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『原発社会からの離脱-自然エネルギーと共同体自治に向けて』

宮台真司×飯田哲也というビッグなふたりの対談本。発行日に読んだから数日前。本屋で見つけてぱらぱらして面白そうだから買った。そして実際面白かったなあ、と思ってなんとなくアマゾンの評価を見てみたら結構すごいことになっている。ふうん、ちょっとびっくり。普通にまっとうな話と思ったけど。スタートは宮台氏が突っ走り気味で飯田さんの話が聞きたいと思っているうちに飯田氏が中心になっていくって感じの臨場感があり、まあ、こういうのは対談本の面白さだろう。飯田さんは雑誌でよく見かけているが、原子力ムラの中にいたということは知らなかった。ムラの論理を分かりつつという方法をとるので高木仁三郎さんについては、尊敬はするが方法論としては評価していない。飯田さんへの宮台さんの素朴な質問で興味深かったところ。それは、ナチュラルサイエンティストを志して原子力の世界に入るのに、どうしてムラに過剰適応してしまうのか、というもの。それ、知りたい。

それに対して飯田さんの見解は、ひとつには世代の違いじゃないかという。上の世代は重厚長大型の価値観+エリート意識→一般大衆を愚弄視。次が飯田さんと同世代とちょっと下で、そこそこ頭が良い+ぶれている→柔軟なので内側でも外側でもコミュニケーション可。そしてその下の世代は「青年将校みたい」で「オレの選んだ道なんだ、ウダウダ言うな」タイプの登場。なるほど、分かりやすい感じ。ということは、飯田さん世代でがんばらないといけないってことじゃないだろうか。宮台さんもちょうど同じ年。彼は自他の理論を縦横無尽に駆使して社会学的に解説を加えていく。これはこれで分かりやすいといえばいえるけど、言葉の使い方が過激なので、ひとりで書きまくるよりも、ソフト路線の飯田さんが相手でちょうどいい感じだった。人間社会の本質を突いているというか、読み応えはあるのと、自然科学の学者では言えないことも社会学的な見地から光を当てることで浮き彫りになることが多々あり、そしてここはスエーデンで研究していた飯田さんなのでもちろんだが、代替案がはっきりあるという希望の書でもある。一体どうしてこうなっているんだ、何かやりようはねえのかよ、という疑問怒りをどうやって現実に応用していくかと考える時の基本書になると思った。
by kienlen | 2011-06-24 16:45 | 読み物類 | Comments(0)

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