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資源の違いを思い出した

バンコク在住の友人から10年近くぶりに電話があった。場所が離れるということは疎遠になる大きな要因。それに、多分外国暮らしの中で友達になる場合って、そもそも日本人同士だからというのが先に来るので、日本でだったら接点ないよなと感じられる人とも親しくなりやすい。タイ人の夫がいて同じくらいの子どもがいて、ということになれば特に。だいたい自分が友人だった人は、日本へ留学していたタイ人男性と結婚してバンコクへ、というパターンが多かった。出自という言い方があっているのかどうか知らないが、違うのだ。女性の方も、そういう出自の人と見合うくらいの各種資源の持ち主ということになる。そういうものがない私など、出発点が違う。自分らが同年代だって一世代違うくらいの差があるなということをかなり感じた。多分これは、下から見るから感じられることのように思う。つまり、生育環境、親の意識というか、多分それは都市部と農村部の違いにも由来していると思う。

そしてお相手の男性。これがまた全く文化資本が違うからお話にならない。お話する必要はないのだが、つまりそれによって家庭の事情があまりに違うということになる。こういったことはどこにいても当たり前にあることだが、日本にいるくらいに日本人が多いと、グラデーションのようになっているというか、色々混ざっているが、数が少ない中でくっきりしていると、はけ口のない感がある。ということを思うと、同じ地域で育つということの意味はひじょうに重たい。それがなくなるのが、そうか、デラシネっていうことになるのか。その電話で、そういうことを話すはずもないのに、当時の思い出が自分にとってそんなことだったのかと思うと、あれは何だったの、みたいな気分にならなくもない。年を取ることの本質って何なんだろうか。若い時、足元の地盤の軟弱なことを感じることの恐怖が大きかった。それを踏みしめることばかりにエネルギーを使ってきたから周囲のことが分からないまま、ここまで来た感がある。昨夜、ふと娘に「親がもうちょっと道を作れるようだったら良かったかもね、でもできないから自分でやってね」と言うと「道があっても兄ちゃんも私もそれに従うわけじゃないから」と言っていた。ま、子どもはいた方がいいと思うよー、だけ言っといた。
by kienlen | 2012-08-30 09:17 | 家族と子供の話題 | Comments(0)

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