今さらで情けない山谷哲夫著『じゃぱゆきさん』

岩波現代文庫で読んだ。読んでから、元になっているのが1985年の著作であることを知り、その後も別の出版社から出ていてこの文庫に至っていることを知った。しかもこれでも2005年の発行。こんな貴重な本をここまで知らなかったとは全くもって片落ちであった。山谷さんについては、雑誌で読んでいただけで、フィリピン人じゃぱゆきさんの第一人者という認識で、それ以上知らなかったなんて、なんとなってない自分。これは85年時点で読むべきだったのに、当時の自分は内側にばかり向いていて社会的関心乏しく、そのままなんとなくタイに行ってしまって、ますます日本社会から遠ざかってしまっていたのだった。この分野に関心のある人には必読書、なんて、今さらここで言うまでもないか…。いろんな意味でとっても面白かった。私はこういうノンフィクションは好きだ。つまり、内省的なところがあって、つまりそれは高みの見物的じゃなくて、世界の現象は悉く関連しているのであるという視点が感じられるもの。

ボリュームはあるけど夢中で読んでしまった。フィリピン女性が多いが、タイ女性の話しも相当出てくる。しかし女性のひとりの私にとっては、やはりここまでして買春する男性の生理だか病理だか心理だかが分からないから、趣旨は違うとはいえ、そのへんを掘り下げて欲しかった。それから、これは著者ご自身が、今から振り返ってあとがきで記していることだが、女性たちを美化しているという点。ここは難しいところだと思う。圧倒的な被害者であることは確かだと思って、それを告発するのは必要だと思う。告発調でなくてここまで告発できるのはすごいなと思ったし好感だった。でもその女性たちの論理みたいなのも知りたいなって感じがした。それから、入管や警察の現場の話しの上にある、国の方針についても触れていただけたら、と欲張りすぎだが、思った。今も色褪せない貴重な報告の書、素晴らしい。
Commented by jun at 2008-08-26 13:40 x
私は当時も今もまだ読んでいませんが、今こそまた読むべきなのでしょうね。
ところで、売春ではありませんが、最近同級生がフィリピンの女性と結婚しました。日本に来ているフィリピン女性からの紹介でです。30歳近く離れていますが色々考えさせられました。
男女のDNAの差については、10年近く前のベストセラー「話を聞かない男、地図が読めない女」の文庫版を最近¥100円で買って興味深く読み終えました。タイトルで偏見を持っていましたが、面白かったです。ノンフィクションでは(これも¥100で)「沈黙のファイル 瀬島龍三とは何だったのか」(共同通信社社会部編/1996/文庫版有)が最近では抜群に面白かったです。中曽根氏が何故まだ威張っていられるのかという単純な疑問が解けました。
そういえば、内容は違いますが「告発の行方」という映画もありましたね。大学時代に見た「タクシードライバー」の子役(?)以来ジョディーフォスターはつい見たくなり印象に残ります。また、ビデオ可されていない「フォロー・ミー」が先日夜中にBSでやっていました。
すみません、強引に私の話題に転化して近況のようになったしまいました。
Commented by kienlen at 2008-08-26 23:59
面白い本でしたよ。お友達にそういう方がいるなら読んでみるのもいいかもです。『話をきかない…』は私も読みました。そのベストセラーになった時期に。友達が、面白いってくれたんです。確かに面白かったけど、どうかなって部分もありました。タクシー・ドライバーは見ましたねえ。
by kienlen | 2008-08-25 22:40 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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