2016年 07月 31日 ( 1 )

FAKE

昨日、ブルーベリー摘みの後、急いでお風呂に入ってこのドキュメンタリーを見に行った。どうせ見るからには森達也監督挨拶の日にしようと思ってのこと。だいぶ問合せがあったそうで大きな会場に変更したそうだ。マネージャーから「いい具合に空いてますよ」という言葉をいただき入場するとその通りだった。持ち込んだアップルパイを朝食代わりに食べながら読みかけの本を読んでしばし待つと始まった。どうしても見たいと思った理由は、神山典士『ペテン師と天才―佐村河内事件の全貌』を、事件内容をまるで知らないのにひじょうに興味深く読んでいたいたのと、だいぶ本も読んでいるしこれまでのも何本か見ていて好きな森達也の作品だから。映画を見るのに、ここまで知識があるなんて自分にはあり得ない、という妙な自信みたいなものを持ちながら臨んだのだが、しかしバラエティはもちろんテレビを見ているわけじゃなく、この事件についてどういう報道があったのかを全く知らないのだから、この自信、まるで的外れ。

登場するのは、ほとんどが佐村河内氏が妻と猫と暮らすマンションの部屋。本人と手話通訳する妻と大きな目で無言の猫のシーンがほとんどで、本では触れていた問題点やエピソードなどには全く触れず、夫妻の表情がアップになる。それでも飽きないのだから、ある意味役者かも、みたいな感じもあり最後まで謎めいている。つまり、耳が聴こえるんじゃないかとか、どこまで自分で作曲できるのかとか、そういう真相追及についてはもう完全に、見る人に委ねられている。撮影の始まりが、怒りでなくて悲しみを撮りたいという監督の言葉だったけど、その通りに進んでいた。途中で3回、取材依頼の人たちが訪れる場面があり、これがグラデーションを伝えないメディアの問題を突いている監督の視点とだぶる。映画の結末はすっきりしないと気が済まないという人にはフラストレーションかもしれないけど、そのすっきり感がどうなのと思っている者には、なるほどなーと逆にすっきり。何というか、観客参加型みたいな感じがあり、いやいや面白かった。それにしても、これ以外のタイトルってなくないかな。舞台挨拶では質問多数あり。




by kienlen | 2016-07-31 12:01 | 映画類 | Comments(0)

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