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『日本語に主語はいらない−百年の誤謬を正す』

やることあるのに本を読んでしまった。これ、バンコクに持参する本を迷っている時に多分ギリギリで諦めたものではないかと思う。で、あちらにいる時にこれを読みたいとの思いが募って、戻って真っ先をこれにした。実に実に実に面白かった。出だしはちょっと古めかしいなあと感じたが、なんか日ごろ漠然と感じていたことを説明していただいたようで嬉しい。内容は結構難しいのかもしれないけど、一般に分かりやすく書いてあり、ほんの一部理解しにくいと感じる所があった以外はすんなり読めた。これ横書きなので最初とっつきにくくて後回しになっていたのだろう。けど、英語とフランス語の例文が出て来るので横書きじゃないとムリだな。

タイトルはソフトで、日本語って主語を省略するもんな、と思ったら、そもそもその発想自体が間違いであることが指摘されている。元々日本語に主語などなくて、本居宣長ら国学者は日本語文法を解明していたのに、明治の学校文法採用に際して英文法に合わせて日本語文法をつくるというような一派の勢力が勝って日本語文法がこんな悲惨なことになっているという話しだ。で、この主語の問題がそこだけに留まっていればいいが物事そんなシンプルではない。それで、読み始めた早々に自動詞と他動詞問題が論じられていることでワクワクしてしまって、これは期待を裏切らなかった。日本語って自然にこうなりました的な表現が多いのと、受け身が多いよなというのはなんか感じていたけど、その理由がすっきりくっきり説明されている。

著者はカナダで日本語教師をしている現場の人で、批判されたままになっている先人の研究を復活させたい、それが日本語のためであるという使命感に満ちていて、その勢いが結構笑えて本気で笑いながら読んだ。ただ、分からないのは、この本の出版が2002年で、その後日本語文法に影響を与えているのかどうかということ。ただ、最後になって中道相が出て来て、これは行く直前に買った中道態の世界のことだろうと感じたので、多分流れとしては大きくなっているんじゃないだろうか、ちょっと分からないけど、次はこれにするか、日本人の脳に主語はいらないにするか、あるいは横道それるか。それにしても日本語文法から他の言語をみてみようという主張にはとっても賛成です。昨日韓国人の友だちに疑問を聞いてみたら、文法そっくりと言われる日本語と韓国語だって、そっかこれはないのかってのがあって面白かった。

by kienlen | 2018-03-14 08:37 | 読み物類 | Comments(0)

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