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友達に返却した本の記録

少し前から頼まれていた、某企業の会社案内のためのコピー書きを朝からやっていた。朝食を取るのが面倒でコーヒーだけで書いていて、お昼近く、いよいよ空腹になった頃に友人から連絡があった。貸していた本を取りに行っていいか、ということ。コピー書きの方のメドもついたので問題ない。借りていたのは大澤真幸の『帝国のナショナリズム』と、香山リカの『テレビの罠』の2冊。これまでは友人に貸すことの方が多かったが、経済状態が悪化して、書店でカゴに入れるまでのステップが増えているので、機会があればお借りすることにした。それで記録をしておこうと思って、他人の本に線は引けないから付箋を貼って準備していたが、記録する前に返却してしまった。というのは言い訳で、本の感想文はとても難しくて自信がない。修行が足りない。

大澤真幸はこれまでも挑戦したが、東浩紀との対談『自由を考える』以外はちゃんと読めたためしがない。でも『帝国…』は読めた。面白かった。それで今まで読めなかった理由が分かった。自分のレベルには難解であるという覚悟なしに軽い気持ちで字面を追おうとしていたからで、覚悟するべきなのだ。アメリカ滞在中に、アクチュアルな出来事について論じたエッセイが中心だが、最後に確か、アメリカの「帝国」と「ナショナリズム」の関係を書き下ろしていたはずで、これは特に興味深かった。氷山の一角を事細かく論じるものは、テーマによっては好きだが、海面上だけとか、海面下だけに焦点を当てたものは苦手だ。この本は水面下と上を常に目配りしながら行き来しながら、全体を見通す地点を指南してくれる感じで、その移動のリズム感みたいなものが心地よかった。香山リカは結構読んでいるが、これはその中では最も残念だった1冊。独断することを控えたのか何なのか、あちこちからの引用で、その分析も斬新さを感じず前半は斜め読み。後半は前半より面白くて少しほっとした。リカさん、がんばって欲しいから。昨夜から読み始めたのはロバート・ベア『CIAは何をしていた?』という映画『シリアナ』のネタ本。検閲の結果の伏字部分を墨で黒くしてある。飲みながら気楽に読めるかと思ったがそうでもなさそうだ。
by kienlen | 2006-04-26 20:56 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたりタイに住んだり戻ったり旅したり


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