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『生物と無生物のあいだ』があまりに傑作だったので、同じ著者のを2冊一緒に買ってこっちを先に読んだ。帯には「原始、生命はメスだけだった。オスは必要なのか?」とあるが、つまりそういう本である。人間世界もオスが必要なければ随分と平和であるように思うが、それだととっくに絶滅しているということになるらしい。つまり人類存続のためには必要らしい。人間に関しては生命の発生はすべて女であり、男になるのはY染色体の仕業であるというのはなんとなく聞いているところ。そのへんを素晴らしい文章で分かりやすく描写しているので、もう目の前で男になる過程が進行していくようで、ため息がでた。ため息に言葉をつけたら「あー、男って大変なんだなあ、だからか…」ということになる。だから…に入れたいのは、男性が女性を追い求める尋常ならざるエネルギーとか、鉄道模型を収集したり、蝶を追いかけてラオスの奥地まで行ったり、などなどの、つまり何かをこう追い求める感が、オス発生の根源的な問題に発しているように感じられたわけだ。それで妙に納得してしまった。そういうことだったのか。

男性の弱さについても、これでもかってデータをもってきて検証している。寿命、ガンの罹患率など。環境要因を考慮したとしても、ここまでの有為な差は性差に由来すると結論付けている。福岡先生の本の面白いところは「なぜ」に踏み込んでいるところだ。哲学の理論というのは純粋に抽象的で、そうですか、となるには思考力だけに極端に負荷がかかってついていけない感があるが、生物学という目に見えやすい道具を使って哲学してくれているんだから親切。顕微鏡をのぞいたり世界に目を向けたり、自在にミクロとマクロを行き来しながら考察が進むのがミステリーみたいで、科学ミステリーと呼ばれるのはまさに。タイトルが奇をてらっているように読む前は感じられたが、読んでみるとそんなことはなくてとってもストレートに中身を反映している。満足の1冊でした。散らばっているぼんやりした知識の点と、新しい知識がどんどん結ばれていく面白さをたっぷり味わった。
by kienlen | 2009-11-29 20:25 | 読み物類 | Comments(4)
見たことあるなあ、しかしよく思い出せない、ということはたまにある。そういう時に思い切って声をかけるかどうかだが、昨日は声かけてみた。先方も「どこかで会ってますよね」と言う。私の方は彼女がどういう人で何をしているかは知る限りは覚えているのだが、数年ぶりなので、その人と目の前にいる人が同一人物かどうかの確信がなかっただけなので、ちょっと糸口が見つかればあとはスルスルとなる。声かけやすかったのは相手がブラジル人だからというのもあった。外国人は気軽である。日本人って面倒くさいなという気が常々している。その面倒くささが、同国人同士ならたいてい感じる類なのか、日本人に何か特有のものなのかは分からない。彼女は確か人材派遣の会社をやっていたはずだ。聞くと「主人が亡くなったので人に譲りました」ということだった。娘さんがいたはずだ。「ブラジルに帰りました」と言う。その娘さんという人はブラジル人同士のカップルで確かウチと似たような年の子がいたはず。「小学校卒業まで日本にいて、ブラジルに行った。ブラジルは4-4制だから日本と違うね」みたいな話をする。ブラジルに帰国したというのはちょっとびっくりだった。日本語完璧だし、容姿も日本人と同じ。私なんか、日本人だと思っていたんだから。

長年日本にいて帰国してどうだろうと聞いたら「楽よね、ブラジルは。日本っていろいろ細かいでしょ。どっちがいい悪いじゃないけど」と言う。この感じはよく分かる気がする。かといってブラジルの生活が楽なわけじゃない。お母さんには日本に残ってもらって仕事の足がかりを維持していてもらう。そして様子を見てまた日本に来る。そういう計画である。これはもうリスク分散の常識。「だんなさんは病気だったんですか」と聞くと「移植受けにブラジルまで連れて行ったのに10日しか生きなかった」と言う。日本はドナーが少ないから移植の順番待ちが長い。ブラジルだとドナーはたくさんいるそうだ。「日本って自分の体は親からもらったものでご先祖さまに続いているという考えがあるけど、ブラジルは死んだ体に意味ないから生きている人のために役立たせるって考え」と言う。ふ~ん。免許証取得の時にどの部位を寄付希望かを書くそうだ。もちろん拒否も可。いずれにしろ自己決定する。とにかく日本とブラジルでは何もかも反対なのだそうだ。その点は、アジアという文化的共通点を感じないわけではないタイなんかともまた全然異なると思われる。「だからか、ブラジルの人って日本人との結婚少ないでしょ」と私が言うと「それが、親が『外国人』との結婚を嫌がるの。自分達も外国人のくせにね~」で、なんだか笑えた。しかしまあ、日本人からすると外国人は楽なんじゃないだろうか。だってここまで細かい人々の集団ってそんなにないと思うんで、楽に考えれば楽になれるのである。楽なのを難しく考えてもっと細かくなると…大変になると思うが。
by kienlen | 2009-11-28 10:52 | タイ人・外国人 | Comments(2)

カッコ良かった

夜の部のマイケル・ジャクソンの映画を見に行ってきた。混んでいて見渡したところで空席はなかった。短編なんだろうなんて勝手に想像していたが、そんなことはなく2時間近く堪能した。すごくカッコ良かった。これを観ると、本当に突然の死だったんだろうなあということを感じる。とてもじゃないが、体調が悪そうなんて感じさせないし、もうすぐに本番ってところまできているように見えた。バンコクで1度だけ本物を見たことがある。何だったんだろう、コンサート前の記者会見とかそういうのだったのかなあ、大勢集まった会場のホテルのホールにトクトクに乗って登場して「ピース」と一言叫んですぐに消えてしまった。あれは幻だったような、まさか偽者だったりして。何しろその一言だけだったのにびっくりしたことだけ覚えている。痩せた体に魅力を感じることは日頃はあまりないが、MJのカッコ良さは格別だった。ダンスのオーディションで採用された人達の体格の良さが特異に感じるくらいの差があった。ああいう容姿に至ったのは必然だったんだろうな。特別なファンでなくても、ダンスとか歌とかをやっている人でなくても、複数回観ても退屈しない記録じゃないだろうか。ここでなんで…って感じ。残念だった。
by kienlen | 2009-11-26 00:37 | 映画類 | Comments(2)

映画の時間待ちの間に

今日はどうしようかな、と朝に考えた。マイケル・ジャクソンの映画の終了が迫っている。このところ映画に行ってないし、見てみるか。時間をチェックすると夕方と夜遅くしかない。この夕方の時間だと、午前の用事1件終えた後に夫の店でお昼を食べて、編み物しながら料理の撮影隊を待ち、それが終わったらまた編み物して映画の時間を待つとちょうどいい、ということになる。予定通りに進んでお昼に行くと、予想外にタイ人がいてビールを勧められた。カウンターに座っているだけで次々と注ぎに来てくれるのだから快適なんてもんじゃない。編み物しながらテレビを見ながら飲んでいたらテレビのコメントのあまりの奇妙さに友人に電話してしまった。何の番組、バラエティっていうんだろうか。見慣れないものを見ると、もう世の中に全然ついていけてない感が深まるばかりである。で、その友達が店に来てしばしお話をする。世の中全然分からない、というお話。編み物ははかどる。

映画の時間までずっと編んで飲んでをしていた。時間になったのですぐ近くの映画館に行ったら、なんと「満席」の看板が出ている。この地方都市の映画館でもこういうことはあるのだ。しかも自分が見る映画と満席が重なるなんてあったためしがない。夜の分をお買い求め下さいということだったので買った。満席になるなんて見る価値あるのかな、と思う心理が一人前に働いて期待が高まってしまう。そんなわけで店で長時間過ごしたわけだが、途中で若い日本人男性が配達に来た。夫はどこかに出ていた。タイ人女性達が「マスターどこ?」とそのお兄ちゃんに聞く。もちろん日本語。だが外来語の発音はタイ人と日本人でビミョーに違う。「ぼ、僕、配達に来ただけで何も分かりません」とたじたじのお兄ちゃん。タイ人はタイ人で、何でそんな答えになるのか分からず同じことを言う。同じことを答えるお兄ちゃん。配達のタイの野菜を見て「これ安いね、まだある?」とタイ人。「ぼ、僕、配達だけだから何も分かりません」とまたお兄ちゃん。「何も分かってないね」とタイ人同士がタイ語に切り替えて笑っている。「私達の日本語分からないのかな」とも言っている。いやいや、そんなことないけどね、お兄ちゃん、通じないって思い込んでるだけ、と内心思いながら、やり取りを面白く見ていた。
by kienlen | 2009-11-25 19:29 | タイ人・外国人 | Comments(0)

5枚目はベストにした

f0104169_23303890.jpg同じようなパターンで編み続けの5枚目。カーディガンばかりじゃ芸もないのでベストにしてみた。相変わらずのもらいものの毛糸使用で2本取り。濃紺の混じり糸と赤を組み合わせてみたが、これは結構好みの色に仕上がった。これだと気軽に作れるから初心者向けの練習用にいいかなという感じ。ベストはベストで便利なのである。あったかいし。楽しくてやめられない。すでに6枚目はモヘヤのセーターに決めて取り掛っている。そろそろ着分の毛糸が揃わなくなるのでバラバラで組み合わせることも考えよう。今日は予定外の外出続きで予定の仕事ができなかったが、ま、それはそれ。夜は友達数人に沖縄の報告をした。報告義務があるわけではないが、お伝えしないとならないような気がして。
by kienlen | 2009-11-24 23:41 | 手芸 | Comments(0)
f0104169_19403910.jpgちょっとした仕事で山間地へ。友人も一緒に行く。朝食抜きで出て、話が弾んで昼食時刻を大幅に過ぎ、山道をドライブして道の駅の食堂に入った。いつもは小食の友人が「かきあげ丼」を注文。私はこのところ財布空っぽなまま外出していて、現金入れとかないとと思いつつ忘れていて今日も空であったことに気付く。友人から2000円借りて1100円の「3種丼」というのを注文した。何しろ空腹だったから。食べ始めて早々に主食が3つって、こういうのってアリかなあと不思議になった。ラーメンライスとか麺類に丼付きはありとしても3種の丼である。分かってて頼む方に責任はあるが、実際に食べてみて責任の重さが初めて分かった感じだった。若者向けかなあ、と友人と話しながらなんとか食べる方も食べる方であるが。

あまりの重たさに食後のコーヒーまで飲んだため、なかなか高価なランチとなった。しかし今日聞いた薬草の話はとっても面白く気分が良かった。庭を造る時、庭師に、ヨモギとかウドとかユキノシタとかフキとかを植えてくれと頼んで「自分で山から採ってこい」と言われたのだが、本日分かったことは、そうだ、私の作りたかったのは薬草ガーデンなのである、ということ。娘にそれを話したら「今から作ればいいでしょ」と言われた。はい、その通りです。来年は仕事のアテがない。そうすると入金もない。ならば家にいるしかない。家で編み物と薬草ガーデン作りだ。でもやっぱりもっと斜面に住みたいのである。もうちょっと高台。景色のいい高台に小さな小屋を建てて。しかし熊が来るのであるな。そういえば今日は日本みつばちの天然のはちみつをいただいた。そのまんまのはちみつ。すごく美味しかった。鼻血がでるかもってくらいに。熊に盗られたそうであるが、この味を知ったら来年も来るに決まってるなと思った。日本みつばちというのはいろいろな花の蜜をとってくるので〇〇のはちみつ、と言えないそうだ。かわいいもんである。
by kienlen | 2009-11-23 20:08 | 出来事 | Comments(2)

毎日ソーキそば

f0104169_14255797.jpg今月は日記とは呼べないペースだ。昨夜、夕食の用意しなくちゃと思っているところに夫から電話があった。「忙しい?」「忙しくない」と言ったら「忙しいから手伝いに来てくれ」と言う。自転車で駆けつけるわけで、それなりに時間がかかる。そうまでして手伝いに来いというのはどういう事態であるかと思いつつも、仕事となると優先順位がトップにくるのでスイッチ入って、娘に沖縄みやげの肉を食べるように伝えて店に行った。そしたらカウンターにいた友人が「あー、来た来た、飲もー」と言う。「手伝いに来たの」と言うと「いいの、暇なら来てってマスターに頼んだのー」というわけで、もちろん飲むことになった。そりゃあ、手伝いよりも飲む方がいいに決っている。スイッチ、すぐにオフ。近所に住むタイ人が手伝いにきてくれていて、もうピークも過ぎていたのだ。テーブル席の宴会も、タイの子や、知り会いが何人か集まっているものだった。つまり、そのためブログを書けなかった。

それで写真は沖縄で食べたソーキそば。麺のサイズがタイの中細麺に似ていて食べやすい。うどんとラーメンの中間みたいな感じ。スペアリブがそばの上に載っているのと紅しょうがを入れるのが特徴。スープはあっさりで、最近のラーメンスープのしつこさに閉口だったので嬉しかった。スペアリブの味付けが店によって違うようで、甘辛系もあればそうじゃないのもあった。甘辛は苦手なのであっさりの方が私は良かった。ここに唐辛子を漬けこんだ泡盛をかけると風味が一段とアップする。唐辛子系の調味料があると、自分の居場所って感じがしてほっとする。結局お昼は毎回このそばを食べた。短い間だったのでいろいろ食べることはできずじまい。
by kienlen | 2009-11-22 14:44 | 出来事 | Comments(2)
f0104169_22435431.jpg沖縄のことを何も知らずに行ったので「さんぴん茶」も知らなかった。「さんぴん」と言うからには3種の茶葉を混ぜたのかと思ったが原材料名も「さんぴん茶」になっている。何だろう、何だろうの疑問を抱いたまま、復元首里城内のお茶部屋での説明で、中国語由来でジャスミン茶のことだと知った。やっとすっきりした。それにしても、同じものばかり並べた自動販売機は珍しくないだろうか。

今朝は、いつものように息子との気分の悪いやり取りでうんざりして涙ながらにふとんにもぐっていた。昼近くになって、このまま寝ていてもしょうがないと思い直して起きたところに友人から電話。ランチに出た。美味しかった。喫茶店もはしごして、ひとりで書店へ。2冊だけ購入。読みたいのはたくさんあったが読みきれないから我慢した。編み物をやめると読めるのだが。夜は仕事関係の折衝事へ。途中でストレス発散のために車を止めて友人に長電話。はー、疲れたな。
by kienlen | 2009-11-20 23:00 | | Comments(4)
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沖縄では雨の天気予報だったらしいが、なんとかもちこたえて曇の中を見学した。私は旅先で悪天候に見舞われるということがほとんどないものだから、自分の思考の中に天気が入り込まなくなってしまっているが、同行の方々はちゃんと天気予報を見ていた。これはカデナ基地を見る展望台。ちょうど中国人の団体とかち合った。どういうツアーなのか聞いてみたかったが何語で話しかけるべきか、少々習った中国語は忘れたし、英語ってのもなんだかな、ああ、悲しき外国語、なんて逡巡する間もなくサッといなくなってしまった。ここは嘉手納の道の駅で、その屋上を展望台にしている。この建物ができる以前は基地側のちょっとした丘を「安保の見える丘」と呼んで、そこから見ていたそうだ。そっちにも行ってみたが草ぼうぼうだし高度が足りずあんまり見えなかった。

なにしろ基地が広大すぎて写真に納まるわけがない。この日は沖縄の最終日で、タクシーを雇って周った。小さな島なんだなということを実感。ここで地上戦では逃げ場もなにもないことも実感。それを思うだけで胸がつまる。その小さな島で町によっては80%が米軍基地で、全島平均にして約20%が基地。集中している中心部はどこを走っても基地の隣なのだ。タクシーの運転手さんというのはガイドさんの話とも違う生活感があって、私はタイでは極力タクシーで話すようにしているが、この日の運転手は話しかけなくてもしゃべりっぱなしでとっても情報量が多かった。で、この展望台に行く前にこういうことを言った。航空機オタクみたいな人が展望台から基地の飛行機の写真を撮るために集まってきて、そういう人達が「事故があった」とか「どういう戦闘機が配備されているか」などを真っ先に察知するんですよ。なるほどなあ。で、展望台でそれらしき人を探したらいました。小さい子の身長くらいあるかと思われるレンズをテーブルに載せて談笑する男性2人。がんばって下さい、というか何と言うか…。
by kienlen | 2009-11-20 11:49 | | Comments(0)
久々の読後感ではないだろうか。読書時間がうんと減っている。夏だとそのへんに横になって読めるが冬は寒くて、そのへんにゴロンができないのが一番の問題で、二番目が編み物。これは教育委員会から参考書として貸し出されたものだ。私は教育関係者ではないが、教育関係者と関わる機会がある中での恩恵です。ありがとうございます。でも、不思議なのは、だからどうしましょう、という実践にはなかなか結びつかないことである。この「実践」という用語も教育関係ではよく登場するので、日ごろの虚業で何の実践もしてないくせに口からも手からも、こういう用語が出るようになってしまった。

この間、視察に行ったいちょう小学校がいかにして今日の多文化共生の外に開かれた学校になったかを教師や地域の人達や親が、それぞれの立場から報告しているもの。視察では、表面的でない共生の雰囲気と表面的でないオープンさが感じられて、私はいい印象を持ったが、そこまでの道のりが決して容易なものであったわけでないことが分かる。最も参考になるのは開放性だろうと思う。しかしこの本を貸してくれた機関にそれがあるようにはとても見えないのが気になる。
by kienlen | 2009-11-19 23:00 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen