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突然、孫崎さんの講演へ

昨日、友人から電話があって出かけないか、みたいに言われたが在宅仕事しなくちゃなあ、ここは勇気を出して断わるのだ、と思っていたら「孫崎享の講演に行くよ」と言うのだった。遠方ではあるが、思わず行く行く、で、運転を買って出ることにした。転換早い。このところ本は読めないし出かけてもいないし、テレビも新聞もうんざりだし、ネットの情報を追っているのも時間がかかって嫌だしで、社会性が薄れている。孫崎さんは本でしか知らない。テレビは見たことない。聞きたい。テーマも知らずに急遽出かける。演題は「尖閣諸島を含む東アジアの安全保障」というものだったが、冒頭はTPPについて。ひじょうにもっともだと思って聞けたのは「最も重要なところをオミットしたまま事が進んでいる」ことへの危機感であること。結局今自分におきていることも、知りたいくない、なのである。とんでもないことが起こりそうで怖い、怖いけどどうしようもない、という。

分かりやすさを心がけているようでひじょうに簡潔に整理された内容をゆっくり子どもに伝えるように語った。TPPに関してのポイントはふたつ。その1は「守るべきは守ると言っているが、すでに交渉は有り得ない」というもの。加盟の条件は、これまでに決まったことに従う、であり、そしてこれまでにほとんどは決まっているから、今さら交渉の余地はほとんどない。その2は「国家主権が侵されることになる」。これを聞いた時はぎょっとした。というのは、農業がダメになる、皆保険制度がダメになるなどと、次元の違う問題と思うからだ。どういうことかと思ったら「企業が、期待する利益を得られない時、国家に賠償を請求できる」というのである。それで実際に起きている事例を3つほど挙げたが、書くのも恐ろしい内容。国家が市場に呑みこまれるというのはこれか。本棚に『市場対国家』という本があって、読みかけのままになっていて、もう随分古い本だしなあなどと思っていたが、いよいよ私ら庶民にもこの構図が直接影響するようになるとしたら、やはりものすごいことだ。

国家か市場かと迫られた場合、どっちを取りたいかとなると、やはりいくら暴力装置とはいっても国家の方がマシと思ってしまうほどにいい国に、私たちはいるわけだ。それに、グローバル企業が国家の規制がじゃまくさいから取っ払えというのは、まあ理屈からすれば分からなくないけど、すごく不思議なのは、政治家が進んで市場に国を差し出すって、いいんでしょうか、普通なら有り得なくないか。国を売り渡すというべき事態が、主権者にもよく分からないまま進められるって…。しかも表向きは政治家によって。じゃあ、何ができるかといっても選挙だけか。虚しい、と言っても始まらないから選挙は行くけど。なんかなあ、基盤整備はできた感があるもんな。カネカネカネの。あらゆるレベルにおいて。これは、孫崎さんは言ってなくて、単なるつぶやき。長くなってしまった。それで演題の話もまた、びっくりなのだった。挑発するようなトーンじゃなく科学的で極めてまともだと感じた。つまり、何を抑えておくべきかか、なのである。それはイコール、どうやって些末な方向へ導かれるのを防ぐかということなんだろうけど、些末な方が楽ってのが怖いよな。覆われている感強いけど。
by kienlen | 2013-07-11 09:22 | 社会的話題 | Comments(0)

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