うす曇で寒くもなく桜も多分満開だろう。修学旅行の後で部活が休みの息子が暇そうなので「花見でも行く?」と誘ってみたが、はっきりしない性格の割には即断で断ってきた。娘はいとこと映画を観た後に、叔父と花見に行くそうだ。私と外出したがる家族員は誰もいない。自分が行きたい場所に行き、子供の希望を聞くということをあまりにしてこなかったので、彼らなりに学習した結果が今日のこの態度である。子供の言うなり気味の父親は人気がある。お金のことは私だったのが、これも失い、用無しになるならなるでこちらにも考えがあるが、そこまでは達してないので半端だよなあ、と疎外感で新聞を開いた。現知事の細部に及ぶ改革志向の一貫で、戸配から新聞の全面広告での告知に変更になって久しい、県の広報の掲載日である。広報なんて広報する側がしたいことをするのであって、特別な興味もなかったが、今日は読んでしまった。それは「有効求人倍率」が登場していたからだ。それでつい先日の職安=ハローワークの対応を思い出した。

なんでもこのN県は7か月連続で全国平均を上回っているそうで、太字での広報に値すると判断されたようだ。自営業なので雇用保険など縁がないが、仕事はしたいのでハローに登録した。求人票を見ていたら某塾の「小論文の指導」というのがあって、時給が2000~6000円と破格である。指定通り、ハローの「紹介状」をもらって応募してみたが、2か月間なしのつぶて。ということは不採用だと判断して放置していた。するとハローから電話があって「この間の応募はどうなっているか」と聞くので「求人票には先方から連絡すると書いてあるのでそのままです」と答えた。すると「もう2か月たっているから明日あなたが電話して、その結果を報告してくれ」と言うのである。書類の処理がお役所の重要な仕事だから、そのために処理用データが必要であり、サッサと済ませたい、というところまでは理解できるが、お役所が文書の文面に従わずに個人と蔭で取引することに加担したいとは思わない。だいたい「紹介」なんて言葉にはとりもつ意味も含まれているはず。ハローの存在意義を示すためなら紹介状などと大げさにしないで「通過証明」くらいで充分だろう。派遣会社やら請負会社の求人から、短期バイトから期限付きからバンバン通過させて有効求人倍率もドンドン上げて、景気回復させておめでたいことである。
# by kienlen | 2006-04-22 13:22 | 仕事関係 | Comments(0)
金曜日はバドミントンの練習日だ。バレー部に入っている息子の試合を見て「とれる!」「動け!」「声だして!」と人に怒鳴るより自分でやった方が精神安定上はマシだと思っていたところ、ちょうど知り合いがバドミントンのクラブを作っていることを知って始めることにしたのだが、3月までは時間的余裕がなくてほとんど行かれなかった。今月から暇なので今日は3回目で、筋肉痛の持続日数がてきめんに減っている。休憩時間に5月の試合に出るかどうかと打診された。バドは、高校の頃に少しやっていたので基本はたたきこまれたが、しかし、それにしてもそれから約30年の年月はあまりに長い。でも、試合は楽しいし、練習の動機付けにはなる。団体戦だったら迷惑かけるので気が引けるが、種目はダブルスの個人戦のみ。「出てみようかなあ…」と言ったら「だったら服装は厳しいからね、靴も」と言われた。

高校の頃はスコートと呼ばれる白いミニワンピースと、その下用にフリルいっぱいのパンツのセットだった。シャトルを打つとペロンとめくれてそのフリルが見えるように考えられたデザイン。「えっ、ス、スコートはくんですか」と尋ねると「そうじゃなくて短パンだけど、上は襟付きでシャトルのマークのついたやつで色は白。靴もね。メーカーは○○で…」とのこと。つまりバドミントン専用の服装ってことだ。ジャージを持っていない私は、クラブ員の中でたった1人、手持ちのパンツの中の緩めのものと、普通のTシャツとあり合わせの運動靴で練習していたので、特に丁寧に説明されたのだと思うが、いずれにしろ人生でただ1回の試合だったとしても、すべて新調しなくてはならないことになる。たかがママバド(始めてから初めてママさんバドミントンなる呼称があることを知った)なのに。組織とか集団への所属が極端に少ない私は、ターゲットにされるには非効率的な消費者なのだろうということを、こうして小さいながら集団に所属することで感じた。
# by kienlen | 2006-04-21 20:59 | その他雑感 | Comments(0)

日本人を意識する時

忘れ物を学校へ届けるようにとの娘の電話で起こされる。気がつくと激しい雨だ。今チェックされたらまだアルコール分が検出されるかも、と思いながら車でギョウチュウ検査セロファンと検査用尿の入った容器を届ける。こういうものは「誰かに借りて」とか「明日にして」とか「だから前日から用意しておけっていってるでしょ」とも怒れないからしょうがない。指定された通りに下駄箱の靴の中に入れてやった。ちょっとした仕事を片付けて、遅めのランチをとりに夫の店に行く。タイ人女性と日本人男性のカップルが1組カウンターでビールを飲んでいて、夫も暇そうに、鶏の内臓のぶっかけご飯を食べていた。テレビで伝えている竹島問題に対して「こんな小さな島で争わないで、くれてしまえばいいのに」などとタイ人達。愛国者の足元にも及ばない自分だが、かといって、さまざまなニュースを他人事のようには思えない時、外国人に比べると確実に日本人だと思う。

私達夫婦を見て私に「大変ですねえ」と同情してくれる人はほとんどいないが、夫に「外国に住むのは大変でしょう」と言う人は、なぜかとっても多い。外国に住むということの何が大変か。そんなことは、各人の目的も状況も多様な中で一概に言えないが、自分の経験では、情報量の少ないことの気楽さの方をむしろ感じた。タイ語の新聞が読めないと、殺人やらレイプが多発していることを知らずにすむし、タイ語会話が分からなければ人々が、アパートに泥棒が入っただの、後をつけられて怖かっただの、貸した金が返ってこないだのの話でそんなに盛り上がっていることを知らずにすむ。タイ人にとっては日本は犯罪の少ない国であるが、毎日のように学校から「不審者情報」が配信され、あの手この手の詐欺やら予想もつかないネット犯罪、ドラックの氾濫などの情報が意識しなくても耳に入ってくる私にとっては、不安を抑えることが結構大変だったりする。どうもタイに住んでいた頃は夫の方がクラク、日本にいると私の方がクライような気がする。
# by kienlen | 2006-04-20 17:31 | タイの事と料理 | Comments(0)
息子が2泊3日の修学旅行に行き、娘と2人だけの夕食だった。娘のみが祖父母宅に長期連泊することはよくあるので逆はあるが、今日のようなことは珍しい。あまり脈絡はないものの比較的おしゃべりな息子に比べると、話し始めるのも遅かったし無口な方だったが、このところ、その分を取り返すように発話量が増えた。今日は学校の様子を伝えていた。メインは英語の授業の様子。小学校でもとっくに取り入れているところが多いから遅い方かもしれないが、教育方針がめまぐるしく変わっていることだけは感じられる。今年赴任してきた先生方の中で、唯一の新卒の先生が担当するとのことで、犬のポチを使うとか、AからZの中で日本語と違う発音の再現など、細部の描写も明瞭である。なんとおだやかな食事風景。経済的困難は別にして、最も平和な家族形態は「母1人娘1人男っ気なし」であろうという仮説を私はもっていて、離婚してその形態をとっている友人に確認したところ認めていた。もっとサンプルを収集して実証してみたいものだ。

さて、息子の場合だと、1章分聞いたら混迷が深まるだけなので、ほとんど1~2文(ただし文の体裁になっていれば)ごとに質問をはさまないとならないが、娘の話にそれは不要。でもただフンフン言っているのも暇なので「で、英語の授業は今日初めてだったわけ?」と聞いてみた。もし2回目だったら初回の様子も聞けば会話の進行としてはスムーズだ。娘はちょっと躊躇して「ホントは今の話は月曜日にあったことで、月曜日に話そうとして忘れて、火曜日はパパの日だから話さなくて、今日になったの」と言った。パパの日とは、つまり火曜日だけは夫の店の店番とウチの番の人員を交代するのである。「なんでパパに話さないの?」と言うと、今度は躊躇なしに「だって、パパに話しても言葉通じないもん」。こういう境遇をどう感じているのか聞いてみた。「パパと言葉が通じないのってどう?」「えー、いいよ別に。パパ面白いから」。日本に来ないであのままタイにいたら、私がこっちの立場になっていたはず。どっちが楽かは体験できる身が1つなので永遠に知ることはできないのだが、1人で、せめて中期間タイ遊学をと思っても、これじゃあ実行は我慢せざるを得ないことは分かる。
# by kienlen | 2006-04-19 22:55 | 言葉 | Comments(0)

人もバイクも車も通報を

アルバイトが入ったので朝から出かけた。自転車がないので徒歩45分位を見込む。畑の中の近道を通ると、柿の木の木陰に地区の掲示板があって、気を惹かれないポスター類と共に以下のような貼り紙がある。時間を気にしつつもメモしてきたので文面はそのママ。「変質者出没。不審な人物やみかけぬ車・バイクは警察へ通報を」。ここが『ドッグヴィル』の舞台のような孤立した行き止まりの町なら、この貼り紙に従ってキョロキョロしてみてもいいが、2桁番号の国道が走り、メインのJR駅から健脚徒歩圏内、私は隣の家族の家族構成を正確に知らないし、我が家は持ち家であるが、試しに外国人の夫の名前を世帯主欄に書いてみたら自治会費が50円下がって借家の金額になった、という都市化の進んだ地区である。

まさかと思うが、これがジョークでないと仮定してみよう。私はここで生まれ育ったわけではないので、ほとんどすべての人は知らない人で、今風に曲解すれば十分不審者であり、面識はあるとはいえ、隣の人が変質者でないと言い切る自信はない。そういえば伏目がちなのは怪しい。車やバイクは自分の家以外のものは全部みかけぬものだ。ということは誰を、どの車を、どのバイクを通報してもいいということになる。面白い。定職はないし、たまのアルバイトの条件なんて最悪、歳だし資格もないし今後の見通しはない。夫はいつこっそり帰国するかもしれず信用できない、子供達は金ばかりかかって恩返しなんてしてくれそうにない、えーい、何もかも気に入らない、朝から通報しまくってやれ、と思ったら実行してもいいということではないか。こういうストレス解消策を採用する人が頻出しても不思議ではない世の中である。すると警察はその対応に追われ、対応しきれなくなると無視するようになり、結果的に犯罪を起こしやすい地区になる。そう思う方が、この貼り紙で何かの効果を期待できると思うより自然な気がするのだが。
# by kienlen | 2006-04-18 16:55 | 地域 | Comments(0)
新学期は子供が突然「絵の具の赤と黄色がないから買ってきて」「墨汁あると思ったら兄ちゃんが使っていたから明日困る」等の突発事案が特に増える。半径10キロ以内に店1件ない私の育った田舎の小学校には購買というのがあって、背の低い私は台に乗って購入したような記憶がかすかにあるが、今時の町中の小学校だと、親が民間企業に走らなければならない。今日もそんな日だった。自転車で出ようとしたら、駅の裏に置きっぱなしにしておいたことに気付き、車で出た。そしたらカーラジオのNHKニュースが、おおよそ以下の内容を伝えていた。肺炎で入院していた小池環境大臣が退院して早速大臣執務室に入って仕事を始めた。女は男の10倍働かないと評価されないから頑張りすぎたようだ、というコメントを出した。

短いニュースで紹介するワンやツーのフレーズのコメントは、小泉首相は例外かもしれないが、どういう文脈か分からないことを考慮した上で(つまり誤解かも)、それにしても男の10倍働くとはどういうことだろう。男が1枚の書類を仕上げる間に女は10枚。男が5分のスピーチで済ます間に女は50分。男がランチタイムを1時間取ったら女は6分。男の働きぶりを実時間で撮って、それを10倍早回しにしたら女の仕事で、女の仕事を10倍のスローモーションにしたら男の仕事ってことか?そもそも10倍という格差を平気で口にする意図は何なのだろう。それから「評価」は誰からの評価なのか。もし国民からの評価だったら、国民の1人としては、女だからって男の10倍も働いて欲しいと思わないし、量より質を求めたい。入院で医療費が伸びると、また国民健康保険料が上がるから勘弁して欲しい。もしも大臣の上司からの評価を気にしてコメントに至るなら、なんだか「頑張っているアタシを見て見て!」みたいで気色悪いが、おかげさまで数分のドライブを10倍に感じることができた。
# by kienlen | 2006-04-17 22:38 | 男と女 | Comments(0)
夫が経営するタイ・レストランにかけてあるカレンダーはタイ製だ。座ると自然に視野に入ってしまうカウンター席のお客さんの目が、一瞬そこに釘づけになるのを感じることがよくある。そのまま黙って視線をそらす人もいるし、なじみのない祝日について尋ねる人もいる。4月の赤字の日は13日から15日。タイでは最も重要な行事ともいえるソンクラーン=水かけ祭りで、とりわけ真正タイ人(中国系の対)にとっては伝統的なお正月。帰省して家族と共に過ごす人が、他の機会の時よりずっと多い。それとこの時期は1年中で最も暑く、気温は40度を超える日もある。美味しいマンゴーの露天が一番多い時期でもある。

私は、空気の抵抗感みたいなものを感じなくなる体温並の気温、36度くらいが好きだ。それも夕方の36度。とびきり辛いタイ料理とビールがあって、この気温。思考力ますます低下で、嫌な事があっても、まあいいか、こんな美味しいものがあるんだし、で思考停止。セカセカよりダラダラが似合う。周囲のタイ人達に「仕事やだなあ」と言えば即「じゃあ、やめればいい」だし、好奇心でいろいろ追求しようと思うと「ヤー・キット・マーク(考えすぎるな)」が口グセである。楽しくないことは美徳ではないようだ。カレンダーを見てそんな思い出にひたった後に英字新聞を見ていたらソンクラーンの写真が大きく掲載されていて、こういう趣旨のことが書いてあった。つい先日まで首相退陣を求めるデモで大騒ぎだったタイだが、ソンクラーン祭りがきたらまるで政変など何事もなかったように人々は水の掛け合いに興じている…。タイに関する報道というのは、どこかとぼけた味付けをなされるものが多いように感じる。そういえば、バンコク在住時に女性専用のバスを導入するかどうかという案が持ち上がった時も「女性が差別されているわけでもないこの国で…」というような枕詞付だった。現金収入が低くても食糧自給はできる、地震を始めとする天災が少ないなどの幸運が、工業化の進展や貿易自由化や環境悪化でチャラにされず、おとぼけ報道にも怒らなくていい状況でいられることを願う。
# by kienlen | 2006-04-17 17:12 | タイの事と料理 | Comments(0)
『ザ・コーポレーション』という映画を見た。昨日、電車で1時間半近くかかるM市で上映会があったのだ。これも友人がチケットを扱っていたので前売り券を買っておいたもの。電車賃より安い1000円はありがたい。ドキュメンタリーで企業ものでマイケル・ムーアもチョムスキーも登場、ということで高めの期待設定。良かったのは、営利法人の歴史をコンパクトに説明していて分かりやすかったこと。特に、法人への特権付与を求めるに当たって、当初から国に働きかけてきたのが弁護士という点。どれも好き、というわけではないアメリカ映画の中で、私が面白いと思うのは企業が絡むものなのだが、そこでいつも決定的に重要な役割を果たす弁護士の存在が少し理解できた気がした。ナチスのユダヤ人管理にIBMのパンチ式コンピューターが多大な貢献をしていたなど、ナチ体制を支えるのにもアメリカの営利法人が暗躍していたことを知らなかったので、これは刺激的だった。それからファンタオレンジが、コカコーラに代わるものとしてドイツで販売されるために製造されたことも…。

広告戦略や、アメリカ政府の他国への介入はこれまでも知る機会があったので前半はおさらい的な部分もあり、後半の方が楽しめた。乳牛への有害なホルモン注射を告発した番組製作者が圧力を受けるくだりは、内部告発者とジャーナリストの葛藤を描いた『インサイダー』によく似ていて、寒々しい気持ちになった。でも、圧力も強いだけに反発力も強いのは、アメリカならではなのだろうか。アメリカを実体験したことがないのだが、ここらへんは日本との差異を感じる。昨日は、ちょうど大澤真幸がアメリカ滞在中に書いたエッセイを中心にした『帝国的ナショナリズム』を読み終えたのと、夫と娘が、アメリカの1つの象徴であり、この映画の中でも当然取り上げられていたディズニーランドに初めて遊びに行った日でもあり、不思議な符合を感じた。これについてはまた書いてみたい。
# by kienlen | 2006-04-16 23:16 | 映画類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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