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ビルケナウ

しばらく前、車に乗ったとたんに聞こえてきたラジオに思わず耳を傾けた。番組の途中だったので、ホロコーストを生き延びた人が書き残したものの朗読なのか、あるいは当人の語りなのか分からなかったが、とにかくナチスの収容所での体験だった。収容所に到着して選別される時、語り手の前に大変美しい女性がいて選別者が「おまえのような美しい女性が殺されるのは残念だ」と言い、その場から歩いて去るように告げられる。羨望の視線もあっただろう中を彼女は歩き始めが、しばらくして背中を撃たれて倒れた、という内容だった。この話を、ビルケナウ収容所の景色を思い浮かべながら聞いていた。この間の旅行の一番の目的はアウシュビッツで、行って初めて、映画などによく使われて見慣れた収容所跡はビルケナウなのだと知った。まったく知らないことだらけ。クラクフという古都から車で2時間くらいのビルケナウを見学して、アウシュビッツはそこから5分くらいだけど、一応別々の収容所なのだった。
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これが入口の門。ただこちら側からだと線路が少ししかないので、映画などに使う場合は以下のように内側から撮るのだそうだ。
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ずっとどんよりした天気で、ガイドさんも、ポーランドの冬はだいたいこんな感じですよと言っていた。
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ユダヤ人を運んだ列車。生きのびた人がドイツで探して買い取ってここに寄付したのだそうだ。ガイドの話を聞く方が優先で写真をあまり撮れなかった。たまたま出発前に、あちこちで写真を撮っている人と知り合ったが、アウシュビッツでは撮れなかったと言っていた。しかし自分はそういう感じにならなかった。あまりに何もないから。年数が経っているというだけでなく、とにかく跡形もなく処理するのが目的だったわけで、その徹底していることの恐ろしさを想像するに充分な跡地である。
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by kienlen | 2016-04-30 18:35 | | Comments(2)

ティファニーで朝食を

昨日、午後にひとつ仕事が入っていて、雨が降っていた。雨の日は歩いて出たくなる。午前十時の映画祭は「ティファニーで朝食を」で、これは特に観たいと思っていたものではないが、散歩がてら行って観てからそのまま歩いて仕事に行けば時間的にも気分的にもちょうどいいし、それに、カポーティ―の『冷血』の意義を知ったり伝記的な映画を観たりしていて、ティファニー…も観るか読むかしてみたい気持ちはどこかにずっとあったので、迷った挙句に行くことにした。混み合っていますと言われたのでどんなにかと思ったらたいしたことはなかった。オードリー・ヘップバーンファンにはたまらないのだろうけど、そうでなくても、何となくイメージしていた明るい恋愛ものというだけでない面白さがあった。結構考えさせられたり、原作を読んでみたくなった。

その映画の最中に電話がありメールがひとつ入ったのは分かった。仕事の電話が入る可能性のある時期だと一応誰かなと見るくらいはするが、珍しく両隣に客がいたのと仕事の連絡が入るとも予想できなかったのでそのままにして終わった後に見てびっくり仰天。てっきり午後だと信じ込んでいた仕事は午前中だったのだ。何があったのかというメールだった。時間とか場所を間違えやすいのは自覚している。思い込んでしまうのがいけない。それでとにかく毎日確認する習慣にしているのに、油断してしまった。こういうことは忙しい時には起きなくて暇な時に起きやすい。朝、いつもなら自転車の夫が車を出しているのを目撃したことを思い出し、電話するとすぐ近くの駐車場に置いてあることが分かり彼の車を借りて大幅遅刻で行った。失礼しました。

by kienlen | 2016-04-29 10:41 | 映画類 | Comments(0)

『民族問題入門』

娘と古本屋めぐりをしていた昨年に見つけて買っておいたのをやっと読んだ。山口昌之著。20年以上も前に書かれたものなので今起きている問題を扱っているわけではないが、起きていることを理解するための基礎知識を与えてくれる。読みやすく、複数の見方を提供してくれているのも大変に良かった。初刊が1994年、ということは、労働力不足から日系人の受け入れを決めてブラジルから大勢入国する一方でビザなしの人たちがたくさん働いていた時期でもある。その中にはタイ人がいて、私は当時タイにいたので、日本に行きたいとか行くことになったとか、大変な日本熱を直接感じていた。道を歩けば「日本に行きたい」と話しかけられたのだから、道を歩けば中国人と間違えられる今とは隔世の感がある。それどころか日本から、将来的にタイ人を雇うことを見越してタイ語を習いに来ていた人もいた。設備屋の跡取りだという若い女性と話したことを思い出した。

この本は日本の中のことを論じているわけではもちろんなくて、民族問題を広い視野から入門的に説明しながら、もっと知りたければ次の文献に進めるようになっている。章立てをみていくだけでいかに網羅的であるかが分かる。まあ、それで、ああまさにこれこれと思って入手したわけだけど。「民族問題のリアリズム」「民族と国民」「民族と知識人」、この知識人との関係は今までみたことのない視点かなと感じた。それから「ナショナリズムの歴史」「多民族国家と帝国」「民族と宗教」「民族と経済と社会主義」…と続く。「難民と移民の問題は、開発問題と絡んでいる意味において21世紀最大の新しい民族問題なのである」がしめくくり。手元に置いて必要に応じて参考にしたい内容。そういえば昨日の映画では中心人物のひとりの弁護士がアルメニア出身だった。この本が出された頃、日本も多民族国家になるみたいな議論がちょっとあったように思うけど、その後、いつの間にか外国人が隣近所にしながらシステムはそうなっていないというのが続いているように感じられる。ここでいう帝国に日本がなれるとは想像しにくい。

by kienlen | 2016-04-27 11:14 | 読み物類 | Comments(2)

スポットライト

映画の関係の仕事をしている友人とばったり会った時にこの映画を勧められた。ほら、アカデミー賞取ったのだよ、と。ユダヤ教の人がトップの新聞社がカソリック教会の闇を暴くという内容と聞いて、これは絶対に観ると決め、昨日行こうと思ってダメで、今日になってやっと観ることができた。事実を基にしたもので、淡々とドキュメンタリーのように描いていて、こういうメディアもののアメリカ映画は、裁判ものと共にすごく好き。「子育てをする人は虐待もする」とか、今だからこそ分かると感じるセリフがいっぱいの深い大人の映画だった。

バンコクに暮らしていた時に、カソリック教徒の友だちから新しい司祭に会ってくれと言われて会ったことがあり、でもしばらくしてスキャンダルがあったとかでいなくなった。そのことを思い出した。当時、そこまでの知識もないし、よって興味も持てなかったのだが、ああ、と、この映画を観て思った。虐待の被害者の話が胸を締め付け、こんな新聞社があることに、あるいはあったことに希望を感じ、でも、こういう映画が受けることには複雑な思い。速いテンポで2時間以上。素晴らしかった。これを観ている時に娘からは170分の「アンダーグラウンド」を観たとのメール。これはぜひ観たいので次の上映の時に上京する由を伝えた。

by kienlen | 2016-04-26 23:35 | 映画類 | Comments(0)

りんご満開

飯田市へ出張。車ばかり考えていたが、バスの方が楽であろうと考え直してバスにて。帰りは最終の6時で、少し時間があったので市内を散歩した。飯田は火事の教訓から桜とりんごの並木をつくってあり、桜は完全に散っていたがりんごがちょうど満開だった。
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こんな時期に行ったのは初めてだと思う。暖かいのでベンチで一服も気持ちがいい。
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りんごは品種ごとに花が違い、陽光の花が大きくてピンクがかっていてきれいだった。
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ふじは小型で白い。
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そうそう、梓川SAからアルプスが見えた。もう雪もそろそろおしまい。
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by kienlen | 2016-04-23 23:04 | | Comments(2)

ブルーベリーとイチジク

父の畑に何か植えよう思うようになってから何日も過ぎて、もう5月が近づいてしまった。幸い昨日の雨で植え時。午前中に苗を買いにいって午後持参して植えようと思っていたら友人とランチになったのと午前中ぐずぐずしていたのとで、ランチの後に苗店に寄り、夕方実家に到着した。86歳の父と多分90歳になるかならないかの姉がいた。毎日することがあり疲れたと言っていたが、とにかくブルーベリーは植えることにした。
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野菜しか作ったことがないので果樹はまるで初心者。どうもそんなに楽にできるものではないらしいしが、千円以上もする苗を3本も買ったのだから育って欲しい。しかし2年間は実をつけてはいけないというから、気の長い話だ。まあしかし土を掘って植えるという行為自体は楽しい。
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実をならすなということは花を摘むということで、じゃあ蕾のうちに摘んでしまおうかとなったが、それも忍びなく、咲くまで待つことにした。ブルーベリーの花もなかなかかわいらしい。苗店でイチジクも2本買った。これはただ植えておけばいいと思ったのと、980円でブルーベリーより安かったから。イチジクなんか畑に植えるより家の裏で良かろうということになり、しかも1本で充分と父が言うので、じゃあ1本は自分で植えようと持ち帰った。家の横のジャリジャリの場所を掘ってから植えようと見たら、なんと1980円の値札が付いている。日本のイチジクが980円だったのでフランスから来た珍しい品種とあったのも同じと思って値段も見ずにレジに持って行ったのだ。何と、こんな高価だったなんて…。どうりで合計が1万をこえたわけだ。ちょっとショック。ジャリジャリの場所からもくもくの土に植える場所を変えた。実をつけなかったら悲しい。



by kienlen | 2016-04-22 21:39 | その他雑感 | Comments(0)

『寄り道ふらふら外国語』

黒田龍之助さんの本をまたまた。図書館である分野の本を探していて、関係ないのについつい外国語のコーナーに寄りこれを見つけ、開いたら第三章に「どきどきドイツ語」とあり、ふらふら借りた。読みやすいので他より先に読みたくなり読んだ。フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語の各語で各章を構成し、間にポルトガル語とスェーデン語とオランダ語のコラムが入る。いつものように言葉を巡るエッセイで、いつものように参考になるブツも紹介している。映画とかCDとか古い文書とか。いつものように楽しかったが、どの言葉も知らないのが残念だった。
by kienlen | 2016-04-21 22:46 | 読み物類 | Comments(0)

息子と娘

昨夜、映画を観ていたら息子から電話があった。ああ、また何かやらかしたなと思う。後で電話する由をメールしたのに、しばらくしてまたかかってきた。実は間違ってつながってしまったということもあるので、それだったらいいと思っていたが、本気でかけてくるとはよほど深刻な事態だろうとひじょうに不安な気持ちになる。ああだろうかこうだろうかと想像をめぐらす。まあしかし、自分自身が決して順風満帆でなかったのがいいのか悪いのか分からないが、とりあえず事態に直面してから考えるしかないと思うので覚悟を決める。映画のタイトルバックが流れていたのでヒソヒソ出ると「大変なことになっちゃって…」。はあ…オレオレ詐欺の練習ですか。すぐに電話かけ直すからと言って外に出た。どっかに監禁されているのか、売り飛ばされようとしているのか、しかしそこまでされる価値が彼にあるのか、いずれにしろろくでもないことしか浮かんでこない。

開口一番の言が「今日はお金のことじゃないよ」である。それで説明したのが会社での出来事だった。ありありと状況が浮かぶ。「で、どうなるのよ」と聞くと「最悪はクビかな」と言う。何しろ職種が全然違うし時代が違うし場所も違うし、何とも言えない部分が大きいが、それにしてもそこまでのことかな、と感じる自分も会社不適応者なのだろうか。それが母で父がタイ人じゃあね。「ま、死ぬわけじゃないんだからゆっくり寝て会社の出方で誠実に対処して」と言った。その後すぐに娘から電話。こちらはバイト先の働かない同僚に対する愚痴である。「兄ちゃんもそういう人だね」と言うと「兄ちゃんはわざと働かないわけじゃないからタチが悪くない」と言うのである。確かにその通り。素直で悪気がない。それが会社なり社会でどうでるか、という問題なのだ。「人って色々いるから勉強になると思って、そんなことで疲弊しないでよ」と言って切る。真逆な意味で疲れる。以上を夫に話したら「じゃあ、みんなで外国に行こう」と言う。ニューヨークに行きたいのだそうだ。疲れが吹っ飛んだ。

by kienlen | 2016-04-20 11:44 | 家族と子供の話題 | Comments(0)

ブルーベリーの畑

6月の収穫時期になったらお百姓の友だちのブルーベリーの摘み取り作業を手伝うことになっていて、準備として畑を見学した。かわいい花がついていた。父の畑にブルーベリーを植えようかと考えていたので作り方を聞いたら結構大変そう。それ用の土を入れないとならないし、水を切らすと枯れてしまう。「イチジクなら簡単かな」と尋ねたら「あのねえ、そんな簡単にできるものないよ」と言われた。剪定の仕方も果樹によって異なる等々の説明を受けたが、やったことがないので分からないことばかり。隣に極太の桃の木の並ぶ畑があり、あまりの太さに驚いていると、その畑が元肥料置き場だったからだろうということだった。それは他人の畑だったが、友人的にその桃の木を見るとだいぶ問題があるようで色々と解説を聞いた。南天も植えてあった。これは楽そうだったので年末の小遣い稼ぎの手段として一考の余地ありか…。

まとまりのない毎日だ。農家なら季節に応じてやるべきことがある。勤め人なら出社や退社や休日がある。自営業なら常に攻めの姿勢でいないとやっていけない。さて自分はどうかというと、発注があってやるという受け身が身についている。よって日ごろの姿勢は、いつ何があっても対処できるようにしておこう、ということになる。耕したり盛ったりした後は、すかさず元の平に戻して備えるというイメージ。言い換えると空っぽ。常に空っぽにしておくことで歳を取ったら厳しくなると考えていなかったわけではないのに、考えているのと現実になるのとではまるで違うわけだ。かといって、あの時ああしていたら今ごろはブルーベリーなり桃なりが実っていたのに、という後悔みたいなのがあるかというと、そういうのとも違う。というような人間の気持ちなんかにお構いなく庭の草も芽吹きも元気になっている。

by kienlen | 2016-04-18 21:33 | その他雑感 | Comments(0)

3度目北海道

ひょんなことから北海道に行くことになった。3人で北海道に行く予定ですべて手配したところでひとりが体調不良で行けなくなり、その人の代わりに行ってくれないかとの提案が友だちからあり、予定帳を見たら一件入っていたが、延期できる類のものなので問題なしで即決。ありがたく行かせてもらった。函館と札幌にそれぞれ1泊という短い旅だったが、開業間もなくの北海道新幹線に乗ることができた。それに女3人の旅というのも、初めての経験で面白かった。しかもひとりは鉄子さんだった。
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ピカピカの函館北斗駅。塗装の匂い、新しい匂いがいっぱいだった。空港みたいなデザイン。ここから函館駅までの電車に乗り換えるのだが、途中に五稜郭駅というのがあり、ここが五稜郭への最寄り駅かと思ったら、五稜郭に行く方は函館駅まで行ってから…という趣旨の車内アナウンスがあってびっくりした。だったらこの駅名は何。何らかの力関係か、などと感じてしまうのだった。
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かなりひなびた感じの五稜郭駅。写真もひなびている。カメラの調子がひじょうに悪く、戻ってから確認したら写っていないのがたくさんあった。どういうことか不明。外国でなくて良かった。函館は見どころがたくさんあるし、温泉もたくさんあるそうなので、もっとゆっくり行きたい所だ。前回行った時に入らなかった教会も入って見ることができたけど、ヨーロッパと違って撮影禁止。日本だと美術館も博物館も撮影禁止だらけなのはどうしてなんだろうか。自由にした方が宣伝になるように思うのだが…。と、2日目に訪れた北海道立近代美術館でも思った。「女性たちのエコール・ド・パリ」という企画が素晴らしかった。さすがに帰りは飛行機で昨日の夕方戻った。東京駅はすごい混雑。地方都市と別世界だ。北海道にいる時に熊本の震災をニュースで知った。



by kienlen | 2016-04-17 17:36 | | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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