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好きな2人が紙上に現われた

いつも行く書店のいつも最初に行くのは、いわゆる論壇誌や裏論壇(?)誌が並んでいるコーナーなのだが、そこで見る限り、思想の傾向を問わず佐藤優一色なのに驚いていたら、今日の新聞の杉田敦(『デモクラシーの論じ方』はすごく面白い)の論壇時評に、「…論壇を『占拠』した感さえある佐藤優だが…」とあった。で、最初に取り上げているのが雑誌『情況』の「国家という妖怪」という佐藤優の対談。佐藤優の一ファンとして、目玉商品のように表紙や背表紙に登場している雑誌群の中から、どれを選ぶかで迷った末に、この『情況』を購入して、昨日対談を読み終えたばかりだった。読み始めてからかなりの日数を要した。なぜか誤植が目立つ細かい字で二段組。活字大型化時代にあって、これはマゾかマジかと判断に迷うくらいだ。

この人の博学についていけるはずはないが、自分にとって理解しやすいところとしては、国家は暴力装置として危険だが、個人にとっても必要である、という明快な表現。ナショナリズム論が盛んだし、グローバリゼーションの中ですでに国家の時代ではない、とか、逆に、だからこそ国家が強くなるとされたり、国家の暴力的側面だけが取り上げられるのも、国家の温情的な側面ばかり取り上げられるのも、なんだか違うよな、と思っている自分にとっては、胸に落ちる線がここかな、って感じだ。後は、官僚が身についているという立場を明言した上で、多面的に語ってくれる点も分かりやすくてありがたい。『自壊する帝国』に手がつけられないでいたが、近いうちに読み始めようと思っている。
by kienlen | 2006-06-28 23:11 | 読み物類 | Comments(0)

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