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ブルックリン

予告編で見て、見たいと思っていた。昨日友だちと行こうということになり家を出たら豪雨で雷もあってキャンセル。その友だちがとても良かったというのもあり本日行った。時代は戦後まだそれほど経っていない頃、アイルランドからアメリカに移民した少女が主人公。優秀だけど故郷では仕事がなく、神父の招きで渡米できることになり、姉と母を残して船で出る。抒情的な映像と言葉少ない表現になぜか涙が出てそのまま最後までほとんど泣きっぱなしで、昨日友だちと行かなくて良かったと思った。素晴らしい。昔見て深く感動しためぐりあう時間たちを、なぜか思い出した。つまり女の物語。故郷に戻って、どうなるかとハラハラしている時にあの一言で翻すところ、ああ…、分かる。見逃さなくて良かった。素晴らしい。
by kienlen | 2016-08-22 22:19 | 映画類 | Comments(0)

『スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?』

しばらく前に買って積んでおいた本。やたらに本を買える状況でなくなり、あるのを消化しつつ図書館利用しつつ、時々買っている。400ページを超える結構な大著でなかなか取りかかれなかったが、読んでみたら実に面白い内容だった。著者は元長距離選手のスポーツジャーナリスト、アメリカ人。「スポーツ遺伝子」のようなものがあるかを探るため、それこそ膨大な科学論文を読み、科学者に取材し、選手とか家族にも話を聞き、さらに歴史的、人類学的な視点もいれ、多面的にトップアスリートを分析している。知っている人は知っているのだろうけど、自分にとってはもう本当にびっくりの連続だった。野球とか球技のトップの視力が測定不能なくらいに良い、というのは、ありそうくらいに思えるけど、生まれてこのかた自分の性別を疑ったことのない女子アスリートが性別検査で男と判定されてタイトルはく奪されて奨学金ストップで恋人とも別れてとなり、納得できない当人が奔走して実は人間を男と女に分けるのはそう簡単な問題でないことを知るというあたり、性別判断は難しいと漠然とは知っていたけど、細かく説明してあって、なるほど、だった。同様に、ドーピング検査といってもシンプルでないこともよく分かる。いやあ、なるほど。

構成もとってもいい。エピソードから入るので素人にも理解しやすく、専門的な内容は比喩で易しく解説。考察は多面的でバランス良くて、シンプルに結論がでるものでないということをあちこちで強調。章ごとの長さも適度。たっぷり書いているため説明不足のストレスなく、かといって過剰のストレスなし。ジャマイカが短距離で圧倒しているのに長距離では強くなく、ケニアはその逆で中・長距離専門。これがなぜかというのも、おお、なるほど。ジャマイカの歴史や言い伝えも興味深かった。犬のブリーディングの話と、中国で長身の子を産むように背の高い人同士を結婚させたエピソードを読んでバレーの試合を見ると、うむうむ。ドーピング花盛りだった70年代が一番記録が伸びていて、その後はそうでもないこと、なるほど。マラリアから身を守るためらしい遺伝子と筋線維の話など、ほほう。アスリートの遺伝子を調べるということは、人間が環境に適応しながら今日まで生きのびてきた歴史を見ることでもある。何から何まで面白かった。アフリカに行ってみたくもなった。大当たり本。

by kienlen | 2016-08-21 21:03 | 読み物類 | Comments(2)

ブンミおじさんの森

光の墓の監督がこの映画でとても評価が高いようだ、ということだけは知っていた。これ、劇場公開の時に確か見逃してしまいひじょうに気になっていて、かといってわざわざ探すほどの情熱はなく、何となくレンタルショップをブラブラしていたらあったので、おお、と思って借りてきた。光の墓同様、音楽はないし、盛り上がりはないし説明的なところないし、美男美女でないし、よくこういうのつくるなあ、しかしなぜか飽きないし好きだ、惹き込まれるのはなぜ、誰か教えて欲しい、というのが両者に全く共通の印象。しかも言葉がタイ語ならまだしも、イサーン語ではありませんか。この姿勢、すごいと思う。それにしても、当然ではあるが、やはり劇場で見たい。DVDだと分からなければ見直せるという利点は大きいのだろうけど、自分にそういう習慣がなく、そして家で映像を集中して見る習慣がついてないのは痛い。よって、分からないままに見たという感じ。

それでも光の墓よりはこじんまりしていて生身の人間の登場人物ごく少なく、それは分かりやすかった。すごい田舎の村の住民で透析の必要なのがタイトルにもなっているブンミおじさん。そこに亡くなった妻の妹、つまり義妹とその息子が一時的なのか一緒に住んでいる。この息子はタイ語の方が得意であるらしい。と、食卓に死んだ妻がスッと現れる。さらに死んだ息子は猿のような姿で現れる。みんなが、ああ来たのね、という風に懐かしがる。色々な外国人と接していた知り合いがタイ人について「受容的」と表現した時、言い当てていると感じたのを覚えているが、それを思い出した。お猿さんの方はいつの間にか家からはいなくなるが、後に森の中に現れる。妻の方は透析を手伝ったりして普通に馴染んでいる。最後は森の中に入って行って終わりかと思ったら続きがあり、本当の最後に音楽が入るのだが、これも映画音楽にはしたくない、みたいなポリシーが感じられるというか。輪廻転生が軸になっているようだが、いかにもタイみたいなシンプルな面白さがあった。生と死の話なのに深刻ぶってないのがいかにもで、結構笑ってしまった。この境界線のなさがいい、こっそり好きに入れておく。さわやかの対極なのに後味すっきりって不思議。良かった。

by kienlen | 2016-08-19 12:02 | 映画類 | Comments(0)

草津温泉

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草津温泉の写真がこれって何だが、昨日、久々に草津温泉のお湯に入ってきた。全く予定外の行動。友人の仕事に同行して佐久に行き、まだ陽は高いし天気はいいし、どうするかってことになり、買いだめしておきたい軽井沢のパン屋に行きたいというとOKということでそこで買ってカフェで一服して、いつも季節はずれにしか来ないので客の姿を見ない追分を観光客が散策している姿を眺め、さすがは軽井沢と感じ、ついでに草津に行ってみるかということになった。草津温泉に入ったのは一度きりで、しかも10年以上も前だ。ただただ、素晴らしいお湯だったという印象だけがある。

いつも運転が仕事みたいな自分だが、昨日は友人の運転。途中で眠くなってちょっと交替した以外は。彼女が車中で休憩している間、せっかく来たのだからと思って外来用の温泉に入った。大変よろしい湯でした。それほど遠くないとはいえ、それほど近くもない。陽も傾いてきたことだしあまり遅くならないうちに戻ることにしたが、同じ道では面白くない。2人とも山道好きなので白根山ルートを取ることにした。あの道を夜に走るなんてひとりでは絶対避けるが2人なら心強い。ところが薄暗い白根山に近づいたところで通行止め。6時以降の通行は禁止だったのだ。あんな真っ暗な山道で何かあって警察に通報なんかいったら大変だろうし、納得できる対処。引き返して鳥居峠越えで戻ったが、こっちも充分山道だった。こんな所を走る群馬側の吾妻線、乗ってみたいねということになった。それにしても、今はどこも道自体が整備されているので走るのに問題ないが、ここまで山また山の信州、外部接触しにくいゆえの独自性があっても不思議じゃないと改めて思う。

by kienlen | 2016-08-17 17:57 | | Comments(2)

子育て

子どものころは無口だったのに今は結構しゃべる娘。そういえば息子は子どものころにおしゃべりだったので逆。それで娘の話で面白いのは友だちの話で、今の若者のすみっこを垣間みることができる、といっても私の興味は若者の嗜好とか志向とかそういうことではなく、何だろ、間接的人間観察か。この間、娘が親しい友人のひとりに久々に会ったということで、家にも寄って行った。中学で同じクラスで勉強は常にほぼトップで運動は何でも抜群にできて、人望厚くリーダーシップあり、しっかりしていて積極的で素直で努力家で美人で、こういうどこを取っても文句なしの人っているのね、の見本みたいな人。どうしてこういう人ができるのかについて私が「親がちゃんとしているんだろうね」というと「あの家のお母さんはほんとにうまい」という。

子どもを伸ばすような子育てができる人なんだろうねえ、というと、そうそうとのことだった。はい、いくら私だって頭では分かりますが実行は別問題、できません、できないことをやる姿勢には元々欠けてます、申しわけないけどしょうがない、と心の中で思っていたら「あのお母さんみたいに本当にできる人はいいけど、できないのにやらなきゃと思って無理するのは一番良くないよ。だったらやらない方がいいよ」というのが娘の見解。そしてこう付け加えた。「ママみたいに」。観察しているのは相手も同じなのだ。子どもに関しては色々あって笑えない事態ではあるが、やり直せるとしても同じことになると思うので、しょうがないで済ますことにする。色々あって修行になってありがたいということで。

by kienlen | 2016-08-17 13:14 | 家族と子供の話題 | Comments(0)

アイヒマン・ショー

昨日娘を駅まで送り、家で本を読んでいたら友だちが寄り、彼女が帰った後に夜の映画を見に行った。6時50分からの短めの映画というのは、その後ちょっと一杯やるのにちょうどいい。東京に行った時にどっかの映画館を通りかかったらやっていて、見たいと思ったが、まさかこちらでも上映してくれるとは思わなかったので非常に嬉しい。予告編を見た時点では、結構退屈するかもな、あるいは大げさに描くんだろうかなどと思っていた。アイヒマン裁判を撮影するのに苦労した男たちの物語ということしか分からなかったので、特に期待はしていなかった。しかし退屈などとんでもない。テレビで公開するとはどういうことか、撮影スタッフ自身もあれだけのものを抱えていて葛藤があったこと、記録映像の始まりがこれだったのかとさまざまな感動があった。観客が7人いたのでまあまあの入り。古い映像と今のを重ねるところが何かちょっと苦しかったけど、しょうがないし、大変良かった。

始まりは、1960年にアイヒマンが逃亡先のアルゼンチンでモサドによって捕まるところからで、ハンナ・アーレントと同じだけど、映像的にはあんなセンセーショナルではなく報じただけ。本題の始まりは、裁判を撮影して新しいメディアとして登場間もないテレビで世界中にアイヒマンをホロコーストを報じたいと決めたプロデューサーが、イギリスの赤狩りで仕事を干されていた男を監督にするなどスタッフを集めるところから。法廷にカメラを持ち込む許可を得るまでが大変で、脅迫はくるし、裁判が始まり撮影が始まると撮影者側の思い入れや葛藤が激しくなる。この撮影がなかったらホロコーストの実態の知られ方が違っていたかもしれない、裁判のあり方も違っていたかもしれないと色々考えさせられた。とにかく、記録映像というものの意義を伝えようとしているもので、その意義は充分に感じられる。監督が滞在する安ホテルの女将がすごく良かった。チェコから来た人だった。

by kienlen | 2016-08-16 07:53 | 映画類 | Comments(0)

『コンビニ人間』

この間会った年配の男性が、飼っているウーパールーパーを見せてくれた。私はこういう存在そのものを知らなかったので形態にびっくりして「これ、食べられるんですか」と単純な疑問を口にすると「あんたもコンビニ人間みたいだね」と言われた。どういうことかと思ったら、ちょうど芥川賞受賞作のこれを読んだところで、そこに出てくるエピソードのひとつと彼の中で重なるのだそうだ。それもあって帰り道に文春を買い、元々読みたいと言っていた娘が先に読み、次に私が読んだ。芥川賞というと、文学であり大衆小説でなく大衆には面白さが分からないというイメージがあったが、これはとっても面白かった。自分的にはジョージ・オーウェルから政治性を引いたような印象。全体に風刺のようでもありベタのようでいてシュールでかなり怖い。読み終えてから選評を読んだら、笑ったという選者が複数いて、へえ、これ笑えるんだとびっくりした。自分にとって笑う箇所はひとつもなかったので色々に取れる小説ということだろう。

コンビニで18年間バイトしていて、コンビニでなければやっていけないコンビニ人間になるという話だけど、これって別にコンビニでなくても会社人間を考えても同じようなものと思うし、自分もいつも仕事があろうがなかろうがそういう視点で物事を見てしまうので、コンビニ人間を特に不思議に感じないが、しかしそこは高度に画一的ながら独特の配慮もあり、それさえ画一性の中に収れんされるらしいのはやはりコンビニ独特なのだろう、というかそういう風に描いているのがすごい。私自身はコンビニの利用頻度がものすごく低い方なので、コンビニってこういうものなんだというのだけで新鮮だったが、そんな次元じゃなくてもっともっと深い世界に到達していた。ウーパールーパー飼育の方は、ここに出て来るような人物は容認しがたく、批判的な意味での面白さのようだったが、それはそれでその時代の人としての言い分は分かる気がするが、いやはや日本の現代の核心的な部分が実に的確にそのまんま内向きに無駄なく表現されていると思った。面白かったし怖かった。これ以上長いと多分飽きるので短さもいい。



by kienlen | 2016-08-14 17:02 | 読み物類 | Comments(0)

ゾラの生涯

この間レンタルした3本の中のひとつ。この映画の存在を全く知らず、たまたま目に入って、単純にゾラの生涯ってどうだったんだという興味だけで借りたもの。自分が読んだのは居酒屋だけ。いつの時代の映画等々何も知らなかったらモノクロームだった。後でチェックすると1937年公開でアカデミー賞も受賞している名作らしいことが分かり納得。考えてみると、あの規模のレンタルショップにあるんだものな。「生涯」というからには長大な物語かと思っていたらそうではなく、焦点を絞ってコンパクトだった。始まりはセザンヌと同居していたらしい貧しい貸し間暮らしの場面から。ドアのノックに大家の家賃催促かと思ってゾラがベッドにもぐりこんだら母親、というスタート。セザンヌと親友だったのだというのも初めて知った。つまりとにかく何も知らないので。映画は事実に基づいているが人物の性格などはそうとも限らないことを断わっていた。

前半はゾラが苦労しつつもだんだん有名になっていく様子。ナナが書かれた発端はモデルとなる人物との出会いで出世作になったようだけど、ナナは居酒屋の続きだと思っていたので、居酒屋への言及がなかったのがよく分からなかった。気をつけて見ていたつもりだけど。セザンヌが「芸術家は貧しくないといけない」みたいに言ってゾラから離れていく場面があり、映画ではあるが、セザンヌってこういう人だったのかと感じる。後半は国民的作家として名声を得ているゾラがドレフュス事件に関わるようになるまでの経緯が比較的詳しく描かれ、この事件が中心。冤罪で投獄されたのがなぜこの大尉だったのかが映画では分からず、ユダヤ人だからという解説を後で見て深く納得。時代背景及び基礎知識がないと理解は厳しいが、それでなくても面白かった。疑問はネットで簡単にみられる状況に感謝。今の時代状況の中でもそのまま通じるゾラの言葉がいっぱいだった。フランスなのに、アメリカ映画で英語というのがちょっと違和感だけど、そのせいかどうか、裁判の場面は圧巻だった。うーん、実にいい映画、組織とは国家とは愛国とは正義とは、色々思うところあった。

by kienlen | 2016-08-12 10:14 | 映画類 | Comments(0)

栄村から奥志賀経由野沢温泉

安房峠を越えて岐阜に抜けてみたいと思っていて、山の日だからちょうどいいやと娘に言ったら皇太子が来るし混むでしょうと言うので止めた。じゃあ八ヶ岳にしようかと思って娘の要望をよく聞くと、つまり興味は食べ物のみ。歴史でもなく地理でもなく景色でもなく社会でも経済でも政治でもなく食べ物だけ。つまらないけど人の好みをとやかく言えないので、じゃあ中野のオランチェでご希望の桃とスイカなどを買い、飯山の道の駅に寄ってキノコなどを買い、栄村の道の駅でソフトクリームなどを食べてランチということになった。娘の関心が食べ物以外にないので私は不機嫌で、それで不機嫌になる母親に娘はもっと不機嫌でブスっと出発。その前に、仕事もなく毎日遊んでばかりでお金使うので夫に昼飯代をくれと言って1万円もらおうとしたら2000円だけくれた。オランチェは遅く行くと品物がなくなるので10時には到着。ところがすでに駐車場はいっぱいで店は入場制限していて長い行列ができていた。うわー。飲食店で並ぶのは嫌だが市場である、面白いので並んで入った。収容人数200人くらいだろうか。いや、もっとだな。桃一箱1500円、スイカ大玉1000円、花も野菜も108円。つい買い込んでしまう。レジも長蛇の列。
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よく行くので珍しくもないが飯山もきれい。飛行機雲が三連も。好きです、信州。
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ちょっとのドライブで戻るつもりだったのに、津南経由で栄村にちゃんと入ろうとして、この道が前に通ってイメージしていたよりずっと難関だった。何か勘違いしていたようだ。こちらの景勝地で昼食。
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娘は岩魚の塩焼きと山菜定食1300円で、予算的に私は700円なのでキノコ蕎麦。これがこごみやししとうがたくさん入っていて傑作だった。
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岩魚はこうして焼いている。たき火が嬉しいくらいの涼しさだった。で、もうこうなったら奥志賀道を行ってしまえと思って走る。多分3回目か、4回目か。1人では絶対通りたくない道であることだけは知っている。ガードレールはないし落ちたらそれまでだし車はほぼ皆無だし長いし、山の日でもここまで来る人はごく少ないようだ。そして娘はそんな恐ろしい道でもぐっすり寝ていた。食べて寝るだけの人。私には理解できない神経の持ち主である。
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途中、車が何台か止まっていたので何かと思ったらここで水を飲んでいた。飲めるんですかと聞いたら飲めるというので一休み。この名前で美味しそうには感じられないがとってもきれいで冷たくて美味しかった。
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野沢温泉に下りる道を選んだらこの景色がありまた感嘆。素晴らしい信州の山。
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こんな写真じゃ何も分からないが、実際は素晴らしいのです。あちこち走っているつもりだったが、ここは多分初めて。居合わせた男性に「きれいでしょ」と言われ「ホントですねー」と言うと「どちらから?」と聞かれたので「地元です、長野市。でも知りませんでした」と答えると「そりゃ、ダメだねえ」と言われた。食べ物だけの人と景色だけの人、どっちもどっちで浅いけど、きれいだった。


by kienlen | 2016-08-11 22:16 | | Comments(0)

『火車』

初めて宮部みゆきを読んでみた。娘からもらった文庫本にて。彼女は子どもの頃から宮部みゆきをいくつか読んでいて、その都度、巧いけどネチネチしていて好きにはなれない、みたいな曖昧な感想を述べていた。しかし図書館の先生とか国語の先生とかにファンは多く、特にこの本は絶賛されているとのことで読んだそうで、その影響かどうか絶賛だった。今の時代だからこそ読むべきみたいなことを言っていたのでどんなかと思って読み始め、結局昨日はゴロゴロしながら1日中これを読んでいた。つまり何もしなかった。本は人を怠惰にする代表であると今さらながら思う。暇なので料理しよう、縫い物しよう、編み物しようと図書館から関連本を色々借りてきたのだが…、ウチにもたくさんあるのだが…。小説は、特に面白いミステリーは、途中で止められなくなるという問題を解決できない。

平成4年の刊というから結構古い。扱っているテーマは多重債務。それに苦しめられて育った美しい女性が主人公、なのかどうかちょっと分からないけど、姿は見せないこの女性を追いかける物語。逆に言うと逃亡物語。当時とは経済状況も法律も変わっていると思うけど、充分面白く読んだ。人物設定がリアルなのでどの人にも感情移入できて、おかげで読み終えた夕方にはすっかり気分が暗くなり、娘と食べたタイ料理を美味しいと感じられず、ビールを飲んで戻って早々に寝てしまった。暗い想像ばかり膨らんでますます暗くなり、この世の終わりの感じになってよく眠れず、しかし朝になったら、いつものように、ま、いいか、となってオリンピックを少し見た。微細から人間心理にもっていく描写とかつなげ方のスムーズさとか登場人物少なくないのに分かりやすいとか、全体に巧みな技って感じで違和感なしに物語世界に入れた。最後は活字だとすっきり感がないけど映像だったら美しく盛り上がりそう。



by kienlen | 2016-08-11 08:14 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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