人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ブラジルの現況と日系ブラジル人就労者

こういうタイトルの講演を聞きに行った。主催の市は外国人集住都市会議のメンバー自治体で県内で最も外国人人口の比率が高い。さまざまな共生の施策の模索に関しては県内で一番関心が高いように感じる。だからこの市の主催するこの手の勉強会はなかなか質が高いように感じる。つまり他人事ではなくて当事者意識を感じるわけだ。行政が他人事のようにして催すイベントほど気分の悪いものはない。例えば当市では外国籍市民会議みたいなのをやっているが、最初の頃は、どんなかなと思って顔を出してみたけど、お客さんとお話ししましょう、何か困っていることはありますか、みたいな感じでバカバカしくて今はさすがに行く気になれない。困っていることなんて仕事が欲しいとかビザが欲しいとかに決まっているわけで、しかし行政がそういう当たり前の質問に答えられるわけないから勢い安全圏に留まることになって、つまらないものになる。という余談はともかく、本日はまず会場の雰囲気にびっくりした。パイプ椅子の質素な部屋はいっぱいで、しかも4分の1くらいはブラジル人のように感じられた。講演が始まってしばらくしたら、斜め後ろの女性から手をつかまれて気付くと、ブラジル人の友人だった。ハローワークだとかいろんな機関で長いこと相談員や通訳などをしている。「ここんとこ帰国している人多い?」とコソコソ聞くと「多いよ」とコソコソ答えた。

スピーカーは3歳の時に親に連れられてブラジルに渡った二宮正人さんという方。サンパウロ大学の教授で専門は法律。東大の客人教授などもされていて日本とブラジルを行き来しているらしい。日本語の講演の後でポルトガル語でやるとのことで、そのテーマが「帰るべきか帰らざるべきか」というのだから、なるほどブラジル人が多い理由が分かった。2か国語だから時間が短いのが残念だったが、なかなか面白いお話だった。先生がブラジルに渡った1950年代の始め頃からのブラジル国内政治経済状況に簡単に触れながら、日本との関係を語っていく。で、80年代後半からなぜ日系人が来ることになったかを両国の事情から説明。ひじょうに納得。本での知識は多少あっても経験してきた人の話はさらに説得力がある。そして最後に肝心のテーマ。今、職を失っているブラジル人に対して現実的なアドバイスとしては「やはり日本に留まった方がいいだろう」である。理由はブラジルに戻っても雇用されるのは難しい。日本は人口が減少して労働力は足りなくなる。働く場は日本の方があるから。ただし子供達を学校に行かせること。子供が教育を受けないことの損失は計り知れない。まったくその通り。私達が帰った後にブラジル人達との濃密な話になるのだろう。そっちも聞いてみたかったがポルトガル語は全然ダメだ。
by kienlen | 2009-02-08 20:08 | 社会的話題 | Comments(0)

信州で読んだり書いたりタイに住んだり戻ったり旅したり


by kienlen