カテゴリ:読み物類( 717 )

『マスカレードホテル』

東野圭吾のタイ語訳の2冊目。1冊目がすぐに入り込めて夢中になってしまって辞書引き引きも、先に進みたくて楽しかったが、これはどうも入り込めなかった。タイ語訳の表紙はいかにもミステリアスで怖そうで、周囲の人たちが見て「怖い」と言っていたが、怖くもないし、終わった殺人の次がこの本の舞台のホテルって話しで、そこで殺人が起きるわけでもなく、永遠に前置きって感じで、途中で読めなくなってしまった。でも、途中で止めるのも悔しい感じでただ文字を追っていただけで、物語を把握しきれていない。

以上は日本語で読んだわけでないので理解していないといえば言える。が、ホテルの客の色々とホテルスタッフの対処方法をかなり長めに書いているのは、うーん、どこにつながるのかよく分からなかった。日本語だったらどうなのか、とは思うが、日本語で読み直したいかというとそうでもない。容疑者Xの献身は、読み直してもいいかなと思えたが。厚いので時間かかってしまった。日本に戻ってからタイ語の本を読む気になるのか、そんな時間的な余裕があるのか、日本語で読みたい本は山積みだし、戻ってから考えよう。息子の誕生日がきて、娘は今日オーストラリア旅行へ。私は帰国準備にかかる気になっている。

by kienlen | 2018-01-30 20:56 | 読み物類 | Comments(2)

『旅猫リポート』

友だちが貸してくれた。借りて読んだがあまりに感動したので買ったということで。有川浩は、娘が好きだったと思っていたので期待して開いたら、もう最初から受け付けがたい文体だった。1冊は読んだことあるけど、こんなだったっけ。読み進めるうちにますますダメになり、娘に連絡したら、彼女が好きだったのは高校までで、でもその後読んだらまだ大丈夫だったのでまだ若いと思ったのだそうだ。エッセイは読めない、と言っていた。エッセイではないのだが。それにしても何を感動するのか、きっと最後の方だろうと思って飛ばして読もうとしたが、相変わらずな表現だし、挫折しそうだと友人にメールしたら、がんばれと励まされた。はい。

せっかくなので読んだ。ただし時間をあまり使いたくないから飛ばし読み。猫や犬を飼っている人には、特に猫を愛している人にはきっと感動ものなのかもしれない。そして確かに最後は泣けた。泣けたけど、泣きたくて読んでいるわけじゃないし、と、まあ、素直に面白かったとは言いがたい。好みですし相性ですし、しょうがないことだ。友人には、カズオ・イシグロ好きな人には合わないのかもねえ、みたいに言われ、娘は、有川浩好きな人はカズオ・イシグロはかったるいみたいよ、などということであった。はい、色々勉強になりますと送った。これ、日本語じゃなかったらいいかも、とも伝えた。Amazonでも絶賛、しかし数人は何がいいのか分からないという声だった。後者の気持ち分かる。昨日は友人と二人忘年会をやり、今日も別の友人とお寺にお参りしてちょっと一杯の予定。何もない大晦日。

by kienlen | 2017-12-31 17:37 | 読み物類 | Comments(0)

『だから、居場所が欲しかった』

サブタイトルは「バンコク、コールセンターで働く日本人」。友人がこちらの紀伊國屋で買ったのを貸してもらった。コールセンターのことは、こちらに来た当初に、在住の長い日本人から聞いていたが、バンコクにもあるのね、くらいにしか思っていなかった。コールセンターは、かける側としては利用しているわけで、娘の友だちがそこでバイトして心を病んだみたいな話しもきいて、あり得るでしょうと思っていた。で、この本がそういう視点かというと、別にコールセンターの問題を取り上げているわけではない。コールセンターで働くということは、海外であっても日本語だけできればよくて、責任を問われるわけでもなく、時間の融通も結構きいて、一応生活できるだけの給料は出る、という面の方にスポットを当て、そういうところに来る日本人がどういう人であるかを取材したもの。

結論からいえばタイトル通り、日本に居場所のない人たち、ということになるようだ。著者はここに登場する人たちと年齢も近く、それに自らもフィリピン在住であるし、どちらかといえば共感的な部分が多いように感じられた。私も、彼ら彼女たちの選択については、タイの暮らしやすさを分かっているので分かるなと思う。それにそもそも自分自身がそういう選択をしたわけで、当時はなかったが、今ならコールセンターはあり得たかもしれない。それはともかく、著者の感想部分がなぜかとってもステレオタイプであるのは違和感だった。日本社会を大雑把にくくる時の見方など、外国にいるとそういう癖がついてしまうのか、あるいは元々そうなのか。あるいはそこに違和感を抱く私の方の問題か。後半は風俗の男性に溺れる女性とか、性同一性障害の人たち。いかにもタイらしい。オープンにみえるタイでも性同一性障害者の職業は限定的で、難しい職業として教師もあがっていたが、これはかなりクビを傾げてしまう。どこまでのレベルで判断するかということだけど。

by kienlen | 2017-12-31 09:32 | 読み物類 | Comments(0)

『脳と瞑想』

これ、バンコクに来て最初に読んだ本だと思うがメモってなかったことに気づいた。カルチャーショックで余裕がなかったんだろうと思う。こちらに持って来る本を物色していて本屋でたまたま見つけたもの。タイで出家して30年の日本人僧侶と、最先端脳外科医の対談本で、まさに脳と瞑想について話しているものだ。これを買おうと思った理由のひとつは、書店でパラパラしていた時に脳外科医の著者が覚醒下手術について語っているのをみたから。つまり全身麻酔で手術をしてしまうと、脳の腫瘍摘出で腫瘍周辺のどこかが損傷して何かの機能が失われても目覚めるまで分からないというリスクが大きいのだが、覚醒下で行なうと、手術中に、どこを触ったらどういう影響があるか分かるので術後がひじょうに良いということだった。で、この脳外科医が瞑想を自分も実践していて、脳にとって瞑想は良いということを確信しているのだった。

まず僧侶がタイで行なわれている瞑想の3つの方法を説明する。この間私が瞑想キャンプで行なったのは初期教典による伝統的な瞑想方法で仏陀の時代からのものだそうだ。マインドフルネス、気づきを培うのだそうだ。で、僧侶の著者が実践しているのが、この著者の師が編み出した新しい瞑想法なのだそうだ。これは前に本で読んだことがあって、とても興味深いものだった。よく瞑想に行っているタイ人に聞いたら、その人の実践しているのがこれだったから、この本に出て来るお寺と関係しているのかもしれない。どういうものかというと、手や指や歩行などを使うのが特徴。まあしかし、この本では瞑想法は触りとして、脳との関係を重点に語っているわけで、そっちが大切なのだ。で、脳優位テストというのがあって、本を買うとパスワードがあり一回だけできるようになっている。今回また読み直していて、そういえばやってないなと思ってやってみた。自分の脳の傾向がどうなのかをみるもの。ふむふむ。それを友人に話したら、このテストのために本を買ったそうだ。大変面白いので買って損はないと思う。

by kienlen | 2017-12-06 23:19 | 読み物類 | Comments(0)

『聖女の救済』

今日東野圭吾の本を読み終えて、そういえばこの間読んだこの本をメモってなかったと思い出した。日本語勉強中のタイ人が持っていて、読んでみるというので音読を聞いていたのだが、さすがに小説は難しそうで何ページかで挫折。で、面白そうだったので貸してもらって読んだのだった。で、面白かった。日本語だったらすぐ。これも翻訳があったら読んでみようかな。来週の土曜日にこの間の本屋に行くので見てみよう。
by kienlen | 2017-11-26 22:27 | 読み物類 | Comments(2)

『容疑者Xの献身』

東野圭吾のこの小説を、タイ語の翻訳で読んでみた。表紙がカッコいいし、娘と素敵なブックカフェにいる時に見つけたもので気分も影響して買ってしまったもので、実際に読めると思っていなかった。今までも難しくなさそうなものを読み始めては挫折していたので。しかし、これはもう出だしから引き込まれて面白くて止められなくなり、辞書を引き引きものすごいスローペースではあるが読み進めることができた。日本語なら多分2時間か3時間と思うが、多分その50倍以上はかかったと思う。つまりそういう時間があるということであり、通常の状況であれば挫折していたかもしれない。ただ思ったのはミステリーは先が読みたくなるので意外にいけるということと、表現が文学的過ぎると分からなくなるが、平易だし翻訳が分かりやすいし、それと、日本の本なので固有名詞が分かるのと、社会や心理状態も想像しやすいというのがある。これを感じられたのは意外な収穫だった。

筋が読めるので、実は分からない言葉も飛ばしてしまおうかと思えるほど先が読みたくなったが、それじゃあ意味がないなと思って想像できるのも辞書で確認しながら読んでいたのだが、最後のクライマックスは、それもせずに多少飛ばし読み気味だった。天才的な数学の才能があるのに高校の先生にならざるを得なかった男性と、大学の同期で物理が専門で大学教員になった男性が、ある事件をきっかけに再会するのだが、この大学の先生というのが警察官から頼りにされている存在で、いつも警察の出入りがある。そして実はこの数学オタクの先生は事件の首謀者というか主人公でもあり、動機が勝手に惚れているだけの女性とその娘を助けるため、という、こんな風に説明するとおかしな話しだが、ああ、ここでこう思うのは分かるなって人物設定なので違和感はなく、いきなり種明かしが出て来るじゃんと思ったけど、話しが進むにつれて様相は複雑化し、もう、最後の方は虚しくなって、これ読んで自殺者でるんじゃないかと思ったくらい。でもちょっと涙が出てしまう人間味のある話しだった。面白かった。東野圭吾は何冊もタイ語になっているので別のも読んでみるか、いやあまりに疲れるし時間かかり過ぎだ、の間にいる。


by kienlen | 2017-11-26 16:58 | 読み物類 | Comments(0)

『室町記』

日本にいたら年末の雰囲気が漂い始めるころかと思うが、こちらにいると、多少は涼しくなって日も短くなっているとはいえ、かといって日本のあの雰囲気とは違い、まさに気づいたらあっという間に11月も半ばになっている、という、まるでそのまんま。この本を読んだのもしばらく前のことだ。すっかり影響されて何冊もここから読んでいる丸谷才一の読書案内本で絶賛されていたので、やはり読んでみたくなって持参していたもの。絶版のため古本にて購入。これもアタリだった。すごい面白かった。室町時代というのはあまり注目されない時代なのだそうだ。しかし、この時代こそ、お茶やらお花やら現在日本文化の代表とされている文化が花開いた時期なのだそうで、そのことについて細かく記している。で、その記し方にもう大興奮。

天下を統一するような強い統治者のいない時代、何というか主人公のいない時代という感じの中で、本格的な都市文化が栄え、地方文化も生まれたのだが、ここで面白いと思ったのは、イタリアのルネッサンスと違い、日本の地方文化があくまで中央志向だったという指摘。確かに今にも通じるなという気がした。お茶もお花も、もてなしの文化として花開いたことが何を意味するのかとか、連歌が極端に形式主義になっていく過程とか、わくわくしっぱなしだったが、能の確立については、日本の芸術が一般民衆の反応を無視しない形であったのが特徴だと西洋との比較で述べているのもひじょうに興味深かった。人間関係の機微とか、もうもう、内容濃過ぎて消化しきれないが、全体に、俯瞰的な視点と巨視的な視点とが納得できるバランスで配置されていて大変満足な一冊だった。読み直すべき積読本に加えておくのがいいかもしれない。





by kienlen | 2017-11-13 07:08 | 読み物類 | Comments(2)

ブックフェア

写真がアップできなくて書く意欲が低下していた。ポケットWi-Fiの容量の関係なのだろうか。今日またやってみたらできた。実験。
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この間、バンコクで開催されていたブックフェアに行ってみた時のもの。この言葉を糧にこれからも生きていくことにする。しかし、思うのだが、これをしてきたことが今日の孤独につながっているのではないだろうか。まあ、いいや。というわけでブックフェアにこの間行って来た。ちょうどラマ9世王の葬儀の期間に開催されていて、私は、ハイライトの火葬の日の翌日に行ってみた。こんな時にブックフェアに行く人がいるのだろうか、ガラガラだろうと思って行くと、なんとかなりの人出だった。本好きとしては嬉しい光景。
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そのことを娘にメールしたら規模を聞かれ、確かに東京のような規模とはまったく比較にはならない。で、東京では今年はないとのこと。タイは本を読まない人たちが多いと思われるので、ブックフェアがあったこと自体が驚きで行ってみたわけで、期待もなかったわけで、その割には賑わっているのに驚いたのだった。小さくして気楽にやる方が時代に合っているような気がする。
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とにかくこの賑わいは予想外だった。で、週末にいつものように近所の図書館に行っていつものようにタイの雑誌を読んでいたら、偶然このブックフェアについて書いた記事があった。今年はいつになく賑わっているという内容だった。どうやらその大きな要因は9世王関連の本とか。なるほど、だからこの時期なのか。そのコラムを書いているジャーナリストの本の売れ行きも良かったらしくて、コラムの中で喜んでいた。
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こういうのもありね、と感じたコーナー。興味を惹かれる本があったが、タイ語だし、1ページ読むのに時間かかるし、そんな時間ないし、もう色々買ってしまったし、どうせ読めないやと思って止めたのを軽く後悔している。何のかんのといっても、タイの田舎ではこういうイベントがないのだから、バンコクの良さではある。





by kienlen | 2017-11-05 21:00 | 読み物類 | Comments(2)

『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』

娘が来る時に、せっかくだから何か新刊をと思っていたところ、たまたまこの本の紹介を目にして即決、持って来てもらった。このタイトルだけ見たらとても読む気になれないが内容が面白そうだったのだ。そして原題は単にCleverlands。日本自画自賛の傾向を意識して付けたタイトルなんでしょうか。とはいえ、私には大変面白かった。著者は英国人教師。この人が、国際学力テスト「PISA」の成績上位の国という条件に加えて人口規模等で多様性をもたせて、フィンランドと日本とシンガポールと上海とカナダの教育について紹介した本。なぜこのような本を読みたくなったかというと、バンコクの学校に衝撃を受けてしまって立ち直れないかもしれないから。ただ、公式統計の分析だと味気ない。ところがこの本は現役教師が、教師宅に泊まりこみ、学校見学やら実際に授業をやってみたり、公式、非公式インタビューなどを総合し、もちろん統計や先行研究をたくさん引用しながら一般向けに読みやすく書いている。英国との比較的な視点が多いので英国の教育事情も透けてみえるのも面白い。

アジアの教育といえば詰め込みで独創性がないという印象があるというのは私たちも聞いているし、ここでもその思い込みがあることとを認めつつ、そんな単純な話しじゃないというところを浮き彫りにしている。タイトルをみると日本褒めているようなイメージだがそんなことはない。まだ子どもがいない著者は、子どもをこの国の中のどこで教育させたいかという自問をしているが、日本が選択肢に入るということは絶対になさそうだ。最初のフィンランドも相当良さそうだが、最後のカナダが著者のお好みにあっているようだし私もいいなあと思ったのはカナダだった。つまりアジアの国々というのは移民が大きな教育問題にはなっていないわけだ。その点カナダは移民を大量に受け入れている国で、それでも成績で上位に位置している。日本人が日本の章を読むと、えっと感じる点もいくつかありそう。まあ、それがまた面白くもあるが。どっちにしても、軽く読める割には全体的にとっても興味深かった。見方が単純でなくて安易に評価を下してないのが好感。



by kienlen | 2017-10-29 20:43 | 読み物類 | Comments(0)

『すべてがFになる』

娘が来る時に「なんか軽く読める小説持ってきて」と頼んでいたらこの本を持って来た。どれにするかは任せる、買うまでもないのでキミの蔵書から、と私が言ったのに対して打診も相談もなかったが、実は森博嗣は、前にエッセイを読んで、この人は好きだなと感じた人だった。かといって小説を読もうかと思ったかというと、そうでもない。ので、こういう形で読めるようになったのもご縁である。娘がカズオイシグロを旅先で読んでいる間に私はこれを開いたり閉じたり。私にとってはちょっと海堂尊を彷彿とさせる出だしがひじょうに気に入って娘に礼を言った。あ、海堂尊から主張を差し引いたって感じかな。

工学部の先生だった作家らしく、というか、これを書いた時点では現役の先生だったようだが、それで私には内容的にはてんでついていけなかったので肝心の謎解き部分はもう、はあそうですか、なのだが、よってそこはまあ飛ばし読みになったが、それでも面白かった。こういう感性は好きだし、登場人物もとっても魅力的。途中まで読んで止めるというわけにはいかない。謎解き小説の最後を先に読んでしまうという人に会ったことがあり、その時はびっくりしたけど、謎が分かったからって途中がつまらなくなるわけではなく、これもそういう人は最後を先に読んでもいいんじゃないだろうか。これを読んでいる途中でカズオイシグロの方を先に読んで、純文学と大衆文学ってこういう風に違うのね、などと思いながら読んだ。映像はどっちも見てない。

by kienlen | 2017-10-25 13:09 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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