふわふわ感も極めて現代的で、実話と言われても驚かないと思う。あなたもこうやって生きているんですよね、と言われているみたいでもあった。

by kienlen | 2018-06-17 13:23 | 映画類 | Comments(0)

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