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スラムドッグ$ミリオネア

アカデミー賞8部門受賞とかいう話題作。見たかったのは賞のせいではなくて、インドが舞台だから。インドの映画は友人からも勧められているのがあって見たいのだが、家で鑑賞が苦手でレンタルショップに行く気になれずにいる。インド映画について何も知らないから、こういう社会派が多いのかもどうかも知らない。クイズに正解すると賞金を得られるという番組の進行と、その番組のスラム出身の無学な挑戦者の青年の生い立ちから今までが交互に描かれるという構成。つまり、学校にも行ってない青年がなぜ次々と正答できるのかを説明することで、人間の運命とインド社会の一面を描いている。スラムの子達が英語で会話しているのが違和感で、こうだからインドでは英語が公用語だなんて誤解するじゃないかと思ったが、舞台がインドということであって英国の監督による映画なのだそうだ。単なる旅行で1度だけでも、行ったことがあるのとないのとでは親近感が違うものだなと思った。

前半の子供達の境遇、子供の売買などひどくリアリティがあって見るのが辛い場面の多い分、後半は娯楽でサービスしているようだった。泣けるし楽しめるし感動するし、生きるって何なんだと深く考えさせられもするし、役者はうまいし、子供達もすごいし多面的だし、そして絶望よりは希望を強調して終わるから後味も悪くないしあっという間の2時間で大変に面白かったけど、一抹の、これでいいのか感のようなものが残る。私自身、人って大方は運に左右されて生きているように思うから、この映画のキーワードみたいになっている「運命」という言葉を否定する気にはなれない。でもでも、ここまで子供達を悲惨な状況に放置しておいて、運命はないだろう、という怒りが、その一抹の感情の正体だ。別の社会だったらもっと単純にうなずけると思うが…、どうもこの言葉で片付けているような印象が拭えないのである。子供が成長していく話って、この間のグラントリノでも、同じ状況下でもどっちの方向に行くかのがひとつの見所になるけど、今回も同じで、それを運命に加えて何かで説明して欲しいと思うのは、的外れな要求なんだろうか。見た人の感想を聞いてみたいと思った。
by kienlen | 2009-06-10 19:29 | 映画類 | Comments(0)

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