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『フランス7つの謎』

風のない雨だった。しかも日曜日。でも仕事で出掛けなければならなかった。雨の日は歩くのが好きだが、ちょっと遠すぎる。車で行くと、現場でキャンセルだと言われた。ここのところ各種キャンセル続きのような感じ。一旦戻って次の現場へは歩いた。戻ってから在宅ワークの前に寝転んでこの本の続きを読んだ。図書館から借りたものなので、特に吟味したわけじゃないが、とても面白いエッセイだった。

専攻がフランス社会経済史の著者が、政教分離をめぐって延々と議論が続くのはなぜか、なぜいつもどこでもストにあうのか、なぜアメリカを目の敵にするか、など、フランスの7つの謎を説明しながら一緒に考えましょう、というスタイルの内容。大学での集中講義のための講義ノートが元だそうで、とても平易な解説ながら想像力が広がる面白さ。日本との比較的な視点と、歴史的に考察しているのがいい。それぞれの項目の最後に参考図書がたくさん挙がっている。

by kienlen | 2015-08-30 20:58 | 読み物類 | Comments(0)

似ている言葉

昨日、友達とランチをすることになり、夫のタイ料理店に着いたところに別の友達から電話があった。この店に行きたいけど場所が分からないという。どこにいるのか尋ねると、20mほど離れた場所だったので迎えに行った。それで友達を紹介して3人で食べた。私はゴーヤを持ち込んで炒めてもらった。プロに作ってもらう美味しさに慣れると、自分でますますやらなくなる。他の2人はパッタイとパカナ炒めご飯。

後から加わった友達は「パキスタンとインドの仕事が決まった」ととても嬉しそうだった。前回会った時、アプライしているけどどうかな、と半々みたいな感触で言っていたけど、実績と年齢等考えたら大丈夫じゃないだろうかと何となく思っていた。それにしてもパキスタンですか。「危なくない?」と言うと「アフガニスタンとかに比べたら大丈夫ですよ」とのこと。私も、タイが危ないとか言われると、普通以上に危ないことないですよ、他より安全じゃないですかね、と答えるが、パキスタンは行ったことないし、そもそも本物のパキスタン人の知り合いが自分で怖いと言っているのを聞いてから、そういう発想になった。

その友人はウルドゥー語とベンガル語の専門だ。そういえばインドは何語かなと思って尋ねた。一般庶民が英語を話すとはとうてい感じられなかったインドの旅の記憶が甦る。すると「ウルドゥー語とヒンディー語は似ているから大丈夫」と言うのだった。知らなかった。一部宗教的な用語を除けば分かるそうだ。そういえばずっと前、先のパキスタン人とインド人がパーティーで偶然一緒になった時、普通に話していたっけ。両国の人が話す場面ってちょっと緊張したが、何を言っているか全然分かるわけない。喧嘩でないことは確かだと思う。両方が同じということは言語人口としては一大勢力ではないだろうか。

言葉が似ているという感じを味わってみたいのに、日本語である限りムリだ。まあ、漢字圏の人と筆談できるのはそれに近いか。漢字圏が拡大してくれるといいけどあり得ないよな。この間、言葉についての本を読んでいたら、例えばベトナムの識字率が高まり発展したのは自国の表記を捨ててアルファベット表記にしたから、みたいな説明があり、タイと比べてなるほどと複雑な思いがした。でも逆にスリランカは文字をとっても大切にすると聞いた。そうそうラオスに行くとタイ語が通じる。あれは楽しい。彼女の赴任はもうすぐ。たった1時間ほどの雑談だったが新鮮だった。



by kienlen | 2015-08-29 08:34 | 言葉 | Comments(3)

パリからの写真2

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旅行中の娘は昨日からミュンヘンへ。その前にパリをひとりで歩いた日があり、本屋に行ったそうで、この写真が送られてきた。普通の書店という感じ。ソルボンヌ大学の近くだそうだ。日本の本も結構あり、村上春樹はもちろんだが、小川洋子が多いとコメントしてあった。小川洋子は読んだことがない。それにしても、どこでも本屋に行きたくなる気持ち、よく分かる。それで、フランス語だかドイツ語の本のおつかいを、哲学書を原書で読む友達に頼まれているそうだが、自分が何語もできないのでどうやって買えばいいんだろうかと困っていた。


by kienlen | 2015-08-28 21:26 | 読み物類 | Comments(0)

『ヨーロッパがわかる―起源から統合への道のり』

ヨーロッパ行きの準備として、一緒に行く友人から「ヨーロッパについて勉強して私にレクチャーするように」と言いつけられていた。勉強って言われても思い付くのは書物しかないので図書館に行ってたくさん借りてきた。その中の1冊の『仏独関係千年紀』というのがとても面白くてレジュメを作り始めたのだが、図書館で借りるのでは限界があり購入。高くて一瞬のためらいはあったけど決断。その後、読むべき本が多くなり過ぎて中断。せめて簡単なのをギリギリで間に合わせようと思ってこの本を買って読んだ。岩波ジュニア新書。表紙がほとんど隠れる広い帯に「知識ゼロから学べる入門新書。いま、読んでおけば必ず役立つ。時間を無駄にしない読書を。世渡り新書術」の惹句が並んでいる。コンセプトがひじょうに明快。シニアも読めるジュニア新書。

まずヨーロッパの起源から。自分がどこに線を引いたかを見直したら「ブドウが採れるため、ワイン文化はギリシャからイタリアを経て、フランスなどに伝わっていきました」だった。そういえば昨日、友人と雑談していて、同じ事象を見ても書く記事は人によって違うよね、という話になり、その友人の脳科学者にそれを伝えたら「ひじょうに興味深い。脳の働きの重要な点のひとつは、インプットされた事柄を再構築すること」というような説明をされたということだった。動物はどうなんだろうか。生存するための情報だけを選択するんだろうか。ヒトってやっかいで面白い。というわけで、著者はヨーロッパを大変分かりやすく再構築してくれている。共有している基本的な価値について、宗教と国家、戦争にあけくれた近代、統合への希求には長い歴史があること、代表的な政治家の手腕、そして未来展望など知りたい基本を網羅。最後のサブタイトルは「フランスは奮起を」。帯に偽りなし、知識ゼロでも大丈夫だった。


by kienlen | 2015-08-28 09:59 | 読み物類 | Comments(0)

ルック・オブ・サイレンス

インドネシアでの大量虐殺の加害者に徹底して取材した「アクト・オブ・キリング」の続編みたいなものというだけの知識で見に行ったのが昨日の夕方。受付で「ひとりだけですよ」と言われた。その前作みたいなのを見ていたので何となく予想はつく。残酷なテーマではあるが、ドキュメンタリーなので視覚的に耐えられないということはないはず。それで余裕の気分でひとりでスクリーン独占で見た。

前作は取材者が対象者、つまり虐殺の加害者と対峙するという形式だったように記憶しているが、今回は虐殺被害者の弟が加害者に話しを聞くというスタイルだった。ほとんどが表情のアップで、言葉よりも表情の語り部分が大きい。ジョシュアという監督はどうやら地域社会で一定の信頼を得ている人のようで、時に現地語で話しかけている場面もあった。そうでなければこんな映像を撮れるわけがないと思う。軍が直接に村人を虐殺したら問題になるので、村人が自主的に殺したという風にしたんだと、堂々と語る軍人。狭い村社会の中で加害者と被害者が入り混じっているのだから、過去を蒸し返すべきでないとの暗黙の了解のバランスをドキュメンタリーを撮ることで崩していく。3作目があるなら見たい。大変貴重な記録。最後のクレジットで「匿名」が多いのに、涙。

by kienlen | 2015-08-27 23:12 | 映画類 | Comments(0)

『愛するということ』

この本、どうして買ったのか記憶にないが本棚にあった。エーリッヒ・フロムだから読みたいと思ったのか、それとも単純に誰かを好きだった時かも。ただ読んだ記憶もないので、どちらも深刻じゃなかったのかもしれない。で、たまたまこの本の最終章を読書会の後に原書で講読するということになり、参加することにした。だったら翻訳本も読もうとしたら、娘が先に読みたいと持って行ってしまい戻ってきたのが最近のこと。原書購読から想像する限り大変良さそうだったので早速読んだら、予想以上に良かった。

「愛というのは簡単に浸れるような感情ではない」というのが出発点。恋に落ちるとか一目ぼれとかは、ここで呼ぶ愛ではなく「愛は技術」という立場をとる。もうこの出だしだけで、おおなるほど!技術であるからには知識と努力が必要ということで「愛の理論」「愛と現代西洋社会におけるその崩壊」で愛についての知識を学び最後の「愛の習練」で技術を学ぶという構成。大変分かりやすい文章で深い考察。無駄も粉飾もない。「自分自身を『信じている』者だけが、他人にたいして誠実になれる」「安全と安定こそが人生の第一条件だという人は、信念をもつことはできない」などなど珠玉の言葉だらけ…と、分脈から切り離して引用したところであんまり意味はないが、根拠はもちろん書いてある。世界的ベストセラーなのだそうだ。ということは世界も捨てたもんじゃない。



by kienlen | 2015-08-26 22:18 | 読み物類 | Comments(0)

『スプートニクの恋人』

村上春樹のこの本が読書会の課題になったので、北海道旅行に持参して読んだ。そんなこともなければご縁がなかったと思うのでありがたい。村上春樹のを読んだのはいつ以来だろう。タイから戻った直後にアンダーグラウンドを読んで、その後、海辺のカフカを友達に借りて読んだ。その友達は森鴎外の研究者でこちらにいる時はだいぶ親しくしていたのに精神状態がどんどん悪くなり、母校の病院で治療すると言っていなくなった。引っ越してから状態はさらに悪化し、入院もしていた。状態がいいと本が読めるということで「何読んでるの」と聞くと、いつもいつも「村上春樹」と答える。「何がいいのよ」と聞くと「文体」と言って、比喩の一部を電話口で朗読したりする。これも病気の一部なのか不明。もうちょっと別の角度から良さを説明してほしいと言っても、いつも文体ばかり。そういえば文学部出身の人はよく文体と言うような気がするが、気のせいだろうか。

村上春樹がすごく好きというのでも、嫌いというのでもない。読むと面白いと思うけど、かといって次々と読みたいと思うわけではない。どうしてなんだろう、ということを考えながら読んだ。主な登場人物は3人。小説家志望の若いすみれと、すみれを好いている教師のぼく。それからすみれが愛したミュウ。それぞれ孤独。多分それぞれ愛のある人達らしいのに結ばれることはない。それが、タイトルの暗示通り、それぞれの軌道で並行に周っているということらしい。読書会での読み解きによると「輪廻思想のバリエーション」ではないかということだった。なるほど、受けそう。それと、音楽などなど重層的なレトリックを解いていくのを目的にしている人もいるらしいという話もでた。なるほど。高度な小説であることが分かった。そういう趣味のある人にはたまらない楽しさなんだろうということは想像できるが、自分にはそこまで分析できるツールがない。文化レベル低いし。好きでも嫌いでもないという半端さの訳がちょっと分かったような気分。悲しくもある。




by kienlen | 2015-08-25 21:26 | 読み物類 | Comments(0)

エレファント・ソング

何となく気になって何となく見に行った。そしたら、これはこれはものすごい好みだった。行って良かった。舞台が精神病院で、その中でのやり取りがほとんどすべて。といっても構成はそう単純じゃないけど。主人公は入院患者で、相手をするのは主に院長。2人のやり取りがものすごいリアルでスリリングでハラハラし通し。一番ハラハラするのは、院長の言葉の重さが量りにくいから。主人公は愛のないままに育った人で、だからいつも人を試してばかりいる。当然言葉の重さに対しては敏感だ。

普段接することのない主人公である患者と院長が話すことになったのは、この患者の主治医がいなくなったから、というミステリアスな香りがまず振りまかれる。主人公は大変聡明で魅力的な人だ。愛情に飢えている人の魅力。それを見ているだけで深い世界に行ってしまいそうで何度も涙がでてしまった。彼がどうして精神病院に入ることになったかというのはだんだん明らかになる。一方、院長や看護師長など、病院スタッフ側の事情も明らかになっていく。最後の場面で、あれもこれも伏線だったことに気づく。ああ、満足度200%。素晴らしかった。



by kienlen | 2015-08-24 23:45 | 映画類 | Comments(0)

読書会

重圧だった仕事が一段落したら大学の通信教育やろうとか、外国語やりたいとか、生き延びるための野菜づくりをもう始めないと手遅れになるなとか、衣の自給のために編んだり縫ったりだ、いやいやしばらくタイに暮らそうか、年を考えたらあの分野でボランティアかとか、ささやかなことばかり色々考えていた。とにかくそれが春なので、もう半年近く経っているが、どれもやってない。通信教育を始めた友人に会うたび羨ましがり、野菜を植えた庭は草で全滅し、いつでも使えるように修理したミシンも出番なし。どうしてこういうことになっているかというと、読書会に行き始めたからだ。

たまたまネットで何かのきっかけで信州読書会 というのを知り、読みたいけどきっかけがない、あるいは昔読んだけどさっぱり覚えてない名作といった類の本のラインナップに興味をもった。でも、課題図書を入手して読了するにはそれなりの時間もエネルギーもいるし、仮に当日参加できるメドがついたとしても間に合わない。そんなんで延び延びになっていたのを、5月に初めて参加して以降、留守しているか仕事関係でどうしてもムリ以外は毎週参加。読書会というものに参加したのは初めてなので他を知らないが、何といっても毎週開催というのが気に入りました。主宰者がちゃんと場を仕切っているのも。これは相当な技量のいることだ。参加できなくても課題図書を読むようにしているので他の本が読めないのはちょっと問題。で、他の本を挟むために読書会用を前倒しで読むと当日までに忘れる。でも最高の娯楽発見という感じではある。というと、なんだか本来の娯楽をいかに楽しめない性格であるかの裏返しのようにも感じ複雑ではある。今さら何を言ってるんだ。

by kienlen | 2015-08-23 12:20 | 読み物類 | Comments(2)

パリから写真

娘がフランスとドイツへの旅行に、昨日早朝の便で発った。5時過ぎに空港に行くというので、そんな早い電車があるのかと思ったら、羽田空港周辺には始発で間に合わない人達用のインターネットカフェがいくつもあるので、そこで朝を待つという。そういう世の中になっているんだ。知らないことだらけ。
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その後が大変だった。やけに連絡が遅いとちょっと心配していたら、なんとか連絡があり、同行の友達がスマホの盗難にあったという。パリに着いていきなりだ。怖い、と送ってきた。パニックにならないように、落ち着くようにと伝える。最初はグループツアーにするよう強引に勧めるべきだったかと思ったりもしたが、自分自身がそういうタイプでないので説得力ないのは分かる。昨夜はそんなこんなであまり眠れなかったが、今日はこんな写真が送られてきた。


by kienlen | 2015-08-21 20:17 | 家族と子供の話題 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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