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改めて山内昌之講演会雑駁メモ

仕事は本日に持ち越してなんとかなった。明日から暇だ、暇だ、遠出もないし、本読めるかな、映画も行けるかな。さて、講演会であるが、実は内容よりも山内先生の雰囲気に酔ってしまった。活字では見ているけど実物を見たのは初めてで、なにかすごい大御所という印象を持っていたから端正な学者的なお話しかと思っていた。で、実際に端正だったのだが、全身そのまんま端正なのだった。で、思いがけずサービス精神たっぷりで面白かった。時は19世紀半ば頃。アヘン戦争が起こり、ペリーが来航し、市場を求めて欧米列強がアジアに進出していた時期というのはイスラーム世界でも同じ事態になっていて、各国はいかにして植民地化を避けるかに腐心していたわけだが、その時代の日本の主だった人物とエジプトの同時代の人物や出来事を比較して物語的に語ってくれた。登場人物はムハンマド・アリー、ナポレオン、島津斉彬、真田幸貫、佐久間象山、西郷隆盛、島津久光など。

当時の日本をリードした人達というのが賢かったし外交力もあったという話しがでてきたが、なるほどなあと思ったのは、財政赤字比較だ。オスマン帝国もエジプトも英国から多額な借金をしていて、それが植民地化につながるひとつの要因になっていたそうだ。その点日本は貧乏だったのに外国から借金しなかったそうだ。戦争も、いかに早く止めるかが最大の関心事。昭和に入ってからの差異は大きい。平成の今の借金は何なんだ、と思わずにはいられない堅実さだったんだ。そういったことや国内事情を緻密さよりは面白さ優先で楽しく話してくれた。詰め込み感はなくてゆったりペースのように感じたが、でも情報量は少なくないし、講演はいろいろ聞いている方だと思うが、ここまで心地よい速度と空気にひたったのはあんまりないように思う。芸術的な感じだった。
by kienlen | 2008-05-25 23:02 | 社会的話題 | Comments(0)

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