2016年 12月 24日 ( 1 )

川端康雄著。タイトルはもちろんだけどみすず書房なのが気になり図書館で借り、小谷野本に続いてこれ読み始めたらまた面白くて最後までいってしまった。読み始めから面白かったので娘にメールしたら「みすずだ!」と、同じ反応だった。がんばって欲しいです。それにしても本のおかげで仕事がさっぱりだ…、ということにしておこう、まずい。そういえば昨日タイ人に「ヤバイと大変は同じ意味ですか」と聞かれた。マズイも教えるべきだったか。でも意味は微妙に違う気もする。日本語って難しい…のではなくつまり母語の無意識さが難しい。この本はタイトル通りオーウエルの動物農場の解説。最初にテクストとして抄訳があるので復習で読み直し、改めて面白さを確認してから、ヤバイ、全訳をもう一度読むのだと思いながら解説へ。高校生くらいを対象と想定しているような書き方で、よって世代的に知らない可能性のある革命とは、ソヴィエト連邦とはなどはもちろんのこと、政治とは何かとか、基礎的な説明を織り込んでとてもとても分かりやすく、面白く、でも熟年高齢が読んでも多分退屈ではないと思う。少なくとも私は夢中に。でも知識いっぱいの人には退屈なんだろうか、分からない。人生に退屈しないコツは知識を貯めないことかもしれない。いや逆かな。

3回分の授業という形式になっていて、それぞれ「悪い時代の作家」「おとぎばなしの文法」「ことばのディストピア」というタイトルがついている。1回目は1903年に生まれて1950年に肺結核で没したオーウエルの短い生涯をざっと解説。スペイン内戦で喉を撃ち抜かれて奇跡的に助かったこと、出自、学校生活など。ざっとではあるが背景が分かる。カタロニア讃歌を別の人の作と思い込んでいた自分はバカである。どこかで探して遅ればせながら読まねば。2回目もタイトル通り。どれも今に通じるから面白いというかとっても怖いのだが、特に3回目の政治と言葉のところは全く今そのものだ。ストレートな言葉を使わないことの何が問題で何を意味するか、そしてどうなるか。最後の結びは感動。「ディストピア作家が希望を歌う?矛盾していると思うかい。でもね、そもそも希望がなかったら、作家はわざわざディストピアなんて書いたりしないんだよ。」まさに、そう思います。全体的にひじょうに好みだった。基本的に語りかけスタイルは好きではないけど、わざとらしさを感じなかった。良かった。





by kienlen | 2016-12-24 10:28 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen