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『対岸の彼女』

初めての角田光代作品。友達が、この作家の中ではこれをぜひ、ということで勧めてくれたもので、大衆小説は読みやすいので他をおいてさっそく読んだ。その友人とは趣味が合う方と思うので期待したのだが、うーむ、正直なところ、何がいいのかほとんどまったく分からず、何だか元気をなくしながら読んでいたように思う。状況的にも息子が突然帰省したり、帰省のあり様がとんでもなかったりというのが挟まっていて気分が滅入っていたのもあるが、それがなくても近い感情になっていたと思う。学校でのいじめ、家族、学校や職場での人間関係、子育ての悩み、夫の無理解、義母との問題といった女の世界の諸々が書いてあった。そう考えると、多くの共感を呼ぶのはなるほどと思わないでもないが、こんな風にステレオタイプに悩むんだろうか、というのがちょっと分からなかった。細部でひねらず構成でひねってあるのも、好みからすると逆の方が好きかも。

そもそも私自身が、ここで扱っているような類の問題を経験していない、わけでもないが、このような捉え方をしていないのでリアルに感じられない。マスコミ報道等ではよく聞く話だが、どこらへんに真実があるかが本当のところは分からないし、というか、そんな単純な問題に思えないので、小説の中でストレートに扱われてもな、みたいな。むしろ少しずらして表現してもらえると、読む側が自分なりに微調整して焦点を合わせられるんじゃないかという気がする。まあ、このあたりは好みの問題が大きいのかもしれない。ベタで分かりやすい方がいい場合もあるだろうし。これを読みながら奥田英朗の沈黙の町でを思い出していた。ちょっと似ているなと思って。でも奥田英朗のは好きなのはなぜだろうか。社会背景への言及の有無とか、そのあたりかもしれない。ここまで女の世界で完結できるって、ある意味すごいなあ。逆にいうと、自分はそういうところから逃げてきたのかもしれない、直面しないで。と考えるといい本だ。友達はそのあたりで勧めてくれたのかもしれないと思ったりもする。

by kienlen | 2016-12-11 22:03 | 読み物類 | Comments(0)

朝の善光寺

一昨日の夕方のこと。昼間の仕事がまあまあ充実していて、そのまま家に戻るのもな、かといってどこかの店に寄るのもな、と思いながら歩いていて、そうだ、松本平ブラッククイーンが飲みたいと思った。本屋に寄って雑誌を1冊買い、もう一件の本屋に寄ったら知り合いがいて立ち話。デパートの地下に行ってそのワインを探していたら、2000円以上買うとワインを入れる木箱をくれるとあり、どうせ毎日飲むんだからともう1本買って3000円少々にして木箱をもらっているところに友達から電話。タイに行く件を話しに来てと言うので、これもご縁と思って自宅と全く反対方向に行くことにした。ちょうどいいバスがあったので乗る。
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長い付き合いの友達で、世界中歩いていて異文化接触しまくりで、よって何を言っても、それがいけないとか常識ないとか言われないので安心して話せる。ワインを開けて、つまみをごちそうになり、話が弾んで結局泊まってしまった。よって昨日は朝帰り。朝食を用意すると言われていたが、黙って出てきてしまった、ごめんなさい。朝の善光寺を通り、モーニングをやっている喫茶店に寄ってサンドイッチとコーヒーを飲みながら、その友達が貸してくれた本を読み始める。大衆小説は読むのが楽だ。と、ここまで書いてから日付けが変わっていたのに気付いたので、一昨日でなくてその前の日のこと。

by kienlen | 2016-12-11 00:08 | その他雑感 | Comments(0)

『日記をつける』

荒川洋治の講演会に行った時、一緒に行った荒川ファンの友達に影響されサインもらうために購入した本。岩波現代文庫。講演がすごく面白く、この本も語りのタッチと似ているなあ、面白いなあと思いながら読んだ。娘にこういう本を読んでいると話すと、彼女はずっと日記をつけているそうで、1日の整理ができない日も日記を書くことで落ち着くのだそうだ。へえ、と思っていたら、ちょうどこの本にもそういうようなことが書いてあった。そんなこともあり、細部の積み重ねで成り立っているエッセイもいいものだ、なるほどあの友達が好きなのは他の読書傾向と併せて理解できるぞと思いながら読み進めていくと、ブログについても割合と紙幅を割いている章があった。ブログに対しては、ここまでなのかとびっくりするくらいに批判的で、個人的な行動を無許可で書かれるのは嫌など一部賛同できる部分はあったけど、すべてそうそうとうなずけたわけではなかった。どちらかというと前半の方に面白味を感じた。
by kienlen | 2016-12-09 19:51 | 読み物類 | Comments(2)

昨日の日記

荒川洋治の『日記をつける』という本を読んでいて、日記をつけようと思った。それで昨日も12時過ぎに帰宅して一応メモったのだがネット接続できず投稿に至らず。やはり日記は紙にすべきだと思っているところ。どうせ書かないので止めようと思っていたほぼ日手帳を今年も買って日記をつけるか、他のにするか考えている。ともかくそんなわけで昨日スキップすることになったのは午前中半ボラでランチから午後にかけて帰宅したものの、朝一番で知った仕事の締め切りが迫っているとあせったらミスだったことが分かり、だったら内定書類を提出してすっきりしてしまおうと思って写真館で写真を撮りその他書類に記入して投函し、次の予定である聖書の勉強に行き、次の予定である宴会に行き、ここで思いがけなく東南アジア関係の何人かで話が楽しくなってしまって二次会にまで行ってゆっくりしてしまったからだった。

その時点で11時過ぎていて、タクシー代を夫にもらうかもし彼が帰宅するなら一緒に帰ろうと店に寄ると、タイ人の友達がカウンターで飲んでいて、しばらくぶりなのでお話もあってワインを飲んだ。友達が来てさっと食べてさっと帰ったことを知らされる。そのタイ人の友達とは一緒にやっている事があり、でも来年から引っ越すかもね、私もいなくなるかもね、ということでどうしようか等々を軽く話す。そして昨日はびっくりする出来事があった。息子から電話があったのだ。反射的に良くない知らせであると思う、経験上。すると今週末に一時帰省するという。電話では話せないほどの良くないことであると反射的に思わねばならないのが悲しい。しかしそんなことは言わず「お待ちしてます」と切った。夫に話すと「友達の飲み屋に連れて行く」と全然関係ないことを言っていた。夜の業界の人になっているようだ。で、自分も帰宅せずどこかに行ったので自転車借りて戻った。以上が昨日の日記。


by kienlen | 2016-12-08 09:00 | 出来事 | Comments(0)

豊丘村

本日の行き先、飯田かと思ったら豊丘村だった。色々な自治体に行っていると思っていたが目的地がここというのは初めてかもしれない。運転してくれる人がいて、後部座席でごゆっくりと言っていただき、社長でも先生でもないのにお言葉に甘えてゆっくりしていた。南アルプスは真っ白でいながら里は北信より南国風で南信州は魅力的。ひとりだったら仕事の後の寄り道が楽しみだが、運転してくれる人がいるとそういうわけにもいかずまっすぐ帰った。サービスエリアでわさび漬けを買い、娘が好きなしらたきが、地元産のこんにゃく芋使用のがあったので買ってきた。年越しそばの代わりに食べるのも良さそう。
by kienlen | 2016-12-06 22:10 | | Comments(0)

落ち着かない

落ち着かない。よって本を読む集中力がない。しかししょうがない。仕事やら半分ボランティアやら種類の違うのがポツポツで、現場やら在宅やら切り替えが必要で、明日からはたまに遠出も入るようになった。出かけて終わる仕事はサッパリでいいが、出かけた後の方に長い尾を引くのがあると、常にサッパリ感がない。かといってそれほどのボリュームでもないので中途半端さも加わる。こんな風にして月日はさっさと過ぎていくのである。今日は午前中に半ボラやり遅めのランチを友達と共にし、父の所へ行った。その前に甘い物好きの彼が大福を所望したので、菓子ならここと決めている店に寄ると定休日でがっくり。スーパーやらコンビニで済ますのも嫌でまた市内に戻って前々から気になっていた老舗らしき菓子屋を覗くと大福はなかったがきんつばがあったので、出ていた4個すべて購入。こんなことをしているうちに遅くなった。

しばらく前、友達が「友達に蕎麦を送りたい」といって何軒も食べ歩き、味を確認してどれを送るか決めようとしているのに付き合い、私だったらここまで気合を入れるだろうかと思ったが、どうせなら納得の品を、というのは分かるなと思いながらの大福探し、ただし非成就なのだった。そして母の仏壇にバラを1輪だけ買う。今日は母の誕生日だったのだが、それを分かっていながら、花と結び付かなかった。後から父が電話をくれて、忘れていたが誕生日だったな、といっていた。覚えていたけど花ともきんつばとも結び付かなかったと答えた。だいぶもうろくしているようだ。父がごちそうだと用意していた、豆殻で焼いたというやきいもを食べながらタイに行く報告を済ませる。遅いランチとやきいもが効いて夕食は白菜サラダのみ。内定通知と必要書類がたくさん届いていた。外国に仕事で行くってさすがに手続きはシンプルではない。明日は飯田だが、その前に戸籍抄本を取りに行かねば。昨日の講演で買った荒川洋治本を読みたいのに、進まない。

by kienlen | 2016-12-05 20:24 | その他雑感 | Comments(0)

荒川洋治の講演を聞きに塩尻へ

友達から「荒川洋治の講演会があるけど行かない?」と誘われた時、とっさに行く行くと答えた。昔、詩が好きだったころに読んだ記憶があるだけで今は何も読んでいないが、場所が塩尻の図書館でステキだというし、見学も兼ね、当初あった予定をキャンセルしてこちらへ。その日が本日。電車なら特急だとその友は言い、特急代がもったいない自分は普通で行くから現地集合にしようと言うと、だったら車を出すということになり、しかも高速はやめて19号線を行くことになった。話しながら行くとあっという間に豊科付近へ。そこで美味しいとんかつ屋があると言うので、入ろうということになった。いつも通る道で看板だけは見ているが私は入ったことがない。友達は地元の人の紹介で何度か行ったことがあるという。びっくりした。国道から見た限りでこんなに素晴らしいとは予想していなかった。
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江戸時代の家屋、そして手入れの行き届いたすごい日本庭園がこの奥にも広がっている。こんな所にこんな店があったなんて。開店時間前に予約したから良かったけど、あっという間に満席になり、食事を終えた時には大勢待っていた。くぐり戸を開けて入ると、ため息の出る空間。お庭の見える席に案内された。
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お値段もよろしいが、雰囲気もよろしい。サービスもよろしく、お客さんを案内するのに良さそう。ガイジンさんも喜びそう。
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私はロース定食を。ご飯と味噌汁はおかわり自由で味噌汁を二杯飲んだ。薄味で美味しい漬け物も自由に食べられる。1950円。予想外の出費だったが、ちょっとこの雰囲気は格別だった。
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干し柿も決まっていた。
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柿の皮を干してあるのも懐かしい。子どもの頃に食べた。
それから講演会へ。作家の講演というのは、実のところあまり聞きたいと思わない、というところがある。面白くなくて読む気しなくなると嫌なので、だったら聞かない方がいい。しかし荒川洋治さん、ものすごく面白くてこんなに笑った講演は初めて。それに、それそれ、とうなずく内容ばかりで、しかも昔ものすごくいいと思った小説の尾崎翠の第七官界彷徨がお勧め本リストに上がっていた。直前に友達と島崎藤村の話をしていたら、そのまんまの話を講演でもしていて大受け。大変楽しかった。リストから一番読みたいと思ったのは「やちまた」。さっそく娘に購入を依頼しよう。真っ白なアルプスが見える景色も素晴らしく、楽しい日だった。
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長野市の図書館とはほど遠い。講演でのお勧め本をすぐに用意して借りられるようにしていたが、塩尻で借りても返せないし。あとはちくま文庫の充実ぶりに目を見張った。いいなあ、読みたいのだらけ。


by kienlen | 2016-12-04 20:29 | | Comments(2)

レシート裏

帰国後、何やかやあってロンドンのことをあまり書いてない気がする。忘れないうちにメモ。昨日友だちと会っていた時にロンドンの話になり、彼女が「パリよりロンドンの人の方が親切だったと思う」と言った。ひとりやふたりで判断できるわけないけど、私たちもロンドンでびっくりする親切にあった。それはロンドンのパディントン駅からバースへのワンデイトリップに向かう列車に乗っていた時だった。帰りは悲惨な立ちっぱなしだったが行きはすきずきで快適。娘が窓際に座り、私が廊下側に座って低い丘と畑と同じレンガ色の家々の続く晩秋という感じの景色を眺めていた。すると、左肩をトントンされる感触があった。廊下を挟んで隣の席にいたご婦人が、私たちのいた側の車窓を示して、あの馬を見て、有名よと言った。示された方を見ると丘一面という具合に白い馬の模様が広がっていた。おお!と思ううちに遠ざかって見えなくなる。教えてもらわなければ絶対気付かなかった。

すると次にご婦人が、後で調べてと言って小さな紙片をくれた。レシートの裏に「Westbury white Horse」と書いてある。さっそくその夜にネットで見てみた。粋なはからい。今度私もツーリストを見かけたら、口だけでは分からないだろうから、こうして書いてあげようと決めた。でも何を、というのは思い付かないが。いずれにしろネットでたいていのことは分かる時代なので便利だ。彼女はバースで降りると「私はパーキングに行くからこっちだけど、あなた方はあちら」と教えてくれて去って行った。その後、ロンドンの本屋に入って娘とゆっくり見ていた時、娘が「ママ、レシートある?」と言うから、何かと思いつつ一枚渡した。娘は隅っこでそこにコソコソ何か書き付けてレジのスタッフに見せている。すると案内された先でヴァージニア・ウルフの本を見つけて喜んでいた。多分発音に自信がなかったのだろう。かの親切なご婦人からはいくつも教えていただいたことになる。ありがとうございました。



by kienlen | 2016-12-03 15:13 | | Comments(0)

内定通知というもの

応募していたのの結果がこないことには予定が立たないな、しかしまだ数日かかるだろうかと思っていたら本日内定通知が届いていた。就活したことがないので、こんな通知自体が初めて。ぎゃあ、嬉しい、かというと、試験というのは落ちるよりは合格の方がいいので嬉しいことは確かだが、大騒ぎという感じでもない。娘に連絡すると、おめでとうというメールがきたので、複雑よね、と返信すると、1年くらいだからちょうどいいじゃない、遊びに行く、という返信。確かにタイミングとしてひじょうに良いので応募したのだし、動機にも一番の理由はタイミングと書いたのだった。長期的な仕事を抱えていない、というかその予定もない、子どもがここまでになった、体力的にはまだ大丈夫、頭もまだ使える、娘が生まれ故郷の国に長期滞在できる機会にもなるしタイ語を勉強したっていい、ずっといてくれてもいいわけだ。たったひとつの引っかかりは高齢の父である。何とか今レベルの健康を保っていて欲しい、それだけ。

以上の結果を受けて身辺整理にかからないといけない。車は正規発注前なのでどうするか。父にはどのタイミングでいうか。早速伝えた方がいいのか。テレビを処分してNHKの契約を切りたい。これは長年の希望だった。来年の冬はいないので冬物衣料を買う必要がない。仕事先への対処をどうするか。楽しみは色々ある。20年ぶりに住むので変化を感じることができる。タイではバンコク以外で暮らした経験がないので地方での暮らしは楽しみ。それから一番はタイ語のブラッシュアップをしたいという長年の夢が叶うかどうかは分からないが、それを目指したい。とりあえず今月は少しボリュームのある仕事もあることだし、そちらを中心にして粛々と進めることにする。今日会った友達に応募の件を話したら、その歳でよくよね、みたいな反応だった。確かに。しかし知らない国に行くわけでもないので特に緊張感はない。本当は知らない国に行ってみたかったのだが。

by kienlen | 2016-12-02 21:30 | その他雑感 | Comments(4)

ミモザの島に消えた母

今日は市内で仕事だったので歩いて現場へ。通勤ラッシュが終わって静かになった町を40分ほどの散歩。それも気持ち良かったし、内容的にも久々に充実感があり、終わってから映画を観に行くことにした。予告を見た時、サラの鍵の監督だということで気になったのと、母の死の謎を解くみたいな物語がやはり気になったのと、時間的にもちょうど良かったのでこれにした。観客は自分含めて2人。そんなに期待していたわけじゃなかったけど、自分的には大変好みだった。スタートが「現実に直面しないとダメじゃないか」みたいに言う男性に「直面してないのは兄さんでしょ」みたいに言う女性の場面。現実やら自分やらを直視しないままに来ることの問題についてはよく友人と話すので、おお!と、惹き込まれる。そのまま最後まで。いやあ、多分ものすごく地味な映画なのかもしれないけど、私はすごく良かった。この間のベストセラーが、面白いけど何か物足りないと感じたのに対し、こちらは、面白いというのでもないのに、どうしてこんなに感動するのか、という感じ。もっとも友人はベストセラーに痛く感動しまくっていたけど、これを見たらどうだろうか。もう明日で終わりなので見るわけないが。物語としてはいかにも作り物感と、情感としては直球感とがない交ぜになった印象がサラの鍵と同じだった。そしてとっても繊細で冷静で、音楽もすごく良かった。家族って何、をつくずく感じた。迷ったけど、見て良かった。こんな映画をこんな地方都市で上映してくれる映画館に感謝。
by kienlen | 2016-12-01 22:34 | 映画類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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