2016年 09月 26日 ( 2 )

疑惑のチャンピオン

この映画、ポスターを見ただけで興味をもち、見たいと思いつつ時間なさそうで諦めかけたら、最終日にギリギリ駆けこむことができた。このところハズレなしで推移しているが、これもまた大変面白かった。この間のニュースの真相同様、事件に関係した人物による自伝、評伝を元に映画化したもので、この映画の場合、その原作者にあたるのが、事件を取材していて業界から追放みたいなことになる新聞記者。つまり事件の主人公は別にいて、ランス・アームスロトングという自転車競技のアメリカ人アスリート。こんなすごい人を知らなかったのはタイにいた期間だったせいだからなのか、興味がこういうことになかったせいなのか…。つまり私は事件の内容自体を全く知らずに見たということになる。出だしがツールドフランスの過酷な場面と観光プロモーションビデオのような美しい風景。ツールドフランスだって名前しか知らないものな。それで、ちょっと映画見ただけで知ったような気になる。最初の方は、勝つためにドーピングするという比較的シンプルな話に感じられ、これでどういう展開になるんだろうかと思っていたが、選手生活頂点でガンになり、それを奇跡的に克服し、となると、え、もしかして単純な感動物語かとますます分からなくなり、でも本格的に面白くなるのはその後からだった。つまり原作者でもある新聞記者が、このヒーローに疑問をもち、決定的な証拠がないままに、でも確信をもってドーピング疑惑をスクープするあたりから。

勝利への執着ってこういうことなのか、勝利者を中心とするのか実は脇役なのか分からないくらいな関係者の思惑になるほど分かる分かる、ヒーローがいるとその競技自体の人気が高まるので自転車競技の団体もヒーローでいて欲しいがための保身にまわる。臭いものには蓋をしていけるところまでいけって、ほとんどすべてのことに共通しているように感じている者としては、ものすごく分かりやすい構造をものすごく分かりやすく示してくれている。それにしても、アスリートというのは他と違って自分の肉体をストレートに改造するわけで、しかも明白な結果を出さないと意味ないわけで、心身ともに象徴的な意味でなく命がけなんてものじゃない気迫が、他の分野と違うので、当人にも同情したくなったりするのが政治家なんかとは根本的に違うところで、見ていて本気でハラハラする。ドーピングを隠すために行なう手段のすごさ。それを指南する医者は悪魔のようにも見えるが、当人とすれば科学的に勝つという使命感をもっているようでもあるし、第一望む人がいるわけだ。人間界の魑魅魍魎をとっても分かりやすく描いているし、サイコパスといってしまえばいえそうだけど、そういう風に片付けないストーリーで、世間をあっといわせたあの科学者の心理だってこういう感じで、それを支持する人の感じもまさにこうなんだろうなあとか色々考えさせられ、スポーツと映像の相性の良さもあるし、色々な意味でとっても面白かった。ギリギリ駆けこんで良かった。

by kienlen | 2016-09-26 11:15 | 映画類 | Comments(2)

安曇野の予定だった

お久しぶりです、と、自分にむかって言う。それにしても時間の経つのは速く5日もあいてしまった。この間にバンコクから遊びに来た友だちが「バンコクで一生を終えるなんて嫌よ」と、タイ人の夫に向かって何度も何度も言っていたが、そういう風に感じる歳なのだ。しかし「だったらどこでも行けばいいでしょ、自由なんだから」と私なんか、ただただ芸もなく当たり前のことを口にしてしまうが、タイ人夫はそんな言い方はしない。「そうだねえ」と優しくにっこり言いながら、何も実行しない。多少は見習おうかなと思うことがなくもない、ということはない。何度か信州に遊びに来ているうちに2週間くらいの滞在を考えるようになった彼らを今年は安曇野に案内することにした。でも、この間行っていい景色だったこの美麻の喫茶店に寄ろうとしたら散歩したいということになり、この付近を一周したらぬかるみで時間がかかりお茶飲んで時間かかり、予定を消化できなかった。
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この間満開だったそばは枯れかけていて連日の雨で沼地ができていて、この日も今にも降りそうな天気だった。友人夫妻の滞在中毎日最悪の天気だったそうで不満そうだった。友人は地中海気候が好きなのだそうだ。イスラエルの天気が最高だったというから「カリフォルニアに住めばいいでしょう」と言うと「アメリカは嫌いなの」ということで、みんな難しいのである。
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きれいな自然の中にしばらく暮らしたいがこういう寂しいのはダメで虫が出るのはダメで、色々ダメだという都会人。虫が出ない場所なんてないと思うよ、と言ったのだけど。
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結局時間が足りなくなって途中で引き返し、予定していなかった店、といっても予定もなかったけど、で、彼らの所望するそばを食べた。これが意外に美味しかったのです。農業経済専攻だったタイ人夫はそばを撒いてみたいと種を買っていた。ミャンマー国境の高地ならいいんじゃないかと。




by kienlen | 2016-09-26 08:37 | | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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