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「日本のいちばん長い日」と「ルンタ」

この2本を同日に見た。ルンタは試写会にて。映画を見る前にその映画について調べていくということをしないので、日本のいちばん長い日は、昔の映画の再上映かと思っていた。この思い込みは、調べるとか調べない以前に問題外の誤解、バカ。通りがかりに時間を見たら開始から5分経過していたので急いで入った。暗かったけど20人位は観客があったように感じた。自分が行く映画としてはとっても多い方だ。監督の名前を見た時に、ああっと思った。単なる好みの問題として、何だか苦手でいいなと思ったためしがない。その予感は当たって、つまらないとは思わなかったけど、それにこんなことがあったのだと知らなかったことを知れたのは良かったけど、だったら本読んだ方が良かったかもともいえる。演技の大げさなのが苦手。好きな役者もいなかった。おかげで、自分の好みを改めて確認した。一般的でないのかもしれない。

ただ、内戦の起こり方を知ることはできる。一歩間違ったら、というスリリングな1日は手に汗握るものだった。で、次がルンタ。比べるような内容ではないとはいえ、対照的。チベットで頻繁に起きている焼身自殺の背景を伝えるドキュメンタリー。良かった。チベットで建築士をしている中原さんという日本人男性を通じてチベットを見るものだが、この人がちょっと怪しげでいい味を出していた。中国の支配下での逮捕、殺人、拷問という圧政に、このままではチベット文化もチベット仏教もなくなってしまうのではないかという危機感が伝わってくる。遊牧民の定住化の問題は、研究者の発表も以前に聞いたことがあるが深刻な問題。言語政策も宗教弾圧も深刻。それらへの抗議として焼身自殺を選ぶ人が絶えない。背景には、チベット仏教の教えの重要なポイントが他利で、そのためには自分の命を捧げてもいいというのがあるというのは知らなかった。それで他に対してはあくまで非暴力を貫く。ルンタとは「風の馬」なのだそうだ。象徴的な場面がいくつもあった。重たい、そして政治的に微妙なテーマをこのように表現する大人の技という感じだった。

# by kienlen | 2015-08-19 20:47 | 映画類 | Comments(2)

ショック

タイの政治が安定しているとは一般的には考えられていないようで、私がタイに行く時も、周囲からは危険な場所と思われているフシのあることは感じる。でも、あえて外国人を狙った無差別な殺人が起きているとはいえないし、暮らしていた経験から、他の国に比べて危険とも思えなかった。だから今回のバンコクの爆発にひどくショックだ。スリランカの内戦の時も、通っていた友人から、観光客を狙うから行くことができないんだと言われ「タイでは観光客狙うことはないし」と言っていたくらい。その意味でタイは普通に安全だと思っていた。

爆発のあった場所は、観光客だらけのバンコクのど真ん中だ。4年か5年前にバンコクに行った時も実は爆発があって、それがいつも通っている所だったので、本当に危ないと感じたが、そんな大規模ではなかった。とはいえひとり亡くなっているので日本だったらもっと大騒ぎになるはず。それにしても今回の規模は桁違い。ネットで新聞を見たりラジオを聞くと、はやりタイにはなかった類だと言っている。いきなり背景を断定的に分析しているのまであるのは驚いたが、実際のところまだ背景は分からないようだけど、ひどいショック。気持ちが騒いで、やろうと思っていたことに手がつけられそうにない。平和という以上に魅力的な国があるとは思えない。



# by kienlen | 2015-08-18 11:59 | タイの事と料理 | Comments(2)

雨の光前寺

ちょっと前になるが、バンコクから友人夫妻が遊びに来た。長い付き合いになる夫タイ人妻日本人というカップル。彼らが駒ケ根市の友人に会ってから長野市に来るということは、前々から聞いていた。その話を聞いた時はまだ自分の予定が分からず、会えるとも会えないとも答えることができずにいたが、その日が迫ると、大変暇であることが分かってきたので、駒ケ根まで迎えに行くことにした。信州の広さも大量輸送交通機関の不便さも知らない友人達からは気軽にお願いされた。それに上田市の無言館にも行きたいというから、ますます車がないとムリである。

当日は雨だった。このところの駒ケ根行きは毎回雨。中央と南のふたつのアルプスの眺めは諦めた。ただ、光前寺に寄ろうと思っていた。その友人からヒカリゴケを見たと聞いたから。何度も付近を通ったことはあるが寄ったことがなかったお寺でもある。朝、約束の時間よりも早目に着くように出発して、まだ誰もいない光前寺に寄った。石垣は苔だらけだった。
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これが夜になると光るのかと思った。ルミノール反応みたいなんだろうかと想像を巡らせていた。雨と苔はよく似合う。雨の中で光ったらますます魅惑的。という話を、ひとりで寺を辞してから待ち合わせ場所に行き、友人にしたら「あれは違うわよ、光苔は石垣の中にあるから覗いて見るの」と言われた。「じゃあ、もう一度ちょっと寄って見たい」と言うと「嫌よ」と却下されて諦めた。次の楽しみができた。
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紫陽花も雨に似合う。名前のままの色。
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苔むす早太郎のお墓も渋い。なんて静かで素敵なお寺なんだろうと思いつつ散策し、参道を戻ったら修学旅行生なのか、高校生の団体がざわざわと来た。駐車場にはバスが止まっている。この静寂は早朝のせいだったかもしれない。偶然の第一印象がその後を決めるというのは確かにある。

# by kienlen | 2015-08-15 10:50 | | Comments(2)

王様と私

これは観ないとと思って午前10時の映画祭に少し前に。何かで見たことがあるような気がしていたが初めてだと分かった。どの場面にも見覚えがなかったのだから。この映画について知っていたことと言えば、タイで上映禁止になっているということだけだ。だから観たかった。1956年の公開。そんな昔でもない。当時のタイの国際的な知名度がどうだったのか、王室がどうだったのか知らないけど、ものすごい違和感を覚える映画だった。特に、国王の、鼻でせせら笑うような「ハーン」という、何ていうのか合いの手というか合いの口というかがあまりに下品でびっくり。野蛮に描こうという意図なのかどうか、それにしてもかなり独特な表現であるように感じた。

物語の筋は、タイを近代国家にしなければならないと感じている国王が、イギリスから家庭教師を招き、王子や王女を教育するのだが、その間に色々なことが起きるというもの。ちなみに途中から王になる王子はタイ近代化に尽力したことで有名な王だ。国王には側室が何10人もいて子どもはだから膨大な数になる。その子達が次々登場する場面はちょっとしつこめに描かれているが、西洋から見たかわいらしさってこういう感じなのかと、ちょっと思ったりした。どの子もタイ人っぽく見えなかった。当時はあんな容貌だったんだろうか。タイ人といえばお目目ぱっちりを浮かべるが。ごくごく部分的にタイ語を話す場面があるのだけど、これが何だかよく分かりにくかった。大部分は英語。これを見てタイのイメージを作り上げる人がいるのかどうか知らないけど、それと、この年になると何を見ても面白さを見つけることはできて、国王とアンナの会話など結構なるほどと思ったけど、娯楽とはいえ全体的には不思議な印象ではあった。ただ、劇中劇は圧巻で、これだけで観た甲斐があると思った。

# by kienlen | 2015-08-14 17:06 | 映画類 | Comments(0)

なんと、息子帰省

昨夜、夫の店で居合わせた知り合いのタイ人とビールを飲んでいるところにLINEが入った。息子の名前。珍しいことがあるもんだ。かなり前、お盆に帰省すると連絡があったきりなしのつぶてだったので、もう来ないものと思っていたのに、11時20分に迎えに来れるかという問い合わせだった。ビール飲んだから行かれないと返事した。それからあまりに冷たいかと思い直して、お待ちしてますと追伸した。額面通りにするには家にいないとならないので帰宅した。
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彼は、誰が聞いても絶句するブラック業界で働き始めたところ。心の病にならないでよね、と言うと、その前に辞めると言っているが、思ったより元気そうに感じた。えらく日焼けしているので、そのせいかもしれないが。これじゃあ顔色も不明だ。不明なことは、とりあえず都合よく解釈しておくに限る。お盆はしばらく滞在するそうだ。


# by kienlen | 2015-08-13 21:17 | 家族と子供の話題 | Comments(0)

信州で読んだり書いたりタイに住んだり戻ったり旅したり


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