2016年 11月 17日 ( 1 )

読書家の友だちが「読む?」とも聞かずに貸してくれた。これ面白いよ、という一言だけはあったが押し付けみたいなものだ。タイトルを見て、あまり読む気がしなかった。こういうのは結構読んだり見たりしている気になっていたから。それにもう、なんか、時代状況を思うと目をそむけたくなる、というのもある。でもちょっと違うなという感じがした。このタイトルだと国民が自ら選択したイメージだし、それにこの友だちとは基本的に趣味があうので、彼女が面白いというならば、という期待もあった。開いてみたら、活字が大きい。このところ昔の名作も読みたいと思うようになり本棚から引っ張り出すのだが、活字の小ささに引けてしまっているので、読みやすそうというだけで開いたら、なんとすごく面白そう。著者の加藤陽子さんって名前は聞いたことがあったけど、そもそも読んだことがない。専門が「1929年の大恐慌と、そこから始まった世界的な経済危機と戦争の時代、なかでも1930年代の外交と軍事です」と1ページ目に書いてある。それから、歴史は政策上も教訓にされやすいが、必ずしも良い方向にいくわけではないという例があり、と、とっつきやすくてますます面白そう。あと、中高生に講義したものをまとめているということで表現が易しく、この人の立場だったらどうするか、この場にいたらどうするかと問いながらの進行になっている。で、この進学校の優秀な生徒たもすごいのである。

ということで序章で歴史の面白さとは何かみたいなことを9.11に対するアメリカと日中戦争に対する日本が似ているとか、アメリカの南北戦争と日本国憲法とか具体的に語り、戦争は相手国の憲法を変えるのであると、根本へ掘り下げていく。1章が日清戦争、2章は日露戦争、3章が第一次世界大戦で4章満州事変と日中戦争、5章に太平洋戦争となるが、タイトルから5章に重点があると何となく思っていたけど4章までのボリュームが大きいし、それに日本だけでなくて各国の思惑、動き、すれ違いやら細かく描いていて面白い。視点は政治家とか軍人とか、動かしている側が中心で、これもちょっとタイトルから勝手に想像していたのと違ったけど、知識人がどういう論調だったかとか無名の人の日記とかも引用して多面的に感じられた。当たり前といえば当たり前だけど、いちいち資料、出典を述べているので、何でこういえるのかというストレスはなし。500ページ近い厚さではあるが、文字が大きいし、要人の写真やイラストや関連の地図や、重要フレーズをインパクトのある手書きであしらったりと読ませる工夫もいっぱい。中高生だけでなく中高年にも、と書いてある通り、大変面白く読んだ。細かい出来事も関連づけて網羅的に語ってくれていて、古い資料などは現代の口語で言い直してくれているのも、私としてはありがたかった。だいぶ売れた本なのだそうだ、知らなかった。貸してくれた友人に深く感謝の面白さだった。


by kienlen | 2016-11-17 20:23 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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