上京時の楽しみ

このところ月に1度以上のペースで上京している。土地勘ないし人ごみ苦手だし、消費する経済的余裕ないし、余裕があったとしても特別お買い物好きじゃないし、山も見えないしで、もしも時間があると本屋に寄るくらいで他の楽しみ方を知らない。よって、用事を済ませるだけで帰る。この間は一刻も早い新幹線に乗ろうとして、とうとう初めてエスカレーターの右側を駆け上って駆け込み乗車してしまった。なにやら都会の人になったような気分だった。そういう自分がそれでも見つけた楽しみがTHE BIG ISSUE日本版を売っている人を見つけると買うこと。「ホームレスの仕事をつくり自立を応援する」というヘッドラインがタイトル上に書いてある。1冊300円というお手頃価格で中身も面白いのでこの間もバックナンバーを含めて4冊買った。ホームレスである販売者の収入源にしようというこの雑誌の趣旨について、どこかの雑誌で知ってから現物を見るまでにはかなり時間がかかった。身近では販売してないからだ。

偶然発見して試しに買ってすっかり気に入ってしまった。隅々まで面白い。おまけにタイ人の漫画家の連載まである。物を買う時に「売れ行きはどう?」と聞く習慣は、路上販売が多いタイに住んでいる時についた。で、こうして路上で売っている人を見るとその癖が出る。冬に聞いた時は「寒いとダメだね」と言う。なんでかなと思ったら「みんなポケットから手を出さないんだ」とのことで、なるほどと思った。しかも東京程度の寒さでそれか。こういう地方都市じゃあ、ポケットどころか車の中から出てこないから売れるわけないか。今の時期はまあまあらしい。4冊選んだら袋に入れるような仕草をするから「袋要らない」と言うと「この仕事にプライドを持っているから入れさせてくれ」と言って、すごく大切なモノを扱うかのような丁寧さでクリアファイルに入れてくれた。そこまで言われて断るのも何だし、それにファイルだったら使うからいいやと思って受け取った。表紙の下の方には「300円のうち160円が販売者の収入になります」とクレジットが入っている。バンコクでは盲目の人たちが宝くじ売りの仕事をしていたことを思い出した。どっちかというと、働くことが可能ならば、寄付よりも、仕事を生み出す工夫をしている方をささやかながら応援したくなる。
by kienlen | 2008-05-19 22:19 | その他雑感 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
プロフィールを見る