手嶋龍一『葡萄酒か、さもなくば銃弾を』

久々に単行本を読んだ。この著者はずっと前の『ウルトラダラー』が面白かったのと、つい最近、雑誌で外交に関する鼎談を読んだ直後に書店で偶然この本に出会ったので衝動買いした。イラスト入りで2色刷りで読みやすそうなエッセイ…と思ったらそうでもなくて結構時間かかった気がする。人物ルポルタージュと帯に書いてある通り、29人の政治家の人間像とか、何をして、それがなぜかとか、歴史に位置づけてみた時にどうかっていうことや、結局は国家間の駆け引きの舞台裏諸々をインタビューなどの経験やその他のソースを使って描いているもの。タイトルも装丁も文学的だが、構成も表現も文学的で、この世界を知らない者にとっては分かりにくく、文体に慣れるのにも時間がかかるし、どうかな、好き嫌いは分かれるところかもしれない、なんて思った。

登場するのはオバマから始まってヒラリー・クリントン、マケインもいる。レーガン、ケネディ、キッシンジャーもいる。麻生も小泉も小沢も福田も。つまりアメリカと日本を中心に他がちょっと。描かれているのが決定権を持つ人達の世界のみで、しかもその判断の理由というのが正義感というよりは欲望だったりするのが多くて、嘘でもいいからきれい事を言ってくれればなごむのになあ、なんて思うのは非情な駆け引きに集中する世界には通じないんだろうなあ。政治ジャーナリストだから、目の前に起きていることを追って分析するのが仕事なのだろうから、当然のことながらオルタナティブな視点というのは入り込む余地はないわけで、庶民からみると、ふうむ、こういう人達の人柱になっているような気分になってしまうのが、国際政治についての本を読む時に襲われがちな感覚。正義とは何かってのがやはり欲しい。もっとも人物ルポにそれを求められるわけなかった。
Commented by jun at 2008-10-27 09:33 x
政治の舞台裏ってホントひどいですよね。だからこそ発言は建前だけになる。昨日ある政治屋さんの葬儀があったけど、建前で塗り固めて美談にしたっていう感じ。盛大さは残った人の罪滅ぼしかも。
ところで、土曜日の新聞にkienlenさんの文があり楽しく読みました。イラストもよかったですが、何より文や構成が良かったです。子どもにも読ませようととってありあります。
ではまた。
Commented by kienlen at 2008-10-28 09:46
junさん、毎度ありがとうございます。その新聞はいつのかなあ。
Commented at 2008-10-29 05:57 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kienlen at 2008-10-29 10:54
junさん、非公開コメントでありがとうございます。それ、当人です。
by kienlen | 2008-10-26 22:14 | 読み物類 | Comments(4)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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