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世論調査、世論作り

今朝の新聞に全国電話世論調査の結果という記事があった。設問内容が載っていたので何気なく読んでいて違和感を覚えた。周辺を見ると「消費増税6割弱賛成」という見出しがある。で、設問に戻ると「あなたは財政再建のため消費税を引き上げることに賛成ですか、それとも反対ですか」である。直感的には、そしてこういう調査には直感で答えるしかないから、消費税上げれば財政再建できる、っていう気になる質問である。加えて、消費税上げるしかないんだな、って思っても不思議じゃない質問でもある。こういう質問って社会調査法のテストだったら合格しないでしょ、と思えるがどうなんだろうか。例えば一番短く加筆するとして、消費税の前に、せめて「手段として」を入れたらどうだろう。もっと入れられれば「累進課税ではなくあえて」とか「他の方法に優先させて」とか「貧乏人にも金持ちにも平等な徴税システムである」などという文言を入れたら印象は随分と変わる。まあ、これが社会調査的にいい設問とは思わないけど。とにかくちょっといじると答えが変わる可能性はある。あるいは「財政再建のため」を取ったらどうだろうか。これだって答えは違うかも、って気はする。

そこまでいかなくても答えの欄を見ると賛成が19.6%で反対が21.7%である。どこが多いかというと「どちらかというと賛成」である。こういう設問だと多くの場合「どちらかというと」にいくんである。だって断言するには難しいからぼかそうって思うのが心理。しかし断言している人は、反対という答えの方が賛成より多い。それでも見出しは消費税増税に支持があるようになっている。しかも記事の最後は「世論の後押しを背景に」である。はい、既成事実の一丁出来上がりって感じだ。いかにもってなデータを使うのはホントに怖い。一体どれくらいの読者が設問を検討して答えを検討して「だからこの調査はこの部分を差し引いて考えた方が良さそうだぞ」とか「これは誤解されそうな質問であるな」とか考えるだろうか。そんな暇人そんなにいない。技術革新のおかげで昔だったら大変な大量調査が簡単になっているから、即席で世論が出来上がる。めでたく消費税上げるのは賛成です、という世論の一丁上がり。もうこういうことって、やりたい放題ってレベルにあるような気がする。それで世論を誤解して選挙でこけたらそれはそれですごいだろうけど、もしかしてそれも狙いだったりして、なんて、暇人の勘ぐりすぎ。やめた。でも、何か、疑問。
by kienlen | 2010-06-10 21:51 | 社会的話題 | Comments(0)

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