『国家論-日本社会をどう強化するか』

佐藤優著、NHKブックスの標題の本を読み終えた。まとまった時間が取れずに少しずつで何日もかかった。それにしてもこの内容で1200円は超お買い得。大学のゼミのテキストにぴったりだと思いながら読んでいったら最後の方に、有志対象の講義をまとめたものであると書いてあって納得した。難解な内容をいつものように咬んで含めるように解説してくれている。まず否定神学的な方法を重視することをお知らせして、えっ、そんな分かんないと思うと、見透かすようにそれがどういうものであるかを優しく説明して、それから国家と社会というのが区別はされても分離はできないというところから入って、社会や民族や国家と神等を、それぞれのテーマごとに依拠しながら検討する思想を引用しながら解説。となるとこの引用文献を読んでないとならないと思って引けてしまうが、説明が分かりやすいのでなんだか分かったように感じてしまう。目的は実践的国家論で、国家がどういう時に社会の隙間に介入してくるかを知って、その暴力をいかに抑えるかを考えることにある。

結論は「社会を強化する」なのだが、それが容易でないことはもちろんで、ここで提示しているのは、社会とは人間の共同体・ネットワークなので、気の合う人たちのネットワークや仕事を一緒にする人たちのネットワークを強化することで実際に自律して生きていけるようなシステムを社会の中で作っていくことができるのではないか、ということ。なんて書くと薄っぺらになってしまうが、とにかく豊富な知識と高い教養と国家に保護されていた官僚だった経験と、その国家から国策捜査で逮捕されて「日本国家の暴力性も皮膚感覚で理解できるようになった」という経験と日本国家を愛しているから強化したいという熱意に満ちている。充実感をたっぷり味わえる本。NHKの視聴料が1年分口座から引き落としされていて、なんか腹がたったが、こういう本を出版してくれるなら支持しますって思った。この人に人権について教えていただきたい。ここでもちょっと出てくるけど、もっとたっぷりと。
by kienlen | 2008-05-09 22:33 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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