『中国語はおもしろい』

実践的上達法から複眼思考の身に付け方まで-中国語を知るとこんなに世界が広がります。以上が帯の釣り文句で著者は中国語のエッセイストの新井一二三さんという方。日本語の本を書いたのは久々だそうだ。全体的にとっても面白かったけど、老後に語学の勉強はキリがなくて楽しくて長生きしたくなる大きなモチベーションになると思って準備している自分のような者には元気すぎる本で、つまり若い人が読んだ方がもっと楽しめると思う。とまあ、ここでモチベーションなんて、他人が使っていると、何それ、動機って言いなさい、って言いたくなるようなカタカナ言葉を使ってみたのは、中国語のように漢字の国だとカタカナでごまかせないから考えて意味を理解してふさわしい漢字を充てるのに日本はその努力を放棄することで言葉に対する能力も落ちているんじゃないか…と、粉飾するとそのようなくだりがあって、それは前に読んだ米原万里さんの本にも、中国語の通訳の人に関するところで出てきたのと似ていたのに敬意を表して。私もちょっとだけ中国語を勉強した時に「電脳」がコンピュータは心底感心した。でもこの漢字の前は電子計算機で、それをブラッシュアップ、じゃない、磨き上げてこうなったそうだ。

帯にもあるように確かに複眼的な本になっている。中国、カナダ、香港で留学したり仕事したりという著者の経歴を見ると当然だろうけど、なるほどと思ったのは、個人が孤独で投げ出される社会主義を経験したことで、個の自立がなされて西洋的な思考を取り入れやすかったのではないかというところや、中国人ネットワークの機能の具体的な説明とか、取材者の目と経験と知識があるので説得力ある。本の目的が英語は必要、でももうひとつ中国語を身につけることで世界が広がって複眼思考になるし、そもそも日本人にとって中国語というのは源みたいなものだし、何しろ語学ができたら食いっぱぐれない、というメッセージで、それは全く同感だが、私なんか、自分は遅いとしても、こういう話しができる子がいたら、そりゃあこれ読ませたいですわよ、とひがみっぽくなってしまう。今回の本は目的に沿ってポジティブな面ばかりが強調されているので、もうちょっとネガティブな面も入れたのを読みたいと思った。
by kienlen | 2008-07-29 11:26 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
カレンダー