『日本人の脳に主語はいらない』

「人工知能研究と脳科学の立場から、言語について実験と分析を重ねてきた著者が発見した新事実」。刊行が2008年であり、もう10年経っているこの説がこの分野の中でどういう位置を占めているのかなどは自分にはまるで分からないが、とっても面白かった。というのは、日本語って母音で終わることが前々から不思議だなと思っていて、ここで目をつけているのがまずは母音だからだ。日本語とポリネシア語というのが母音の比重がひじょうに大きいとのこと。で、そういう言語は主語や人称代名詞がいらないのだという仮説を脳科学の立場から検証しているのがこの本で、比較対象になっている言語は英語とかドイツ語とかフランス語とか中国語とか朝鮮語とかスペイン語でタイ語はないが、なんかなるほどなあと思える仮説だったので、この本を読んでからちょっと検索してみたら、タイ語と日本語の自称詞の出現回数を研究した論文があって、読んでみたら、多分この本の説を支持するものと思われた。

日本語のような母音に傾いた言葉を母語にしている人は母音も子音も、虫の鳴き声などもすべて左脳で聴くのだそうで、それに対して英語などを母語としている人は母音や虫の音は右脳で、子音は左脳なのだそうだ。となると右脳から左脳に伝わるのに時間がかかり、それで間がもたないので主語が入るのだという。自他分離というのも主語の有無を左右するものであり、つまり日本語だと自他分離がはっきりしていないので文章の中に自分が含まれており、つまり主体は言葉にしなくても分かる。敬語があるので関係性が分かりやすいというのもあるけど、なるほどふむふむと感じながら読んだ。英語のI,youがそれぞれ私とかあなたに対応しているわけじゃないというのも、説明を読んでいるとふむふむだった。とっても面白かった。で、問題は明治の文法だが、次はそのあたりを描いている本を読む予定。

Commented by jun at 2018-03-31 20:33 x
kienlenさんの解説を読んでいるだけで、とても面白く思いました。言語だけでなく、様々な出会いや発見が楽しいです。
ところで、新年度は美味しいジンギスカン鍋やラムの焼肉を食べるのが夢です。ささやかですが。
Commented by kienlen at 2018-04-01 17:43
新年度の夢は実現可能性が限りなく高そうですね。私も入りたい。
by kienlen | 2018-03-30 19:26 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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