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『ひとりでは生きられないも芸のうち』

内田樹著。先生のブログを若者向けに編集者がピックアップしたらしい。なんだ、若者向けか、と届いてから知った。でも読んでみたら中年でも熟年でも誰でもどうぞ、と思った。編集方針は分かりやすくて、表紙裏の言葉通り。「社会のあらゆる場面で<孤立化>が進むいま、私たちはどう生きるべきか?」。若い時にこういう本を読んでいて、それを指針にしていたら、ここまで孤立化しなかったのだろうか、私、と思ったりもするが、それはそれで分からないし、ここで言う<孤立化>はもっと深刻かもしれないし、いや、例えばウチの家族を見ても孤立化が浸透したゆえとも言えるかもしれない。ちょっとそのあたりはよく分からないところだ。とりあえずそれを分かろうとも思わないが、自分が今やたらに本に求めているのは、人生の一区切り感があるからに違いないとは感じている。これからどう生きたらいいんだろう。

今の続きで何とか道を摸索する、はひとつ。ただこれをするには「今まで」をちょっと総括する必要があるんじゃないだろうか。自分にとって何があるのかと自問すると、心当たりがなくなっていることに気付く。何かあると思ってドアを開けたら虚無が広がっているという、あの感じだな。ああ、開けるんじゃなかった、バタンとしまっておく。まるで青春時代のようではないか。そうか、だから若者向けの本に共感しちゃったりするのか、成長していないということか。本の感想になっていなかった。大変面白かったです。内田先生って、読んでいたけど何かで嫌になった、という人が周囲に複数いて、私も何かでそういう感じをもったことがあるような気はするけど、具体的だったわけじゃなくて、ギリギリのところの危うさだったかも。生き方の道具箱にひとつ道具が増えた感は得られる。次どうするかなあ、娘が本の話をよくする先生のお勧めが『呪いの時代』なんだそうだ。エッセイを何冊か読むと重複の不安はあるなあ。
by kienlen | 2013-07-31 11:10 | 読み物類 | Comments(0)

終戦のエンペラー

しばらく前に試写会で見た。夏休み用の作品ということらしい。終戦直後の時期を描いたものは少ないというか、ほとんどないような説明だった。前に「太陽」というのを見たことがあるけど、あれは確か時期的には貴重なものということになるんだろうか。実在の人物としてはマッカーサー、東條英機、近衛文麿などと昭和天皇が登場し、その中に架空の人物が混じる構成。で、主人公はボナー・フェラーズというマッカーサーの軍事秘書官だった人。パンフレットによるとこの人は「連合国軍総司令部に於ける唯一の親日将校として天皇陛下を戦犯より救出したる大恩人」なのだそうだ。出典は、この将校に「日米親善に尽くした功績」として勲二等瑞宝章を日本政府が授与した時の申請書なのだそうだ。どうやらこの人がいなかったら戦後の日本は全く違った形で統治されていたかもしれないということになる。

映画の中では、この人が親日になった理由らしきものとして、彼がとっても惚れていた日本人女性を登場させているのだが、この女性は架空の人物。私の好みとして、せっかくこういう場面を描くんだったらこういう重要な人物は架空じゃなくて実在を登場させて欲しかったけど、映画ってどうしたって男女関係を入れないわけにいかない宿命があるんだろうか。というか、若くてきれいなお姉ちゃんを出さないと観客は呼べないということになっているんだろうな、きっと。そう思うと納得できる。全体の印象としては、複雑でもなく登場人物もそれなりにで、マッカーサーなんてすごく感じが出ていると思ったし日本人もいい感じだったとは思うけど、すごく良かったとも思えなかった。主人公の将校役の方は、ちょっとスマート過ぎないかなあ。いかにも作り物的な印象がずっとつきまとっていたなあ。作り物だからいいはずなんだけど、そこまで言い放つにはこじんまりしているというか、ちょっと半端な感じだった。
by kienlen | 2013-07-30 17:19 | 映画類 | Comments(0)

ますますついていけない

夕食時は7時のニュースの時間と重なることが結構あり、そういう時はテレビをつけることが結構ある。選挙の前は何だか見たくなくてつけなかったけど、それも終わったし、どうせ平和なニュースを流してその他色々流すのも兼ねているんだろうと思うと、今の自分の気持ちにフィットするじゃないかって感じで、昨夜はNHKニュースをつけたのだ。大げさな、でもテレビをつけるのってなかなか大げさな心の準備が必要だったりする。豪雨のことをやった後に芥川賞と直木賞の受賞についてやっていた。こういうの、NHKニュースでやるんだ、何しろテレビを見ない期間が長すぎて今から追いつくのが大変。何も知らない。どういう人生を送ってきたのでしょう。娘が芥川賞と直木賞って何が違うのかと聞くから「純文学といって、ママもキミも読まないような小説が芥川賞で、多分、ま、私たちが読んでいるようなのは直木賞的かな、多分、つまり大衆小説」と正しいかどうか知らないけど、説明した。すると「恩田陸はナントカ周、周とかいうの取ってる」とか言うので「山本周五郎かな。色々あるからねえ」「本屋大賞も」とか話していた。

どっちにしても見なくちゃいけないニュースとも感じられず視線は画面以外へ。ところが、その後、延々と本関連なのである。書店の人が手書きのポップで興味を引く努力をしているとかなんとか。私も書店員をしていた時は、そういうの好きだったけど、それでニュースになるなんて考えたこともなかった。しかもNHKで、しかも7時の全国だ。ま、何かの加減かと思っていたらずっとそれ。思わず「何これ、くだらないーーーー」とビール飲みながら頭抱えてしまったら娘が「やっぱり同じこと考えていたねえ、よほどニュースないんだね」と言うから「ないわけないよ、ないことにしているんだよ、楽でしょ、その方が」としか言えなかった。バンコクにいた時にクーデターが起きると放送局も制圧されるので通常のテレビ番組が流れなかったことがあった。音楽流してお花畑かなんか出して、ということがあったかどうか知らないけど、そういうイメージ。これはイメージです。あれ便利だよな、本物が何かはともかく、これはイメージです。
by kienlen | 2013-07-29 10:20 | 家族と子供の話題 | Comments(0)

ガレージシャンソンショー

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シャンソンのコンサートがあると言われてチケットを予約してあった。昨夜がその日だった。前座で1時間終わると聞いて、それはそれでしょうがないな…と思うことにした。ひとつはノーコメントだが、二つ目はびっくりするくらいに気に入ってしまった。コントラバスとアコーディオンとサックスだったかの3人のバンドでオリジナル曲で、ちょうど自分が考えていたところのイメージを喚起させる音で、なかなか哲学的でまた行ってもいいなと思った。近くでまたあったら行きたいと思います。しかし、それにしても残念だったのは、ライブ終了後は大急ぎで夜勤のバイトだったのでビールも飲めなかったこと。

本命はガレージシャンソンショーというお2人組。自分は全然知らなかった。友人にいいよと言われたから行っただけなんで。それで、とってもとっても良かった。カッコ良くて楽しくて。アンコール曲の途中でバイトに行かなければならない時間になって失礼した。で、バイトは午前2時までだと思って行ったら「4時までだよ」と言われて愕然。というわけで深夜勤務で時給上乗せにはなるはずだが、今日1日ダメだったんだから、お得感はちっともない。朝帰りして1時間ほど読書して眠って9時くらいに起きて、風呂入って仕事しなくちゃ、しなくちゃ、でもまたゴロゴロして、そしたらランチの誘いがあってオープンしたばかりのイタリアンの店に行きワインを飲んで、また朦朧として無為な時間を過したのだった。人生の半分以上を無駄遣いな感じ。明日は真面目にやらないとマズイ。でもこのライブもまた行きたい。
by kienlen | 2013-07-28 21:07 | 出来事 | Comments(0)

『不連続の世界』

恩田陸の小説。前に娘と書店に行った時に何となく買った。読み始めても何か入りこめない感で中断を何度か繰り返し、でも多分面白くなるだろうと思ってまた読んだら今度は一気におしまいまで。とても面白かった。この人の面白さって何かなあ。スケール感が不思議なのかもしれない。そういえばスケール感の話はこの中にもでてきたが、小説そのもののスケール感も。全体がゆがんでいるわけでもなく広がりがあるというほどでもないのに、読みながらイメージされる世界というのは狭苦しくないし、まっすぐな柱がずっと続く建物みたいな印象とは明らかに違う。そうか、だまし絵の世界、あれかも。あれを絵でやるか小説でやるか。

で、目的がそれだけみたいな潔さもあるような、ないような。しかし、高校生が面白いというのは分かる気がするが、いい年していいんでしょうか、恩田陸で。いいんでしょう、面白ければ。そのわが家の高校生は自主学習のため学校へ行った。娘が夏休みで家にいると仕事の気分になれず苦しいな、と思いつつ、娘のせいにするわけにもいくまい、しかし在宅仕事ってほんと辛いよな、いやいやこれは言い訳である単に、と思っていたら「学校へ行くからママは仕事してて」と言う。見抜かれていた。それで仕事もせずに本を読んでいる、いいのでしょうか、いけません。注文品が日に1冊届く、ってことは…。それでこの本は、主人公の感じが、よく分かるなあってタイプだった。グイグイ引き込まれるのとも違う。そこにくっきりした世界を作り出しているわけじゃなくて輪郭がないからいつのまにかってところか。
by kienlen | 2013-07-27 09:22 | 読み物類 | Comments(0)

丸山健二

風呂用の雑誌が月に1冊ではあまりに足りないから、濡れても惜しくない古い文庫本で補っていて、今は丸山健二の『私だけの安曇野』。読み始めてから濡らすのがもったいなくなったが、それを言っているとキリがない。そもそももったいなくないものだったら読む気にもならないわけだ。昔、丸山健二は好きだった。それの名残りはあって、何年か前に庭の本が出た時も思わず買ってしまった。そういえば講演会にも昔行ったことがあったな。で、今朝の新聞を見ていて、その丸山健二が出ているのに気付いた。結構目立つ位置に、文学賞をスタートさせるとの記事。え、財産を基金に賞金出すわけ、何かなあ、と思ったら違った。賞金も贈呈式も何もしない。おお、カッコいいですね。読み返そうかしらと思ったり。

文壇と関わらずにいて、それでもここまで作家ってすごいなあと、別に事情は知らないが思っていた。それでこういう賞の設立。面白い。締め切りもなし。出版はあり。私だけの安曇野は、面白い。冬だったら風呂に何度も入るからじきに読み終えられるけど、さすがに夏に何度も入っていたらぶっ倒れそうだし、元気がでるどころか元気失うので1日1回、短時間。それで読書も進まない。秋まで持ち越しそうだ…。テーブルの上に図書館に返却用の本を積んでおいて一番上が内田樹だった。娘がそれを見て「この人、よく出てくる」と言うから、へえ教科書かと思ったら、どうもどこか分からなくなったらしい。「ママの本棚かも」とか言っている。で、登校しかけて戻って来て「これこれ」と見せてくれた。受験対策か何か、頻出作家一覧表。内田先生2番目。知らなかった。知るわけない。いつも茂木健一郎の文がやたらに出るという話題は娘によく聞く。私は読んだことない。落ちるな。丸山健二は入ってなかった。
by kienlen | 2013-07-25 12:11 | 読み物類 | Comments(0)

『「おじさん」的思考』

内田樹先生のエッセイ。図書館で借りたもの。本に逃げていた昨日読んだ。逃げるなら小説の方がいいけど、それだと本気で逃げている気がする小心者でエッセイに。大変ごもっともと感じられる内容ですんなり共感。そんなに何冊も読んでいるわけではないけど、少なくとも内田先生の言っている内容に関しては納得できる。でも、大多数はこうだけどね、という前提がつきまとっているのが何かちょっとうっとうしい感じがあったけど、この本にまとめてあるものはそういう書き方をしてない、というか気にならなかったのが、まずすんなりいいなと感じられた理由かも。2002年刊で、90年代に書かれたものが多い。

成熟したよき「おじさん」として生きるための必読知的参考書、と惹句にある。こういうおじさんが半分くらいいるといいのになあ、そのくらい万遍なく存在してくれていると出会う率も高くなりそうだもの。そうすればおばさんも影響されて成熟したおじさん的思考を身につけられるかもしれない。暴力は嫌い、痛いの嫌い、九条維持の理由、武道をやることで鍛えられる直観力、理屈の部分と理屈じゃない部分のバランスとか、教育とは何かという話などはおばさんにも分かりやすい。男女についてはフェミニストからの批判に応じる形で書いているが、これに共感してしまうのは問題なんだろうか、おばさんとして。パソコンに向かうか紙に向かうかスクリーンに向かうかというとっても不健康な日陰の暮らしをしているものだから、ついまた本を何冊か注文してしまい、内田先生のハードカバーもその中にあり。お百姓の友人から有機無農薬のブルーベリーを今年も配達してもらって目のために、ってことでたくさん食べている。美味しい。年中あるといいのにな。
by kienlen | 2013-07-24 08:15 | 読み物類 | Comments(0)

「殺人の告白」

いい映画が続いていたから、やっぱり映画っていいなあという気分になっているところに、このところ閉じこもっている、動かない、酒量は増えるで夜は出かけた方がいいかもなあと思った。じゃあ映画に行こう。7時から、この間予告編で娘と面白そうだねえと同感だったこれに行くことに決めた。娘にも行くかどうかメール。ギリギリになって「行きたいけど本読みたい。別の日はだめなのか」と電話があった。私は映画見るのに予定は立てたくない。思い立った時に行くだけ。もし良かったらひとりで行く、と娘が言うので、そうして、と言ってひとりで行った。客は自分含めて3人。いきなり派手なアクションシーンで、間違ったかなという感じはしたけど、いやいやこの後からきっと面白い展開になるのだろう、と期待した。

映画って、出だしの印象でかなり当たるもので、完全に間違いだった。知らない人の結婚式に行っちゃったみたいな感じ。映画を見る前にネットで評判を見たりするのが好きじゃないので今回も予告編だけの直感で行ったものだが、あの予告、かなり違うと思う。で、後からネットの評判を見たらかなりよろしい。アクションが好きな人にはいいらしい。私なんて最も苦手なのがアクションものなんだから、予め知っていたら行かない。せめてチラシくらいは目を通すべきだったか。しかし一応サスペンスになってるみたいだな。そうでもあるけど、私のように謎解きなんかできない者でも、かなり分かるくらいの単純さで、韓国映画って面白いなあと何本かで思っていたのが台無し。そうだ、それそれ、韓国のがあまりに素晴らしかったので、これを見ようと思ったのだ。それにしても宣伝のイメージと違い過ぎないかなあ。どういうことなんだろうか。アクションものの宣伝だったらアクションシーンで構成した方がターゲットに届くと思うけど…。そのへんを巧妙にずらして新たな客層を誘い込んだとすれば瞬間的には成功していると思う。ワイン1本分失ってしまいました。娘が行かれなかったのは良かった。
by kienlen | 2013-07-22 22:40 | 映画類 | Comments(0)

『小説以外』

細かい作業をしていて目を酷使していたら見えにくくなってきた。だから本を読むことにした。自分のも人からの借り物も図書館のもたくさんあるけど、娘が恩田陸が大好きで、それにたまたま国語の先生が恩田陸が好きで気が合ったことが拍車をかけてその話がよく出る。で、図書館でこの本を見つけてつい借りてしまった。作家のエッセイってあまり読んだことがないよな、でも恩田陸なら読んでみたいな、という理由。色々な雑誌に掲載したものをまとめたもの。本の紹介が多い。本の読み方がものすごくて、きちんと系統立てて説明していることに感心して、しばらく読んだところで娘に「文学部出身じゃないかな」とメールしたら、しばらくして国文科出身というくだりがあって、当たったってことなのかよく分からなかった。

こういう本を読んでいると、いくつか読みたくなる本があり、アマゾンを見たら送料だけで買えるから注文してしまった。娘も読みたがっているし。これだけの量のエッセイを並べても重複がほとんどないことに感心した。さすがに小説家だなと思った。あちこちに書いたものをまとめたものって、同じネタが同じ書き方でいくつもでてきてほんと、興ざめということがあるから。小さな発見がいくつもあった。「去年マリエンバードで」という映画を、この間亡くなってしまった恩師が貸してくれたことがあって、私としては好みだったのだけど、それの原作がアラン・ロブグリエだって、この本で知った。なるほどー、懐かしい。あと、全体にこの世代の人らしいなという感じが漂っていた。とても面白かった。これは娘も気に入るだろうと思う。そうそう『舟を編む』を読んだら感想を聞きたいと思っていたら読み終えたそうで「面白かったけど他の作品を読みたくなるというものでもない」という点で一致した。
by kienlen | 2013-07-22 16:36 | 読み物類 | Comments(0)

期待を裏切るビール

夜に行ったスーパーで、人の視線を感じて顔を上げたら、あまりきれいとは言えない身なりの男性が、じっと見ていた。何か言わないとならないような雰囲気。思わず「ウサギです」と言った。私はその時にキャベツの外葉を入れたコンテナをあさっていた。その男性は怪訝な顔で「う・・・」と言うから、言語障害でもあるのかと思ってゆっくり「ウサギのエサなんです」と説明すると「ああ、ウサギ飼っているんだ」と納得したようだった。「草がない時はキャベツが便利なんで」とさらに説明。別に説明を乞われていたわけでもないのに。これは見得というものだろうか。

ウサギにやるためにスーパーでキャベツの外葉をあさることはしょっちゅうだ。その時に、化粧もない、安っぽい服装のみじめなおばさんが節約して外葉を持ち返っていると見られているかもな、それはそれで別にいいけど、それに本当に困ったらこうして捨ててある外葉を食べる手はあるよなとも思っているので、かといって、誰かに興味を持たれているらしき場面もないまま5年も6年も経った。今日のように見つめられたのは初めてだ。で、その後、本当は困っているのにウサギのエサだと見得を張ったと思われるかもなあ、思わせておいた方がその男性のためかもなあなどと、細かく思った。実はキャベツよりも目当てだったビール売り場に行き、いつも飲んでいるエビスよりも高い、でもスッキリ感が好きなゴールデンエールを買った。なんか、あの男性に見られたくないなと思った。
by kienlen | 2013-07-21 23:54 | 出来事 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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