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ゾラの生涯

この間レンタルした3本の中のひとつ。この映画の存在を全く知らず、たまたま目に入って、単純にゾラの生涯ってどうだったんだという興味だけで借りたもの。自分が読んだのは居酒屋だけ。いつの時代の映画等々何も知らなかったらモノクロームだった。後でチェックすると1937年公開でアカデミー賞も受賞している名作らしいことが分かり納得。考えてみると、あの規模のレンタルショップにあるんだものな。「生涯」というからには長大な物語かと思っていたらそうではなく、焦点を絞ってコンパクトだった。始まりはセザンヌと同居していたらしい貧しい貸し間暮らしの場面から。ドアのノックに大家の家賃催促かと思ってゾラがベッドにもぐりこんだら母親、というスタート。セザンヌと親友だったのだというのも初めて知った。つまりとにかく何も知らないので。映画は事実に基づいているが人物の性格などはそうとも限らないことを断わっていた。

前半はゾラが苦労しつつもだんだん有名になっていく様子。ナナが書かれた発端はモデルとなる人物との出会いで出世作になったようだけど、ナナは居酒屋の続きだと思っていたので、居酒屋への言及がなかったのがよく分からなかった。気をつけて見ていたつもりだけど。セザンヌが「芸術家は貧しくないといけない」みたいに言ってゾラから離れていく場面があり、映画ではあるが、セザンヌってこういう人だったのかと感じる。後半は国民的作家として名声を得ているゾラがドレフュス事件に関わるようになるまでの経緯が比較的詳しく描かれ、この事件が中心。冤罪で投獄されたのがなぜこの大尉だったのかが映画では分からず、ユダヤ人だからという解説を後で見て深く納得。時代背景及び基礎知識がないと理解は厳しいが、それでなくても面白かった。疑問はネットで簡単にみられる状況に感謝。今の時代状況の中でもそのまま通じるゾラの言葉がいっぱいだった。フランスなのに、アメリカ映画で英語というのがちょっと違和感だけど、そのせいかどうか、裁判の場面は圧巻だった。うーん、実にいい映画、組織とは国家とは愛国とは正義とは、色々思うところあった。

by kienlen | 2016-08-12 10:14 | 映画類 | Comments(0)

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