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僕たちは希望という名の列車に乗った

このところすごく見たいという映画がない。そんな中で気になったのがこれで、今日行ってみることにした。青春映画なんて青春時代から好きだったことがないが、舞台が冷戦下の東ドイツだし、今日は雨っぽくて昼間から散歩したくなり、昼間の映画でもいいなという気分だった。観客が4人もいたのにはびっくりした。そしてすごく良かったのにもびっくりした。実話を元にしたものだそうだ。舞台は1956年の東ドイツ。ベルリンから少し離れた場所のようだ。全体に暗めの画面で内容も暗い、ということなんだろうな。まだ東西の壁ができる前だからタイトルのような希望が持てたけど、壁建設後だったらどうなんだろうと想像すると怖かった。

後で情報を見たら主人公である高校生たちはプロではないのだそうだ。自然ですごく良かった。動物農場を読んだ直後というのもいいタイミングといえるかもしれない。セリフのひとつひとつが胸に響くし、チラシにある「心揺さぶる感動の実話」を大げさには感じない。人物像のどれもが分かる分かるって感じ。そしてこういう状況ならこうなるだろうなというのも分かる分かるの連続で不自然さを感じなかった。ハンガリーの状況がキーになっているのだが、私は何も知らないので、この映画からだけでも学んだことは多い。そして東欧の複雑さには圧倒される。いやあ、実にいい映画だった。まじめで遊びがなくて直球で感動。泣いた。

# by kienlen | 2019-07-14 21:08 | 映画類 | Comments(0)

『動物農場』タイ語版

軍政が続いていたタイでやっと選挙があったこの春は、仲良しだった高校生が初の選挙権行使でどうなるかなとちょっと思っていた。その子が投票すると言っていたのが、新しく誕生した政党。その党首で首相候補として立候補したのが、俳優になったらいかにも悪役が似合いそうなイケメンで超金持ち。それだけならありがちな話で、そこまで興味があったわけではないが、たまたまYouTubeで演説を聞いたら、これがすごくまっとうでファンになってしまった。協同設立者は名門大学の先生で、これまたイケメンで、こっちはまあ悪役じゃなくていいとこのお坊ちゃまという感じ。もうすべてがいかにもタイなのである。それで何度も色々なのを聞いていた。それから投票があり、即日開票なんてことはなくて、何をしているのか分からないけど1か月くらいたってから結果が出て、この新しい未来党は、党首が逮捕されそうになるなどの事態にも関わらず予想を上回る票を得たのだった。

という経緯と「動物農場」がなんで関係あるのかというと、選挙の過程で、かつてのクーデターで権力を握って首相になっていて、今回も選挙を経て結局は続投となった首相が国民に対してこの本を読めと言ったというのが話題になっていたのだ。それに加えてこの本は私の大好きな本のひとつ。それにしても、軍事クーデターで首相になった人が勧める理由は何なのかという疑問があった。だって、それで結局もっとひどい事態になったってのがお話の内容ではなかったっけ。かといってよく覚えているわけでもないので再読しようと思って、本棚を見たら、この本のタイ語版があるのに気づいた。いつ買ったか覚えてないが、いいチャンス。他をさておきで読んでみることにした。日本語ならすぐ読める短篇だがタイ語ではそうはいかない。いきなり分からない言葉だらけ。しかしいいのである、焦ることもないし分かっていることだし。慣れてくるとなんとか分かるというのも経験上分かるし。それにしても非常に非常に長い時間を浪費して、他を犠牲にして昨夜読み終えた。やっぱり面白いのと、簡潔なのが読みやすい。日本語と比べてみよう、でもその前にやっぱり原文でも読んでみたい。今日買いに行こう。本屋にあって欲しいです。



# by kienlen | 2019-07-14 10:39 | 読み物類 | Comments(1)

ザ・バニシング

しばらく前、見たい映画がないなあと思いながらなんとなく行ってみたもの。オランダの映画なんて珍しいなと思ったのが一番の動機かもしれない。サイコ・サスペンスというカテゴリーみたいだが、確かに最後がとっても怖かった。怖い映画は好きじゃないのに見てしまった。うーん、全体に、それでだから…という感じが残った。つまり見たのが間違いだったという感じ。飽きるというわけではないし、人物像が分からないわけじゃないし、でも感動するわけではなく、何か感情的に得られるというわけじゃなく、こういうのが好きな人ってどういう人なんだろうなという気持ちだけが残った。でも観客は数人はいた。結局何を面白く感じて何を面白く感じないかで自分が分かるわけだ、ということを改めて思った。
# by kienlen | 2019-07-10 19:14 | 映画類 | Comments(0)

『清朝と近代世界19世紀―シリーズ中国近現代史①』

ああ、面白かった。大地のインパクトと中国語が面白いのと、これからも中国に行きたいと思っているのと、そうだその前に行っておこうと台湾のツアーも予約したのとで、何かまた中国関係をと思いながら図書館ぶらぶらしながら見ていて手軽そうなこの岩波新書を借りてみた。テーマが色々入っていて時系列でもないし、まあ時系列で書くなんてことは実際できないことは分かるが、とにかく聞いたことも見たこともない人々が大量に登場して覚えられるわけもなく、で、覚えようと思ったら挫折するし、そんな必要性も感じないので、もう分からないまま気にせずに読んだ。几帳面な人だとこうはいかないのだろうか。しかし西洋の歴史よりも親しみを感じるのは名前も漢字なのでこんがらがり方の質が違う。書く側もそんなことはお構いなしという勢いで進めているのが好ましかった。いちいち気を使っていたら勢いが衰えますもんね。なんてことはともかく、まず、はじめににある最初の文章であっと思ってしまった。「日本の徳川政権と清朝とは、使節のやりとりなど国家どうしの恒常的な関係をもっていなかった」とある。そうか、なるほど。タイもベトナムも朝鮮も琉球王国も清のお墨付きをもらっていたのだが、日本はそうではなかったのだ。で、これが後々まで影響することになる、というのが歴史を読む面白さ。この点に関するタイのことは終わりの方ででてきて、ラマ5世当時のやりとりが興味深かった。

前に大航海時代にインドからだんだん植民地化されていく様子の大著を、支配する側からの視点で描いたのを読んだ時、すごく面白かったがすごく巨視的なので当たり前だが、各国内の事情は非常に大雑把だった。で、印象としては国内がガタついていることの危うさというのが残っていて、中国の場合特にそれが強調されていたような気がする。この本を読むとそのことがダイナミックに描かれている。鎖国なんてできるのは島国だからだろうし、地方勢力が力を持ち過ぎないような仕組みを作るのだってあんな大きな国ではムリだろうし、それでもがんばっている感じが伝わってきた。儀礼の作法がいかに重要で、外交関係にここまで影響を与えるのだというのは新鮮だった。面白さは細部に宿る。あとは科挙制度の問題点というか、本質というか、時代に対する柔軟性を欠くことになるあたりのこととか、日本の家制度に対して男系でつながっていることとか、まあ、断片的な知識としてはあっても、それが人間関係や社会にどう作用しているかまでは分かってないことが、少なくともある視点からはこうなのであると分かるし、そういう発見がいっぱい。台湾のことも出てくるし、この間行った福建省ももちろん出てくるし、ちょっとでも見てあるのとないのとではだいぶ違う感じがする。このシリーズどれも面白いんだろうなあ…うーん、どうしよう。



# by kienlen | 2019-07-07 16:04 | 読み物類 | Comments(2)

『日本史の探偵手帳』

大地の面白さに圧倒されて、中国の歴史の本を新たに読み始めてから途中で、同時代の日本と比べたいなと思って、しばらく前に読み始めて中断していたこの本を開いたところ、江戸時代の武士に比べて清朝の官僚は莫大な賄賂を得ていたという比較から始まっていた。前に読んだ時には印象に残っていなかったスタート。その時は清朝への関心が今と違っていたからだ。今回は清朝が気になっていたので、それが目に入ったわけで、面白そうだと思って読み始めて、結局読み終えた。とっても面白かった。今の日本の構造の基は江戸時代にあるというのが著者の主張のようで、もちろんその理由も説明されていて、なるほど。色々なトピックを扱っていて、それぞれはそんなに長くない。色々なところに掲載したものを文庫にまとめたものなので繰り返しも結構あるけど、それはそれで復習になってよろしい。トピックは硬軟取り混ぜてあるけど、どれも面白かった。歴史は面白い、という当然のことにまたまた感動。比較的な視点をふんだんに入れているというわけじゃないけど、自分の中でこちらを参考にしながら中国の方を読み進めることができて楽しみ倍増って感じ。誰とも口をきかずに読書の日だった、と思ったら、ああ、そうか、早朝のブルーベリー摘みのバイトで一緒に作業した人と「蒸し暑いですね」とかの挨拶は交わしたな。体を動かさなかったので夕方散歩に出たが、読みたい本が山積みなので早々に戻ってしまった。


# by kienlen | 2019-07-05 19:41 | 読み物類 | Comments(0)

「ビューティフルボーイ」と「ある少年の告白」

どうしても見たいと思っていたものでもない映画を2本見た。理由は、バンコク在住の友人が東京に一時帰国の折にこの2本を見たかったのに上映がおしまいになっているといってきて、長野での上映期間を見たら、ビューティフルボーイの最終日が金曜日で、翌日の土曜日からある少年の告白が始まる。じゃあ2日連続で見ればいいわけであり、それを伝えると、友人はそのために訪れたのだった。お高い新幹線なんてよほどのことじゃない限り使わない自分に対して、彼女は新幹線のしかもグリーン車ご利用だった。ホテルは2泊予約だったので時間はたっぷりある。昼間はドライブしてソバ食べて夜の部に連続で行った。どちらも主人公は少年で家族の描き方もなんか似ている。やはりアメリカの父親は強くて、男も強くなければならないみたいなメッセージを毎度受け取ってしまう。私にとってのアメリカ映画ってこのイメージなのだ。

比べるものでもないが、ある少年の告白の方が私は好みだった。実話を元にしたものとのこと。保守的な南部の牧師の息子が同性愛者。これだけでクラクラしそうだが、その通り、なんと同性愛者を矯正する施設があって、そこに入ることになる。当人、嫌々ではなくて直したい願望で行くのだが、その施設のあまりの状況に、とうとう親に助けを求める。常日頃から正しい教えを説く牧師の父はあくまで施設のプログラムを継続させようとするが、母が救いに行く。母親の直感が働いたわけだ。アメリカ映画に勝手に感じていた抑圧的な雰囲気とか恐怖感とか、こういう基盤があるからなのではないかと思った。ビューティフルボーイも事実に基づいているようだったが、テーマが麻薬なので救いがたさがあり、その中で描かれる親子や家族というテーマとの結びつきがちょっと厳しい印象だった。

# by kienlen | 2019-07-03 20:57 | 映画類 | Comments(2)

『大地』

中国から帰ってから読み始めて10日間で読んだ。あまりの大作なのでもっと時間かかると思っていたが、あまりの面白さに細切れの時間も利用できて意外に早く終えた。スケールの大きさと描写の細かさ、それも形状と心理と両面で、人物像がくっきりで非常に分かりやすい。素晴らしい。主人公は王家の人々三代。王は王様の王じゃなくて王という苗字の家。まずは貧しい百姓の王龍が主人公。金持ちの家に行って奴隷を嫁にくれという。きれいな人は主人のお手付きになっているのできれいじゃない女奴隷とリクエスト。で、この妻が寡黙で働き者で、子どもを次々と生み生死の危機も乗り越え、一家は金持ちになっていく。夫婦仲良く協力し合ってという精神面はなくて、とにかく物理的な成長に徹しているのが分かりやすい。男は二号でも三号でも金さえあれば好き放題で、女は価値がないという価値観の徹底も分かりやすい。

次の世代は三兄弟が中心となる。彼らは金持ちになった家に育ったので親とは出発点がまるで違う。長男は成金ながら貴族的というか遊び人で次男は商人で堅実で発想のすべてが蓄財、三男は軍人になる。家族内の腹の探り合いの描き方がもう面白いし、国内の戦争と外国人租界の様子と次の世代、王龍からすると三世代目の生活が、世代間の違いと同じ中国国内とはいえ場所によって別世界である様子がくっきり。で、その三世代目の2人はアメリカに渡り、その時の様子も、分かるなあという描写。隅から隅までうなずける。提示というか、現象があって、その後に説明があって、だからストンストンと胸に落ちていく。個人、家族、親戚、組織、政治、経済、革命、国家とすべてあり。もっと早く読めば良かったという気持ちも起きるが、若い時だったらここまで面白がれなかったかもしれないし、いいタイミングという気がする。超満足。おかげで次に何を読んでいいか分からなくなっている。

# by kienlen | 2019-07-02 22:16 | 読み物類 | Comments(0)

誰もがそれを知っている

いつも行く映画館の上映予定作品を見ていたら、これがあった。そうか、こっちにもくるのか。というのは、この映画を大坂の駅前の映画館で見たからだ。大阪で映画を見た理由は時間調整。関空から厦門行きの便は夜の7時過ぎ発だった。1日かけてゆっくり車で行こうかと最初は思った。しかし帰りの便が到着するのも夜。夜に走り続けるのはちょっと避けたい。あの辺りの温泉宿で1泊してゆっくり戻る案に決まりかけたものの、そんな贅沢をしている身分ではないことに気づいた。それにほんの数日とはいえ、電話を取れないわけなので、一応万が一の対処のために平日を確保しておきたい、というわけで木曜日の夜に関空に着いて、そのまま夜行バスで戻ることにしたのだった。一番心配したのは飛行機の遅れだが、幸い時間通りに到着してバスにも間に合った。

というわけで、出発の日の早朝に大阪に着いて、さてどうするとなり、とりあえず喫茶店に入ってモーニングセットを食べて映画を見に行くことにした。検索するといくつか映画館があり、最も興味深いのが12時頃からあった。それを見て空港行きのリムジンに乗ればちょうどいいことはいい。でもそこまでも時間があるから午前中にもう1本見ようということになったが、これの終了時刻が次の上映時刻に間に合わない。結局午前中のこの1本だけを見てお昼を食べてから空港に行きゆっくりしていようということになった。そしてスペインを舞台にしたこの映画、とっても面白かった。最初が華やかなパーティーの場面で、突然一転するに違いないという予想だけは当たったが、その後の展開は息つく間もないほど。一緒だった友人は新婚旅行がスペインだったそうで感慨ひとしおという風だった。1本で十分満足。それに旅行を前に、もう気持ち的に満ち足りてしまってこのまま戻ってもいいよね、と顔を見合わせたくらいだった。登場人物の顔が似ていて人間関係を把握できないまま見ている部分もあり、もう1度見たらもっと余裕で分かるかもしれない。

# by kienlen | 2019-06-28 10:09 | 映画類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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