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東京といえば本

昨日は東京に用事があった。他の町ならワクワクするあの感じがまるでなく義務で行くのが東京であり昨日もそれだった。せめて時間があれば美術館にでも行きたいがないし。さらに新幹線が高いのでバス。夜までかかる用事だったので戻りは新幹線にしようと思ってバスを予約しないで行ったが、やはり高いのと、それに新宿から直行のバスの便利さもあって1時到着の便に乗った。乗り換えなしというのはとっても便利。ただ、この時間になると駅を西から東に通過できないらしくてドアが閉まっていて東の自転車置き場に行けず、地下を通るのは嫌だしで、しばしウロウロした挙句にタクシーになったから、じゃあ新幹線にすれば良かったともまあ別に思わなかったけど、とにかく色々やっていて遅いというか早いというかの時間に寝たのだった。
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仕事以外は気が進まない東京ではあるが、それでも行くのは娘との用事を済ませられるからというのもある。こちらから持っていくものを渡し彼女から本を受け取る。本屋を巡るのもいつもと同じ。新刊と古本屋の両方をまわり10冊近く購入。だいぶ抑えたのだがまた増えてしまう、ああ。往復のバスでカズオ・イシグロを大感動しながら読んだけどまだ半分くらいだ。ランチは神保町で娘と。揚げたフグの丼と彼女が即決。フグ食べたことないと言いながら。つられて私も。


by kienlen | 2017-03-14 09:33 | 読み物類 | Comments(0)

『快楽としての読書―海外篇』

こういう本を若い時に読んでいて、読むべき本をここから決めていたら人生違ったかもしれない。残念でした。しかし今になってからでも読めたのは良かった。タイトルでもいっているようにまず、どれもこれもすべてとっても面白い。114冊も紹介されているのだから、面白くなさそうなのは飛ばしてもいいのに、飛ばしたくなるのはひとつもなく隅々まで読んでしまった。雑誌や新聞に掲載したのをまとめているので、同じようなタッチで飽きるかな、ということも全くなく、そしてジャンルの幅広さにも驚嘆で、いやあ、すごい。一般大衆向けながら迎合的ではなくて上品ですごーく深い内容をすごーく易しく書いてくれている。ああ、素晴らしい。大問題は片っ端から読みたくなってしまうことで、この114冊がセットになっていたら欲しいくらい。

しかし当面何を読むかであるが、カズオ・イシグロ『日の名残り』は、気になっていたのもあり、もう買う手配済。『薔薇の名前』もやはり読みたい。娘が人から借りて読んでいるので自分用に買うのもなで延び延びになっているがこの際買うか。クンデラが何冊か出てきたのは嬉しかった。何冊かは持っているけど『冗談』が読みたくなった。モラヴィアもいた。『蠅の王』もやはりこの際。『ハワーズ・エンド』は映画見たけど本も面白そう。『ジャッカルの日』があったりチャンドラーがあったりも感激。それに『チャンドラーの生涯』はウチの本棚にあるのだから、読める。『蜘蛛女のキス』も面白そう。『ソクラテス以前以後』は絶対読みたい。『どこまで行けるか』『日本との50年戦争 ひと・くに・ことば』、オーウエルがいないと思ったら、彼が触発されたという元のがあった、『われら』。『女帝エカテリーナ』もぜひ。他もすべて面白そう。粒ぞろい過ぎるのも困ったものだ。しかし自分で読んだんじゃ分からないことが解説されているのだから、あとがきにもあるように、読んでからもう一度これを読み返すとさらに面白いに違いない。満足でした。日本篇も読もう。来週東京に行くので色々仕入れる。

by kienlen | 2017-03-06 20:18 | 読み物類 | Comments(0)

『たとえ世界が終わっても―その先を生きる君たちへ』

しばらく前に読んだ。本屋をぶらついていたら橋本治の新刊がありペラペラして買った集英社新書。初のしゃべり本とのことで、確かにしゃべり口調。他にもあったんじゃないかと思ったけど、しゃべり本にするつもりでしゃべっても書き直してしまっていたのだそうだ。でももう年なのでしゃべり本にしたとのことで一応聞き手として51歳のフリーライターがいて、でもこの人は著者の考えが分かり過ぎてしまうのでそうじゃない人を入れるということでバブルも知らない1984年生まれの編集者が入る、ということになっているが、もちろんしゃべっているのはほとんど橋本治でたまに合いの手が入るというか入れてってリクエストするというか。出だしはイギリスのEU離脱について。大きなものはもうダメじゃないかという橋本説を地でゆくものであるとの見方。異議なく刺激なくの論がしばらく続くので復習的かと思ったらだんだん橋本節全開って感じで面白くなってきた。

それで半分よりちょっと後ろのあたりに付箋が多くなった。どういう章かというと、バブルを経て「社会」が消えた、なにを言ってもムダな人たちの2つの章。実体経済以外に金融経済を作り出した過程ははい、テレビが料理番組ばかりになったのがどうしてかというあたりは、なるほど。付箋だけにして線は引くまいと思っていたが手元の色鉛筆で引いてしまった所がある。日本の保守が何かっていうのはねじれてて謎であるらしいのは常識らしいがすごーく簡単に説明している。この簡単さがしゃべりの魅力。つまり「明治維新って、フランス革命なんだよね。だって突然上から『今までとは違う別の社会を作るんだ』っていう理念がやってきちゃうんだもん。だから『明治政府』は保守主義勢力どころか、いきなり新しい理念を振り回す『革命勢力』なんですね。明治維新を礼賛する人たちが『俺たちは保守主義者だ』って勝手に言ってるけど、あれは保守主義ではなくて、単なる理念の人なんです。右翼系のね」。ですよねー。でも戦争に突入して敗北した以外はまあまあ何とかなっているのは「明治以降に理念の押しつけが始まる前の日本社会が、かなり成熟して安定していたからですね。私ァそう思いますよ」。これであの空虚な言葉群の謎も分かった気分になったが、江戸の貯金がいつまでもつか不安。

by kienlen | 2017-03-03 09:02 | 読み物類 | Comments(2)

『アジアの風―アジア短篇ベスト・セレクション』

出ている時間が多く、なかなか読書が進まない。昨日メモった中国の小説が入っているこの本を昨日やっと読み終えた。ベトナム、タイ、インド、台湾、モンゴル、インドネシア、中国、フィリピン、韓国、マレーシアの10か国からひとりの作家のひとつかふたつを収録。借りる時は、ちょっと目を通そう、タイだけでも、くらいに思っていたが、まずベトナムのがいきなり面白く、さほどでもなさそうと思いながらタイだから読み通そうと読んだのも結局は面白く、という感じで、一部読み飛ばしたところはあったが結構ちゃんと読んだ。こうして並んでいると、たったひとつの短篇小説から自然環境とか社会とか、早急な判断は危険とは思いつつも国民性のようなものも感じられて感動した。どちらかというと女性作家のが共感というか分かりやすかった。やはりアジアの国における男女差の方が西洋の男女差よりも分かりやすいのかもしれない。日本のようにすでに煮詰まった感のある社会とはまだ違ってダイナミズムと同時に諦めとか倦怠とが混じった空気感があった。このあたりも分かるなって感じ。うーむ、良かった。くどいが短篇小説って面白い!こういう、ベストセラーにはとてもなりそうにない本を出してくれるというのも大変ありがたい、ありがとうございます。
by kienlen | 2017-02-28 19:51 | 読み物類 | Comments(0)

『謝秋娘よ、いつまでも』

うわあ、これすごい面白かった。『天国の風―アジア短篇ベスト・セレクション』というのに収められている一篇で独立した本ではないのだが、すごすぎてメモっておきたくなった。本の方は高樹のぶ子編ということで新潮社刊、というのが何だか意外だった。図書館でみつけて何となく借りて何となく読み始めたら面白くて読み通せそう。ベトナム、タイ、インド、台湾、モンゴル、インドネシアと読んできて、どれも個性的というかその国の風を感じる、まさにタイトル通りだったが、この中国の小説はまた一段と面白かった。ベトナムもインドもすごく良かったが、こちらはさらに、うなった。

主人公はものすごく魅力的な女性。周囲が年老いていくのに常に若く美しく、決して動じるということもない。レストランを経営していて、料理の腕前がまた素晴らしく、特別メニューとして出される料理の名前も説明もよく分からないが、活字を見ているだけで垂涎もの。言い寄る男は数限りなし。当然みんな金持ちで高い地位。それに対する主人公の態度が、もうオセロのようにひっくり返る歴史ある中国に対する感じのようで痛快というか悟りきっているというか。彼女がどうしてこうなったかというを感じさせる描写はあるが、結局最後まで謎めいたところは残したまま、しかし迫ってくるものあり。東洋の小説って西洋のような神がいない分、生の人間の息遣いも自然もそのままの感じがする。ああ、面白かった。短いのにこのインパクト、短篇小説って面白い。あと、フィリピン、韓国、マレーシアが残っている。

by kienlen | 2017-02-27 14:31 | 読み物類 | Comments(2)

『アウン・サン・スー・チーはミャンマーを救えるか?』

昨日図書館で借りた本の中の一冊を昨夜読んだ。含みのある文章を読んだ後にこういう本を読むと、いかに楽かを実感。出版社がマガジンハウスなので緊張しない、というのも変だが、姿勢を正そうというよりはダラッとしたまま読めそうだというのが最初からあった。これがみすずだったり河出だったりちくまだったら開く時の気持ちが違う。元駐ミャンマー大使の方とジャーナリストの方が短い章をひとつかふたつかずつ担当という、自分にとってはあまり読み慣れていないスタイルの本。一度、昔行ったことがあるだけのミャンマーだが、すごく魅力を感じ、今回タイになってしまったのも本当はミャンマーが第一希望だったのと、いくらかミャンマー人の知り合いがいるのと、タイで唯一友達といえる関係となった人がシャン州出身だったのと、マカオに渡ってしまったミャンマー人の女の子がどうなっているのか気になっているのと、諸々あってミャンマーは身近に感じているというのがあって借りてみたもの。

前半は面白いなと思った。マスメディアの報道が欧米経由であること、その背景説明もあるし、タイが軍事政権というだけでバッシングされるのを、タイの事情を考えて欲しいと憤慨している友人のことを思ったりで納得。独裁というならベトナムの方が当たるのに、どうしてミャンマーばかり責めるのかとか、あとは、ミャンマーがイギリス連邦に加盟していない独立国であることがいかに珍しいかというあたりなど、なるほどー。苗字がないということから想像できることではあるが家制度のようなものがなく実は欧米より昔から男女平等なのであるということを歴史と仏教、何より王家が世襲でなく、よって貴族階級がないことと絡めて説明してあってり、自分としては知らないことだらけで斬新でますます好きになった。そして俄然、もっと知りたいミャンマーとなったが、後ろの方は疲れてしまった。ミャンマーがいくら確固たる方針でやってきたとしても、このまま世界の資本が流れ込んで世代交代してそれを貫くことができるのかとか、どうしても疑問になることへの言及はなくミャンマーと日本の賞賛ばかり。いくら素晴らしい国であるとしても素晴らしいだけであるというのはあり得ないと思うのだけど。面白いことがたくさん知れただけに、かなり残念だった。



by kienlen | 2017-02-17 08:22 | 読み物類 | Comments(2)

ビブリオバトル

自分が推薦したい本を5分で紹介して、どれを読みたくなったかを集まった皆が投票し、最も投票が集まったのがチャンピオンになるというゲームをビブリオバトルと呼ぶらしい。これに参加してチャンピオンになった友達から勧められていて、本日がその日だった。予約が必要らしいが、そこまでして行きたいかというと、そうでもなく、でも本がテーマのものには興味があるしで、直前まで迷った挙句に行ってみた。発表してもいいかなと思って一応、つい先ごろ読んだ服従を持参。10人ほどの少人数で気軽そうだったのでぶっつけ本番でプレゼンすることにした。制限時間5分の後は、質問やディスカッションの時間も少しある。とっても面白かった。結局10人のうち6人が発表して投票。2冊がチャンピオンになった。服従もその1冊に入りめでたし。図書館で借りて読むという人がいたのは嬉しかった。今年度は今日が最後とのことで、もっと早く知っていたらと残念だった。
by kienlen | 2017-02-15 23:36 | 読み物類 | Comments(0)

『服従』

これはこれは面白かった!本だけでしか味わえない快感ってこれだよな、と思いながら耽読。といっても何が分かっているかというと、ものすごく心もとない。フランスの知識人ってこうなのね、それで読む人にこれでもかっていう教養を要求するんですか、という感じはあったけど、それらがなくても勝手に面白かったです。結局こういうのが好きなのだ、自分、と思った。で、この場合のこういうのって何かというと、皮肉と嫌味とデカダンスというところか。まあ、節操がないので、ハウツーものとさわやか系とファンタジー系とオカルト系以外はたいてい好きになる傾向あり。ただ巨大な問題があって、主人公がユイスマンスという作家の研究の第一人者で、私のようにこの作家の名前ここで初めて聞いた、という者が一体読んだことになるのか、ということだ。まあ、色々なレベルの「読む」があるので、自分勝手に楽しんでいる分にはそれはそれとして置いておくことにする。

ごくごく近未来というか、次の選挙くらいに、フランスにイスラーム政権が誕生するという小説なのだが、政治家から思想家から小説家からジャーナリストから編集者から色々な人が実名で登場する。こういうのって海外の小説では見かけるけど日本にもあるのか、ちょっと知らない。一人称の効果ってこれかあ、と今さらながら感じたのは、臨場感たっぷりで実話のようなのだ。ソルボンヌ大学で教えていた主人公は、選挙の前から不穏な動きを感じ、情報も得たことから田舎に一時避難。パリに戻ると教授職を失っている通知がきている。しかし知識人が騒がないように破格の年金が約束されているのはサウジのオイルマネーがあるから。という物語自体も面白いといえばいえるが、一文一文の含意が重層的で心地良い。ちょうどこのところイスラームの話を聞いたり読んだりが続いていた上にこれを読んだのは偶然だが、多少でも見聞きしたのは想像力を膨らませるのに役立った。服従というタイトルには、ううむ、納得。ヨーロッパと中東、カソリックとイスラーム、人間とは何かということから知識人とは、政治とは、国家とはなどなどめいっぱい詰まってる思想書のようでいて面白い小説。それでユイスマンスを読んでみるかというと、とりあえず自信ない。しかしこういうのの次をどうするかは難しい。プラハの墓かな、手持ちからいくと…。

by kienlen | 2017-02-13 08:31 | 読み物類 | Comments(0)

『日本のムスリム社会』

友達から借りたこのちくま新書を、外出の多くて落ち着かない日々の中でちょっとずつ読んだ。2003年の発行ということは、時々の政策やら国際関係やらによっても変化の大きい外国人事情が現状と同じはずはないと思われるが、日本の中のムスリム社会という、私たちには見えにくい部分についての基本を教えてくれている点でありがたい内容だった。基本に触れておくと、何かあった時の理解がしやすくなる。著者はこの間の講師だった桜井啓子さんで、イランが専門。その時の話、それから自分が多少は知っている日本のタイ人社会、そしてパキスタン人の知り合いや、ムスリムと結婚して改宗した友人などを思い浮かべたり比較したりしながら読んだ。

フィールドワークではあるが、ノンフィクション作家のような文体や構成とは違って学者さんのそれ。誰かにスポットをあてて物語的にしたり、とにかく読んでもらう工夫をする、みたいなところはあまりなくて、でもあくまで一般向けを意識している、という感じで、構成は、まずモスクという現場の風景で導入、続いて日本で働く・学ぶ、故郷の事情…と、項目ごとに説明している。私が一番面白かったのは、最後の章の「日本社会とイスラーム」かな。そういえば以前、イラン人と結婚して子どもがいて、給食の献立に目を光らせていて、食べられない時は弁当持参という日本人女性に会ったことがあった。もうあれから20年近くになるのだから、その子も成人しているのだろうけど、どう育っているのだろうか。公的な領域は男が中心で親権も男と決まっているあたりは、日本人との親和性が低いように感じつつも、女は男に守られる存在であるというのは、タイ人よりも馴染みやすいかもと思ったり、基本的なことが色々説明されていて面白かった。

by kienlen | 2017-02-10 21:26 | 読み物類 | Comments(0)

小島信夫の短編3つ『馬、微笑、汽車の中』

すごく面白かった村上春樹の短編小説案内の中で特に強烈な印象だったのが、小島信夫の「馬」だった。このところ貴重な本友達が短編小説に凝っているのもあり、そういえば小島信夫の短編集があったはずと思ってチェックすると、この馬も入っていた。一昨日の上田往復電車内と食事しながらなどで、馬を先頭に3編読んだ。日常の微細を描いているようでいて、全体的にはシュールな面白さ。日常生活を突き詰めるとそうかもね、こうなるかもね、と感じるが、やはり現代の日本との決定的な違いは戦争でしょう。この3編の中で直接それを扱っているのは汽車の中。敗戦直後らしき汽車の中での出来事を延々と書いてある。一分の隙もなく人を詰め込んだ車内の詳述などちょっと異様なレベル。でもなぜか飽きない。なんかもう人間に対して、社会に対して吹っ切れている感がビシビシだな。

馬を紹介してくれた短編案内には感謝。あれを読まなければ読まずに終わったと思う。小島信夫といえばアメリカン・スクールしか浮かべられなかったし、これさえ読んだのは最近のことだ。で、この時は何だかすっきりしない小説と思ったけど、こうして4編読んでみると、どれもすっかりしない。で、小説って、考えてみたら謎解き目的のようにすっきりするはずがないのだった。あと共通しているのは男と女の関係かな。男の存在の不安定さと女のそれの相対的な確かさというか。馬はそれそのものがテーマという感じ。これはまあ夫婦を描いたもので、夫が知らない間に材木が運ばれていて妻の段取りにより立派な馬の家が増築され、素晴らしい馬が家にやってきて、妻が夫よりも馬と親しくなっていく様子を夫の目線から書いている。どれも面白かった。あといくつかあるので読む予定。



by kienlen | 2017-02-02 08:49 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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